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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第6章−6 ジェフの語るパフォーマンス研究(再編集版)

2017-01-20 00:06:53 | 私が作家・芸術家・芸人
「話をわかりやすくします。演劇の実践者が虚構世界のスクリプトを演じるのに対して、パフォーマーは現実世界における差別、偏見、権威などに対する社会批評を試みます。多くの文化による出会い、衝突、摩擦が多くの問題と新しい創造の可能性を提起する今日、人文、社会諸科学にまたがる幅広いスペクトルにおけるパフォーマンス研究は、教育、娯楽、儀礼、癒しの理論化などの分野で大きな役割を担っていると言われています。パフォーマーは、一人芝居、紙芝居、映像作品、掛け合い漫才、即興演奏、バックグラウンド・ミュージック、ボディ・ペインティング、人形劇、スキット、寸劇、ロール・プレイング等、ありとあらゆる手段を駆使して、長期間のリサーチやフィールドワークを元にパフォーマンスを行います。たとえば、ボディ・ペインティングの世界では、デミ・ムーアの表紙で有名な写真集を出したジョアン・ゲイアー(Joanne Gair)が知られています」



「パフォーマンスが何かは、わかったわ。パフォーマンスを学ぶ意義とは?」
「私の個人的な理由、それともアカデミックな理由ですか?」
「両方、聞きたいものね」
「個人的には、生き馬の目を抜くような業界で社会の外面ばかりを見ていると疲れます。自分の内面を知るために、パフォーマンスへの興味が高まってきました。ダンスでもミュージカルでも夜の上映が多いので、私が鑑賞するには好都合なのです」ヴァンパイアですから、と言いかけてジェフはやめた。「アカデミックには、カルチュラル・パフォーマンスについて考える必要性が高まっているためです。国民文化や国民の伝統という連続性に基づく概念では無視されてきたものを問題とするポストモダン的な考えです。モダニズムは、現代社会では基準の分裂している真善美という哲学の三大領域において、統一的基準をあまねく当てはめようとするノスタルジックな運動でございます」
「たしかに人間は、ヒエラルキーをつけることが好きね。大学、職業、生まれ育ち、人種、性別、どうでもよいことに、よくまあ、あそこまで一生懸命になれること」
「おそれながらヒエラルキーの語源は、天使の階層でございますが・・・・・・」
「天界は、魔界との闘いを冥界にまかすようになってから堕落した時期があるから。それが、『明けの明星』と呼ばれたルシファーの反乱につながった。その後、アポロニア様の息子たちが三軍の長を務めるようになって、抜本的な天界親衛隊の改変が行われた。ごめんなさい。今は、関係のない話だったわね」
「こちらこそ、脱線に導いてしまって失礼いたしました。話を戻します。統一的な基準を通じた大きな物語をあまねくわたらせることで、啓蒙を達成して社会の解放を目指すモダニズムに対し、ポストモダニズムは価値観の多様化を祝すことですべてを相対化したり、批判的教育法によって絶対的価値観を否定したりしようとします。逆に言えば、モダニズムは主流派への抵抗を目指す小さい物語を抑圧する危険をはらんでいるわけです。たとえば、モダニズム的には入学難易度が高ければ高いほど一流校ですが、ポストモダニズム的には、入学者の満足度、卒業生の活躍度、有名スポーツ選手の輩出度など、一流の基準が多様化します。あるいは、均整のとれた肉体や見目の麗しさという美男美女の基準に対して、太っていればいるほど魅力的という『デブ専』や老けていればいるほど魅力的という『老け専』という別の価値観を提示します」


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