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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第9章—7 ウロボロスが凍り付く刻

2019-01-04 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「よし、これで心置きなくコールド・デー・イン・ヘルを使える」

 紐育の精霊たちよ、しばしその歩みを止めよ
 紐育の精霊たちよ、しばし新しい波の筺の屋上に集え
 紐育の精霊たちよ、しばし聖バレンタインの世の冷気を集めたまえ
 紐育の精霊たちよ、奇跡の一夜の贈り物をさかさまジョージに与えん
 紐育の精霊たちよ、硫黄にまみれた地獄の業火が凍る日を顕わさん
 紐育の精霊たちよ、汝らが世紀の一瞬の参加者と目撃者たらんことを祈る
 コールド・デー・イン・へール!

 呪文が終わった瞬間、アストロラーベの吐く息が白くなった。
 みるみるうちにニューヨーク中の冷気がタワーの屋上に集まって、紐状に固まり始めた。まるで荒れ狂う吹雪が、自らの意思を持ったかのようになった。数十本の冷気の紐がさかさまジョージに絡みつき始めた。それは2匹の大蛇がもがけばもがくほど強くからんでいった。すべての紐が大蛇を包んだ次の瞬間、一気に紐が弾けて絶対零度の空間が生まれた。そこにあったのは氷の彫刻と化したウロボロスたちの姿であった。
「今だ、ダニエル!」アストロラーベが叫んだ。
「地獄で後悔しろ、ミックスト・ブレッシング!」
 右半身が金色の鷲ペルセリアス、左半身が暗黒の墮天使になったダニエルの右眼から単なる堕天使時代と比べて数十倍の威力の白い熱線が、左目からは黒い熱戦が発せられた。
 黒い熱戦が黒色火薬のようにさかさまジョージを幾重にも包むと、今度は白い熱戦が時限爆弾のように発火した。煙と暴風雨が渦巻く中、巨大な氷像と化していたウロボロスたちにまずヒビが入り、次に粉々に砕け散った。
 輪廻の蛇ウロボロスならば、魔術によるほとんどの攻撃にも耐えてしまう。だが、いったんコールド・デー・イン・ヘルにより絶対零度にまで冷やされた直後、ミックスト・ブレッシングによる高熱を浴びたため彼らの身体は膨張と収縮が短時間で繰り返されたために微細な亀裂が無数に生じていた。亀裂が入った身体に天使と悪魔の両方の破壊力を持つミックスト・ブレッシングを受けたことで、修復不可能なほどバラバラにちぎれてしまったのである。
「やったぞ! 皆、大丈夫か?」アストロラーベが声をかける。
「不覚を取り申し訳ない。もう影響はございませぬ」スカルラーベが答える。
「私も大丈夫。それより・・・・・・」
 マクミラが答えた後、ダニエルの姿を捜す。
 グ、グ、グア〜。空中でもがき苦しみダニエルがいた。
 金色の光と暗黒の固まりが絡み合い、ゆっくりと精神的存在であるアストラル・ライトの絶対悪と連続体で肉を持った存在のクリストフに分かれていった。クリストフはぐったりしているが、やたら元気な奴が空中に浮いていた。

     


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