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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第9章—9 アズラエルとザキエル

2019-01-11 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「ずいぶんと大きく出たものね。でも、怒り、ねたみ、そねみ、中傷に専念しながら自称善を気取る悪党共と無力な偽善者が、無益な争いを続ける人間たちの世界にあなたに何ができるというの?」
「逆に聞くが、人間にとって人生とは何だ? 人生など、自由でありたいという主体とそれを縛ろうとする社会とのあつれきがすべてじゃないか。おいらこそがすべてからの自由。悪を肯定する同士は、だましあい、裏切りあい、殺し合えばいい。だが、同時に善を肯定する者にも偽善は許さない」
「そんなことが、あなた一人でできると思っているの?」
「それが、どうやらおいら一人じゃないようだ。すでに人間界には神界からお前たちが降臨してるし、精神世界にも魔界から魔性たちが来ている。おいらがどちらの側に付くかで、勝敗が決するとは思わないか? そもそも人間などに善悪の判断能力などあるか? あいつらの定義では善とは、悪とは何なのだ? 結局、やつらにあるのは自分に都合のよい判断基準だけではないか。例えば、人間はなぜウソ、おべっか、気休めを言うのだ? そして、なぜそれらを信じるのだ?」
「たしかに、人間はそんなことに頼るしかない弱い存在だが、お前、いったい何を考えている?」
「元冥界最高位の神官でも知らなかったか・・・・・・一度誕生すれば絶対悪には2つのチョイスがある。それこそが究極のチョイス。1つは、おいらが『平和の天使ザキエル』となる道だ。その場合、正義感あふれるものと合体し助け合いとレスペクトにあふれた世界を目指す。だが、こっちは選びたくない。実質的なおいらにとっての死だからな。もう1つは、おいらが『死の天使アズラエル』になる道だ。その場合、おいらは目的のためには手段を選ばぬものと合体して、欲望と闘いにあふれた世界を目指す」
「私には、すでに後者の世界になってるように思えるけどね」
「そうかもしれないな。だけど、現状と後者には大きな違いがある」
「それは?」
「善と悪なんて相対的なもんさ。究極の存在は自分を定義する必要はない。対極がおいらを定義してくれる。神々が自らを正しいと信じているように、おいらも自らを正しいと信じている。悩む必要さえない。対極にある存在がまちがっている限り、それに敵対するが故に自らは正しい」
「詭弁ね。自らの正義を自明として論を展開し、証明を放棄するなんて最低の人間がしていることと変わらない」
「心外だな、マクミラ。しかたない。頭の悪いお前のため説明してやろう。逆説的ではあるが、完全なる善を目指せば悪にならざるをえず、完全なる悪を目指せば善になってしまうんだ」
「おもしろいわね。もっと続けて」
「完全な善を目指そうとすれば、どんな過去の過ちも罰せよという理屈になる。例えば、物心つかない時期にしたことで誰かを死刑にできるか? 先祖がしたことで子孫を死刑にできるか? それができないなら、なあなあですますことになるが、被害者感情とかがおさまらないのが人間だ。だから人間の目指す善など、悪が存在する以上はすべてが中途半端になる。完全な善を目指せば、善を突き抜けて悪になってしまう宿命だ」
「それなら、完全な悪を目指したらどうなるの?」

      


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