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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 序章

2018-01-09 04:13:11 | 私が作家・芸術家・芸人


     闇の中にも光はある
     曇った眼で、闇を見てはならない
     光の中にも闇はある
     利口すぎる眼で、光を見つめてはならない
     光と闇は
     対立を生むが
     たがいがたがいに依存している
     ちょうど右足の歩みが
     左足の歩みに依存しているように
     ——石頭和尚

     世の中で最もしなやかなものは
     世の中の最も堅いものを貫通する
     無は隙間のないところに入り込む
     ここで私は、行動のない行動の価値を知り言葉のない教えの価値を知る
     行動のない行動の価値に匹敵できるものは世の中に何もない
     ——老子

     とつぜん、目がさめて自分を見れば、
     おのれの姿に戻っていたのでおどろいた
     いったい自分は、蝶になる夢を見ている人間だったのか
     ひょっとすると自分は、人間になる夢を見ていた蝶であったかもわからない
     蝶と自分との間には存在の別がある
     それは、人が絶え間ない変容と呼ぶものである
     ——荘子





プロローグ

 俺の名は、孔明。
 どうやら地上に落ちてきた龍らしい。「らしい」というのは、天界時代の記憶がないからだ。
 しまつの悪いことに逆鱗に触れられると、今でも龍になってしまう。だが、己が龍になったときの記憶は残っていない。

          

 失われた記憶があるというのは、幸せなのか、不幸なのか?
 人生は、希望と絶望がいつも同じ船に乗っている。
 うっかりすると、絶望に目を奪われそうになる。だが、気がつかないだけで希望はいつでもすぐそばにいるのだ。
 師宣わく、「迷いをすてよ」。よく聞く言葉だ。
 だが、迷いをすてるには、まず迷わなければならない。
 それどころか、迷うことでしかわからないことも多いはずだ。
 最初から迷いのないものに何を知ることができる?
 迷って、迷い抜いて、たどり着いたものにこそ、価値があるのでは?
 これまで、俺は神々のゲームに巻き込まれて来た。
 ナオミという元海神界のマーメイドで、共に闘う仲間も出来た。
 マクミラという元冥界の神官で、ヴァンパイアのライバルも出来た。
 だが神々のゲームは、アポロノミカンをめぐる争いから、宇宙のバランスさえこわしかねない“絶対悪”をめぐる争いへと変わっていってしまった。
 あまり自分のことは語ってこなかった俺だが、最後の闘いではじいちゃんや妹まで関わる闘いになりそうだ……
 なに、自分のことさえわからぬお前に、争いに関わる資格があるのか? おそらく、ないだろう。
 だが、自分さえわからぬ龍が、流れる雲のごとく運命を捜してみるのも、一興ではないか? じいちゃんと妹との荒修行で、仲間たちと俺も天界時代の姿を取り戻す術を得た。
 トラブルに引き寄せられるマーメイド、ナオミも共に“絶対悪”との闘いに加わってくれた。マクミラとその眷属たちも意外な形で関わった。
 ほう、俺たちの闘いの話を聞いてみたいとは酔狂な奴。
 だが、こんな晩には仲間たちとの記憶が甦ってくる。ナオミやマクミラほどうまく語れるかどうかわからないが、せっかくの長い夜だ。
 くだらないことを考えるより先に、さあ、今宵の物語を始めよう!


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