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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第4章−1 ミシガン山中(再編集版)

2016-12-28 00:00:05 | 私が作家・芸術家・芸人
 魔物狩りが一段落したマクミラは、ヌーヴェルヴァーグ・タワー最上階の自室で思い出していた。
 1991年夏、聖ローレンス大学でのゾンビーソルジャーたちとの闘いで傷ついたクリストフの肉体をミシガン州山中に持ち帰った時のことを。
 勝負に勝った「ご褒美をあげる」とナオミたちに約束したからには、彼女の友人を見殺しにするわけにはいかなった。これは、戦争や裁判ではなくゲームなのだから、ボーナスポイントというわけだ。
 山中には、ヌーヴェルヴァーグ財団が運営する4つのテーマパークがあった。
 通常のテーマパークが「夢と希望の象徴」なら、マクミラのテーマパークは「悪夢と恐怖の象徴」だった。第1の建物ゾンビーランドでは、不老不死の研究がおこなわれていた。第2の建物ノーマンズランドでは、軍事兵器が研究されていた。第3の建物ナイトメアランドでは、精神世界の研究をおこなわれていた。最後の建物アポロノミカンランドでは、魔術と神話の研究とアポロノミカンが探索されていた。
 クー・クラックス・クラン(KKK団)と関係を持ちながら、彼らが拠点を持つ南部ではなく、中西部のミシガン州に研究所を置いたのにはわけがあった。KKK団の歴史は、5つに分けることができる。
 南北戦争直後の1866年に誕生してから「再建の時代」の第一期には、彼らはほとんど反乱軍同様の無法集団であった。
 しかし、1920年代に再興した第二期には、合法的に極右政治運動を行い、会員数は数百万人に達したと言われる。
 最も悪名高い第三期が、公民権運動に対抗して黒人に対するリンチやテロを行った1960年代である。
 第四期の1970年代は、団体がPR活動に従事した時期で、後にKKK団のリーダーシップを取ることになる理論家たちが誕生した。
 1980年代以降の第五期に入ると、黒人差別団体という伝統的な方針から、白人優越主義(White supremacy)を全面に押しだして、アジアが世界の脅威になるという黄禍論、ユダヤの世界陰謀説、反共産主義などが掲げられるようになってデモや襲撃などが中心的な活動になっていく。
 また、ミシガン州にはミニットメンと呼ばれた、独立戦争時代に即時召集に備えて待機していた民兵以来の伝統を持つ準軍事組織が存在していた。こうした武装勢力は、自分のことは自分で守るという大義名分の元に軍事訓練さえおこなっていた。
 「赤さび地帯」と呼ばれる東・中西部の重工業地帯は、かつて鉄工業を中心に栄えていたが、現在では自動車業界などの構造不況産業を抱えて失業率が高い。こうした地域には、非大卒の白人貧困層が海外からの輸出増加や連邦政府の政策に不満を募らせており人種差別主義的な運動が育つ下地があった。


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