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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第7章−10 ヒエラポリス神殿

2018-10-29 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 二千年の昔、人々はギリシャ・ローマ様式のヒエラポリス神殿を「地獄の門」と呼んだ。なぜなら先導役の聖職者を残して、生け贄の鳥や雄牛などの動物がバタバタ死んでいくため、地下世界の入り口ではないかと畏敬の念を持った。そして、この洞窟を冥主プルートゥが「死の息」を吹き出していると考えた。現在のトルコに位置するヒエラポリス神殿は、実は、プルートゥ以外のものが魔力を使うことを禁じた冥界神殿内の劇場のレプリカであった。魔神スネールと合体したさまさまジョージが、彼の知識を探って用意した冥界の神と闘う時の秘策が、この神殿であった。

     

 さまさまジョージは、真っ赤な舌をチロチロ出しながら、そっちから来ないならこちらから呑み込んでやるぞとアストロラーベとミスティラに迫る。
 ミスティラは震えるだけで、元々なかった戦意のかけらも無くしていた。ジュニベロスも、どうしていいか分からずうなり声を上げるだけになっている。
 さすが冥界最高の魔法使いと呼ばれるだけあって軍師アストロラーベは、何か策があるはずだと頭を絞っていた。このままではマクミラが・・・・・・
 その時、アストロラーベはヌーヴェルヴァーグ・タワー66階の一室から強い思念を感じた。「ジェフ殿、66階には何がある?」
「ダニエル様の病室があります!」
「起こすことは可能か?」
「めったに意識がなく、死んだようにお眠りになっていますが・・・・・・」
「時間稼ぎをしてみる。エレベータで下りて様子を見て・・・いや、すでに目覚めている。マクミラの危機が伝わったようだ」
「了解いたしました!」
 エレベータに向かって走り出したジェフを横目で睨みながら言う。「ヒエラポリスを体内に隠し持って有利に立ったつもりか。だが、甘いぞ」剣を左右の鞘に収めると背中から宝具、半透明の槍を取り出す。かぶると透明になる兜を賜ったアルトロラーベは、冥主の許可を得て兜をつぶし半透明の槍を作った。この武器なら冥主直々に賜っただけに、ヒエラポリス神殿の魔力にもある程度、抵抗できるはずであった。
 槍は、二つの点でおそれられていた。
 一つは、槍を動かすと姿が透明になるだけでなく、アルトロラーベの気配が消えてしまう。彼自身が語らないため理由はわからないが、槍の力で短時間なら異次元に移動できるではないかと噂されていた。第二に、半透明の槍に突き刺されると冥界の四つの川の水が注ぎ込む。それぞれ異なった効果を持ち、ピュリプレゲドンの水が入ると相手の身体が燃え上がり、ステュクスの水が味方に入ると攻撃に対し恐れ知らずになり、アケロンの水が入ると短時間で相手の命が失われ、レテの水が入ると相手の記憶が失われた。
 だが、アストロラーベは思った。
 この巨大な蛇に、どこまで闘えるだろうか。
 闘いに美学を持ち込むアストロラーベは、父で大将軍のドラクールより自ら闘うことを禁じられてしまった。おかげで軍師としての才をフルに活かす結果にはなったが、これほど力を持つ相手との一騎打ちは経験がなかった。
 フッ、ついに我が死に場所を見つけたか?


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