* ≪aura≫  INTERVIEW TIME *

 
さっぽろの建築デザイン事務所 『aura』 をめぐる、
発見とくつろぎのインタビュータイムです♪

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◆≪aura・インタビュータイム≫ ① 住まいづくりは、“生き方”づくり。

2011年04月02日 | ◆AURA主宰 山下一寛さん インタビュー
aura・インタビュータイムへ、ようこそ!

●2011年4月本日から新しく始まった新プログラム、
『aura・インタビュータイム』の舞台は、
さっぽろ市の緑あふれる真駒内エリアにある、
知る人ぞ知る、隠れ家的オフィス『aura建築設計事務所』

ここは、ちょっと建築事務所らしからぬ、
アットホーム&オシャレCafe風な雰囲気で、
この会社とつながりのある方々は、
みなさんドラマチックな世界に一つの物語を内に秘めた、
チャーミングーな個性派ばかり。

そんなみなさんのお宝ストーリーを埋もらせておくのはもったいない!
…というわけで、不肖ワタクシ、フリーライターのはらみづほが、
みなさんの内に眠るお宝ばなしの引き出しインタビュアーとしてお話を伺い、
このページで書き下ろしてゆくことにあいなりました。

●第一回目のインタビューターゲットは、モチロンこの方、
アウラの御大、山下一寛さん。

はてさて、山下ワールドには、
どんなお宝が眠っていることでしょう…?



◆『アウラ・インタビュータイム』◆<1>
“カウンセリング・アーキテクト”山下一寛さん
(アウラ建築設計事務所代表取締役社長)の巻

あんまり人には言ってなかったんだけど、
 実は、ぼくが一生取り組んでいきたいテーマは、
 『ハンディキャップを持つ人が幸せに暮らせる家づくり』なんです。


2002年に独立して「aura」を立ち上げてから、約10年。

いろんな方々に支えられながら、
これまでいろんな仕事をさせていただいてきたけれど、
今、ぼくにとって最も関心があるのは、
ハンディキャップ対応住宅の設計なんです。

ぼくがそういう住宅の設計を最初に手がけたのは、
母が亡くなった年でした。


母は長いこと患っていて、病院暮らしが続いていたので、
最期くらいは何とか自宅で迎えさせてあげたかったんだけれど、
結局その願いは叶わず、病院で看取ることになってしまった。

無念な想いでいっぱいのときに、
「車イスの奥さまにとって使いやすい家を設計してほしい」
というご依頼をいただいたんです。

ぼくにとっては、
母が授けてくれた仕事のように思えてならなかった。


そんな個人的事情もあって、この仕事は、
ぼくの設計士人生においてひときわ印象深いものになり、
それ以来、“ハンディキャップ対応型の家づくり”はぼくにとって、
ライフワークとして一生取り組んでいきたいテーマになったんです。


人は、一人一人違う。
ハンディキャップも、一人一人違う。


この仕事は、これまでの仕事と違う発見ばかりで、
実に多くの新しい学びがあったんですね。

この奥さまの旦那さまは医師で、
専門的な知識や意識が非常に高い方だったことも、
ぼくにとってはラッキーだった。

注文も予算もとても厳しかったんだけれど、
だからこそひときわ多くのことを
学べたんだと思います。

その時点では、
ぼくはハンディキャップ対応型住宅については、
まったくの素人だったんだけれど、

ご主人は、ぼくに依頼する前に高名な建築家に依頼し、
まったく相性が合わず破談になられたとのことで、
優秀な建築家に懲りていらしてね(笑)。

この手の住宅について未経験の若造をこそ
求めていらしたので(笑)、
ぼくも気負うことなく正直に対応しながら、

ハンディを持つ方々の現状や、ニーズ、
ご家族を含めてのライフスタイルや、心情などを、
素直な目で、つぶさに
学ばせていただくことができたんです。

その中で、もっとも驚いたことは、
想像と現実の違いでした。


そこには、
実際に車イス生活をしたことのないぼくが
予想していた導線とはまったく違う導線があり、
ハンディのあり方によって、
ニーズも一人一人まったく違う、
という現実がありました。

右手が不自由な人と、左手が不自由な人では、
動きがまったく違う。

どこが動いてどこが動かないかによって、
必要なものがまるで違ってくるんです。


だから到底マニュアル化などできず、
ハンディキャップ対応型だからこそ、
通常以上に個性を重視した、
実地検証に基づく独自の設計が
欠かせないんだと思い知りました。

「ハンディキャップ対応型」と謳っている
大手メーカーのシステムキッチンを
3人で見に行ったときのことは、

様々なハンディキャップにとって、
いかにマニュアルが当てはまらないか、
用意されている商品がどれほど少なく、
いかに選択の余地がないか、という現実を
目の当たりにした経験の一例でした。

奥さまにとって、
その「対応型」はまったく当てはまらず、
メーカー側が良かれと思って開発したそれは
まるで意味をなさなかった。

しかもそのメーカーには、
応用の余地も、
相談の余地もなかったんです。
有名な大手にも関わらずね…


ご主人は、
メーカー側のあまりの配慮のなさに
怒り出してしまいましたが、

現実を知った目でそのような商品を見ると、
いかに健常者の想像や思い込みで
つくられたものでしかないか
がわかり、

ハンディを持つ方々の悔しさが身にしみると同時に、
なんとかしなければ…!
という使命感も湧き上がりました。

 
こうしてぼくは、
「ハンディキャップ対応型住宅」を
設計することの難しさや責任ともに、

使い手それぞれの方の状態に基づく、
それぞれの生活空間での細かな実地検証の重要性と、

その方の不自由さを解消するポイントを
発見したときの喜びや、やりがいを、
一つ一つ思い知っていったんです。


力を引き出し、絆を育む。
設計の“責任”と“可能性”。


このような住宅をつくる上で
もう一つ重要なポイントは、
介護される側だけでなく、
介護する側にとっても、快適な設計であること。


この双方の充実とバランスが、非常に大切なんですね。

例えば、介護される方のスペースが充実していても、
介護する方のスペースが窮屈だと、
結局双方にストレスがたまってしまいますからね。

そして、
このことにも関連して気をつけるべきことは、
「やり過ぎないこと」

介護する方とされる方は、
ともにチームとして一緒に生活していらっしゃるのだから、
そのチームワークを自然なカタチで引き出してくれる空間
こそが必要なんです。

例えば、最新機器などを設置して
多くのことを一人でやれるような構造にしすぎてしまうと、
お金もかかるし、生活に返って不必要な煩雑さが生じ、
家族の絆や、介護される方の自然なトレーニング機能が
失われてしまったりもします。

いっしょに暮らす間柄には
心地よいコミュニケーションが必要で、
そのための空間づくりこそが大切。


身体の状態と同じで、ライフスタイルも
そのご家庭ごとのカタチがありますから、

生活をともにしているメンバーみなさんと密にお話し、
そのご家族やチームの中で、ムリなく、ムダなく、
互いに気持ちよく支え合える空間をつくることが、
ぼくの仕事だと思っています。

空間のあり方が人の心身や人間関係に及ぼす影響には、
計り知れないものがあります。

「環境問題」は、何も世界規模なものだけでなく、
すでに家の中にあるんですよ。


空間づくりのプロとしてそのことを肝に銘じながら、
施主さんとの現場検証と交流を重ね、
その空間に住まう皆さんの個性がのびやかに調和し、
ストレスや負担が減って、
自然と絆が深まるような設計をしてゆきたい。

ハンディキャップ対応住宅においては、
空間づくりを担う者のそんな責任と可能性を、
ことさらヒシヒシと感じています。

(次号、②に つづきます♪)


*Interview on 2011/3/10
 :INTERVIEW & TEXT By 「旅するはらっぱ」
 プランナー&ライター はらみづほ

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