新旧の書籍および映画の批評,作品解説.
Augustrait





[提供:岩波書店]
 1610年冬,ガリレオは30倍に拡大された星界に初めて対面する.まず月面に,そしてこれまで未知であった木星の周囲を回転する四つの惑星の運動の観測へと筒眼鏡は向けられる.精緻な観察が卓抜な想像力と結びつき,世界をゆるがせた推論は仮借なく押しすすめられる.他に「太陽黒点にかんする第二書簡」を収録――.

 最初の実用的な望遠鏡が1608年,オランダで発明・製作されたことを知ったガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)は,軍事利用が目的とされた望遠鏡の筒先を国境や軍隊ではなく,天空に向けた.ニコラウス・コペルニクス(Nicolaus Copernicus)の『天球の回転について』は1543年刊,ヨハネス・ケプラー(Johannes Kepler)が「ケプラーの法則」の第1と第2法則を唱えて惑星の軌道が楕円であることを証明したのは1609年.ガリレオは望遠鏡レンズを球面加工していたが,双曲面に磨いたほうが性能は向上することをケプラーから助言されており,最終的には倍率30倍の望遠鏡を作り上げた.

 可滅的な地上界に対する天上界は不滅であり,教会の教義と化したエウドクソス(Eudoxos)以来のアリストテレス理論――あらゆる天体は地球を中心としてそのまわりを回転する――を批判する新学説は,1610年に出版された『星界の報告』が嚆矢,1613年の『太陽黒点にかんする第二書簡』がそれに続く.この両方を収録する本書は,短い分量の中に,世界をゆるがせた天文学的発見と比類なき推論を語る.望遠鏡により拡大された“星界”の解釈,画期的であった「確実な感覚的経験」.木星の4つの衛星(ガリレオ衛星),月面の凹凸を発見,続いて太陽黒点の観測成功――ガリレオは地動説に対する確信を深め,地動説と聖書の矛盾をトスカナ大公の母公あての手紙に述べるようになる.

 『星界の報告』により,ガリレオは宮廷お抱えの哲学者兼首席数学者としてフィレンツェに招かれた.だが1615年,教皇庁検邪聖省に異端を告発され(第一次宗教裁判),1633年の2度目の異端審問宗教裁判は,ガリレオ有罪の判決を下した.このとき,ガリレオは地動説を捨てることを宣誓させられるのである.近代科学創始の暁光をもたらした『星界の報告』の表題は,仏語および英語版では「星界の使者」と訳されてきたが,イタリア語版に従うなら「星界の報告」が正しいものとなる.

 なお著述の内容,著者の氏名のみならず,著者の社会的立場,出版年,出版社,出版権を明記して要約を意図した正式な表題は次のとおり.『パドヴァ公立数学院の哲学者兼天文学者,フィレンツェの貴族ガリレオ・ガリレイによる,重要な,まことに驚くべき光景をくり拡げ,万人の耳目をそばだてさせ,真実を語る星界の報告.そのなかでは著者によって考案された筒眼鏡により,月の表面・無数の恒星・天の河・星雲,および,とくに,様々な間隔と周期とをもち,驚くべき回転速度によって,木星のまわりをまわる4つの惑星――これまでだれも知らず最近著者によってはじめて発見され,メディチ星という名をあたえられた――が観測された.ヴェネツィア,トーマス・バリオーヌス出版,1610年,当局による許可および特権付与にもとづく.』

ガリレオ・ガリレイの『二つの新科学対話』―静力学について
ガリレオ ガリレイ
鹿島出版会

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Title: AVVISO SIDEREO
Author: Galileo Galilei

ISBN: 4003390652
  • 『星界の報告』ガリレオ・ガリレイ ; 山田慶児, 谷泰 訳
    --岩波書店,1976, , 173p 図, 15cm
    (C) lapse




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