きょうは、息子の中学校の体育祭の応援だった。先日の日曜日の予定が雨天で本日に延期になった。
息子は、野球部に入ったこともあり、体を動かすことには小学校と違い、幾分抵抗がなくなってきたように思う。毎日のように体を動かしていることもあり、走り方もずいぶんよくなっているように思う。
目の前で、いろいろな子達の走り方を見ているとずいぶんと違うなと改めて感じた。手を横に振って走っている子、また前に転ぶのではないかと思うほど前傾姿勢で走っている子、上半身はあまり動かず下半身だけが早く動いている子、手をスライドさせ、足も地面をしっかり踏みしめて安定した無駄のない走りをしている子などなど様々である。このあたりは、小学生のうちに正しい走り方を教えているかなのかもしれない。
福島大学の陸上部の川本和久先生に指導を受けると、どんな選手でも速く走れるようになるという。(BS-i超・人のブログ 陸上監督/川本和久 より抜粋)
川本理論1――『力を地面に伝える』。
「地面に力を加えるから、上から下に足を振り下ろすことが一番のポイント。力が出る」と語る川本。川本が最も重視するキーワードが「力」。強い「力」が地面に伝わらなければ、速く走ることは出来ない。上から下へと足を振り下ろし、足が体の真下へと来た瞬間にトラックを強く「押す」。これが最大限に「力」を生み出す走法である。
川本理論2――『力を逃がさない』。
「膝が浮いた瞬間に、せっかく手にした力が抜けてしまう」と言う川本の理想は、足を一本の棒にして、力を一切、逃がさないこと。映像で見る一般の選手は、接地の瞬間、足首がブレている。このブレにより、力が逃げてしまうのだ。他方トップランナーは、足首がブレることなく、力を逃がさず、走ることが出来ている。
一般の選手の問題は足首だけではない。後ろから見ると、膝も接地の瞬間に外側へと歪んでいるのが判る。足を一本の棒と考え、力を伝える道具にするべきという川本理論。その理論によると、膝が外側へと歪み、力を逃がすこの走りでは、スピードは出ない。トップランナーは、膝が外側に逃げず、まるで足を一本の棒のようにしている。川本が目指す理想の走りに近い。
川本理論3――『力を生み出す』。
「速く走る力を生み出すのは、股関節周りの筋肉を動かし、使うこと」だと川本は言う。足を振り上げる時、太ももの筋肉が、グッと盛り上がっているのが分かる。さらに、足を振り下ろす時は、腿の後ろの筋肉が逞しく隆起する。
川本はトップランナーに必要な筋肉は限られていると指摘する。曰く、「腿の前後の筋肉が発達し、膝から下の筋肉はない。走るのには、足を上げる筋肉と下ろす筋肉しか使っていない」。
上半身の筋肉にも、鍛えるべき場所があると川本は言う。それは、前へと進む力「推進力」を増幅する筋肉。つまり、「腕まわりの筋肉」である。この筋肉を鍛え、大きく前後に腕を振ることで、前へと進む力は増幅され、スピードアップが期待されるのだ。しかし、川本理論によると、腕全体を鍛える必要はない。曰く、「腕を振る筋肉は肩周り。末端に錘をつけてもしょうがない。出来るだけ肩の真ん中につける」。
川本理論を実践するには、厳しい練習に励まなければならない。日本有数の練習量を誇るという福島大学陸上部。しかし、その練習量は科学によってコントロールされていた。
福島大学のトラックで時に見られる風景。彼女達は練習時に乳酸値を計測しているのだ。乳酸というのは、筋肉の疲労度を計る目安の1つ。川本は乳酸値を参考に、個々の選手に、最も効果が期待される練習量を設定していた。「乳酸は、エネルギー源のグリコーゲンを如何に使ったかが判る。速く動く筋肉と、遅く動く筋肉があるが、速く動く筋肉を沢山使う程、グリコーゲンが使われる。それで、どれ位選手が頑張ったかが判る。疲労度も判る」と川本は解説してくれた。
乳酸値に着目した結果、今まで勘に頼っていた練習量を、客観的に調整することが可能となった。乳酸の数値により、割り出される最も効果的な練習量――。川本理論は、こうした科学的なトレーニングにより選手達の肉体へと刻まれ、華々しい記録として結実にするに至る。
スポーツは理系と塾頭はよく言われる。スポーツを科学的にアプローチすることによって、今までの経験や勘、非効率的な練習はかなり避けられると思う。そのためには、あらゆる角度から科学すること、学習することが必要なのだと思う。日々努力。