半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

春の忙しさ、貯蔵物の美味しさ

2023年03月08日 | 朝取り野菜ボックスのお手紙

今週の朝採り野菜ボックスのお手紙です

 温暖な日が続いていますね。(月)は二十四節気の啓蟄(けいちつ)で、畑ではモグラがあちこちで地表にぼこっと盛り土を作ったり、小さな羽虫が飛んだり、テントウムシを見る機会も増えてきています。それにしても3月上旬で最高気温が20℃を超えるというのは私の記憶ではありません。昨年の9月~12月上旬まで、過去100年で最も気温が高かったと聞きますが、この春はどうなるのでしょうか?

 さて、3月に入ると農村は一気に忙しくなってきます。というのも虫が動き草が伸び始める時期は、当然、野菜にとっても萌える時期なわけです。そのため、まずは畑の草を取りのぞき、元肥を入れ、畝を立て、種蒔きや苗の定植が出来るよう畑を整理をする必要があります。

また、夏野菜の育苗も始まっていて、スイカやトマトなどの種はもう1ヶ月ほど前からハウスで育苗をしています。ハウスの中でさらにビニールトンネルを張り、必要に応じて温床で育苗するのですが、日が照ると30℃、40℃となってそのままだと出たばかりの芽が枯れてしまいます。かといって開けっ放しだと温度が上がらず全く育ちません。ということでその日の天候に従って開け閉めが必要なので、毎日、気が抜けないのです。

 また、今出荷している野菜の多くは貯蔵物かハウスやトンネルで育てたものです。今の時期の野菜は12月下旬から種を蒔いて育ててきたものなので、生育中は寒さ厳しき露地では育たたないのです。しかし暖かくなってくると今までは大丈夫だった草が急に繁茂してきます。特に5月以降に出荷する春人参や玉ネギは、今のうちに草を取らないと草だらけになってしまいます。そのため、トンネルの裾を上げて上半身を突っ込みながら草を取り、その後にまた閉めて、というような面倒な作業が必要なのです。


 と同時に田んぼが待っています。田植えを4月下旬頃から始めるとすると、それまでに田んぼの耕転、畦や排水路の整備、あるいは機械の手入れが必要です。更にそろそろ種を蒔く時期で、一度、種を蒔いたらもうノンストップ。野菜と同じで毎日様子をみながら育苗し、田植えまで一直線です。こんな風にこれからの米や野菜の準備と今育っている野菜の出荷を同時にするという意味で、春は最も忙しい時期の一つなんです。

 そしてもう1つ大変なのは野菜不足です。冬野菜が終わり夏野菜が出てくるまでの繋ぎとして、真冬にハウスやトンネルで育てた春野菜があるのですが、どうしても種類が限られます。そのやりくりとして、サツマイモやジャガイモなどの貯蔵物があります。

ただ、今の時期は萌える時期。芋類は芽が出てくる時期なのです。特にジャガイモは冷蔵庫保管していてもニョキニョキと芽が出てきます。そのため芽を掻いて出荷しているのですが、見た目はどうしても悪くなります。ただ、でんぷんは糖化してとろけるように甘く成り、驚くような美味しさになるんですね

 今回、おかげさま農場の北アカリをご注文頂いた方が多いのですが、見た目はシワシワで触感はぶよぶよしていて、一般的な硬いジャガイモとは違うと思います。ところがこれが農家のみなさんが口を揃えて言う「本当に一番美味しい時期なんだよ」ということ。良く言えば超熟成ジャガイモなんですね

見た目が悪いと一般流通しないけど、実際には現場ではこっそり食べている、なんていうのが色々あるのです。サツマイモは見た目はあまり悪くならず、採れたてより熟成させた方が美味しいという事を知っている人が多いのですが、ジャガイモは芽が出たら捨てちゃう人もいます。でも、本当はそのぐらい熟成させた方が美味しいんですよ

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