半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

プロの土作り、微生物や小生物の力

2009年12月17日 | 素敵な本
 寒くなってきて、作付けが無くなりました。最近は、畑にしょっちゅう行くことも無くなり、もっぱら図書館で借りる本も、野菜の育て方、というよりは、土つくりの本、あるいは、自然農法をやっている方の本を読むようになりました

 その中で、「プロ」の農家がやっている土作りの本を読んで「やっぱり凄いな~」という事を学んでいます。

 その中で、農文協が出している
・「有機物を使いこなす」
・「身近な素材でつくる ボカシ肥・発酵肥料 とことん活用読本」

の2つが、もし、自分がプロになるなら熟読するだろうな~、という本でした。

 前者は、20年ぐらい前のかなり古い本なのですが、「有機栽培」が増えてきた頃、「堆肥作りには、葉っぱや家畜の糞をただ入れればよい」という安易な考えに疑問を呈し、きちんとした論理と考えられた土つくりをやろうよ、と色々な事例を集めた本です。後者の本は、前者をより発展させたような本で、中身は多少重なるところがありますが、前者よりかなりわかりやすく素人でも読めるようまとめてあります。

 
 良く出ている家庭菜園の土つくりの本でも「堆肥を作るには、落ち葉を集めて米ぬかや鶏糞をまいて、発酵させて土に投下する」というのが一般的なものです。私も含め、ちょっと畑をやっている人は、大体この程度の知識じゃないでしょうか?

 ところがどっこい、本当に自身で苦労をしてきたプロの方々は違うんですね~例えば、ニンジン酵素。ニンジンと大豆クズとご飯と、、、を混ぜて、2ヶ月発酵させて、それを土にすきこむ、とか。「天恵緑汁」といって、韓国の自然農法から生まれた肥料は、春のヨモギやタラの芽のようなエネルギーあふれる野草を太陽が昇る前に摘み、黒砂糖と一緒に漬け込んだもの。これを土に与えると、微生物や小動物が増えて、土がふかふかになる、というもの。

 その他、竹林にいって、放線菌、いわゆる土着菌やカビを採種して培養したり、稲の切り株にご飯をかぶせて菌を採取したり、餅に生やしたカビを採取したり、、、と色々な菌を培養して、ボカシ肥や堆肥作りに使う、というもの。

 堆肥を入れれば、良い、というわけでなく、あくまで、基本的概念にあるのは、「微生物や小動物を増やす」という考え。

 地球の表層10㎝がいわゆる表土に、菌や昆虫などの微生物・小生物の90%がいて、彼らがきちんといる土は「生きている土」で、ふかふかしていて、肥料を与えなくても作物はきちんと育つ、ということなんです。1坪でいえば、表層10㎝に10キログラムの微生物・小生物がいる、ってことなんですね~

 そう考えると、私が行ったことのある畑で、そんなに微生物や小動物がいる畑ってほとんど無いんじゃないかな~、と思います。

 私は、自然農法の畑に行ったことが無いんですが、奈良の川口さんの畑にいったことがある人いわく、「地上は枯れ草や野菜の残渣などが敷き詰められている感じで、土が表面から見えないんですよ。そういったものの中に野菜が生えている感じ」と言っていました。

 他のある本を読んでも、例えば、豊かな森や草原では、土が表面に出ていることは無く、落ち葉などがじゅうたんのように敷き詰められている、って書いてありました。そういうところには、確かに、微生物や小生物が1坪で10キ㎏はいるかもしれない。なるほど、そう考えると、土がむき出しの畑っていうものがそもそも、自然からみれば、不自然なんでしょうね

 プロの農家は、連作、といって、同じ畑で毎年同じ品種をつくらなければいけないんです。例えば、さつまいもなんかは、毎年同じ畑なんで、毎年、殺菌剤や消毒剤を畑にぶちこむんですね。そうしないと、センチュウなどの害虫や、病気が発生して上手に作物が出来ないんです。
 家庭菜園などでは、輪作、といって同じ場所では2年~4年は同じ作物を作らないようにしよう、と、場所を毎年変えて作物を植えるのが基本なんですけど、プロはそうはいかなんですよね。

 でも、この本に出てきている方々は、例えば、特別な菌を培養して畑に蒔くことと、同じ大根でも数種類の品種を交互に植えることで、20年間、同じ場所で大根を連作しても、一度も障害が出たことが無い、っていう人もいるんです。びっくり
 
 じゃあ、植物と土って一体、どういった関係になっているのか?というと、例えば野菜が土に根を下ろすと、根の周りに「根圏菌」というのが集まってくるそうです。根は、一方的に土から栄養素を吸収しているわけでなく、根は土に分泌物を出したり、根が成長して土の中へ伸びて行く途中で少し切れてしまったりするんです。そういったものを求めて、微生物が集まってくるんですね。

 すると「根菌層」というのが出来上がって、根の周り数センチは、「非根菌層」と比べて微生物が多い状態になるわけです。


 一方、微生物はどんどん活発に動いて、土の中の有機物(有機肥料はもちろん、ちぎれた根っこなど)を食べて分解して無機物に変えてくれる。すると、その無機物(窒素、リン、カリ、など)を植物は根っこから吸収していくわけです。

 つまり、根っこと微生物は、それぞれ互いに共存しあって、それぞれを助け合って生き、成長しているんですね~ ああ、自然って何と素晴らしいんでしょう

 だから、昔の人は、例えば、豆に灰をまぶしてから蒔いたそうですが、それは理にかなっているそうです。根っこが出始めた最初の土が栄養に富んでいて、微生物が多い状態だと、少しずつ根が伸びてくるにしたがって、根菌層、も少しずつ増えていくので、畑の土が悪くても、根が伸びるにしたがって、根の周りの土も微生物が増えていくそうなんです。

 つまり、根が伸びると畑が耕される、というのは、単に根が物理的に土の中に進入して行くっていうだけでなく、根の成長と共に、微生物がいっぱい集まった「根菌層」が広がって行く、ということなんです。よく、「団粒構造の土が良い」と言われていますが、それは、微生物やみみずなどの小生物が土に分泌物を出して団粒構造化してくれるわけですが、根の成長と共に、「根菌層」が広がって、結果的に団粒化していくんですね

 ちょっとマニアックな話になってしまいましたが、ついて来れていますか?

 畑や土に関心が無いと、あんまり面白く無いか。。。 でも、家庭菜園や、土いじりが好きな人は、「へ~!」って思ってくれたのではないでしょうか?

 私は、「へ~」って思いました

 素人としては、葉っぱなどを中心にとりあえず堆肥を作って、畑に入れたら、なんだか有機っぽいことをやっているな~、と自己満足ができるので、それはそれでいいと思っています。

 ただ、畑が耕される仕組みとしては、微生物や小動物が畑を耕してくれるわけで、また、栽培物の根っこが根菌層を作っていくから耕されているわけで、そういった事を知ってやるのと、知らずに堆肥をぶち込めば畑はよくなる、と単純に思っているだけよりは、よっぽどやりがいもあります。何より自然の力、微生物や小生物の営みに目を向ける事ができるし、様々な生物がバランスを取りながら共存共栄している自然の素晴らしさを感じながら土いじりが出来て、より、土や畑が好きになるんじゃないかな、と思います。

 ということで、ちょっと小難しい話でしたが、私は「へ~!すごい!」と思ったので、皆さんに共有しました
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