半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

TED:テロリストの子どもに生まれて

2015年09月01日 | 自分の時間
最近、撮りためていたE-テレ(NHKの教育テレビ)のスーパープレゼンテーションを久々に見ました。

この番組は、アメリカの「TED」というプレゼンテーションカンファレンスの中から選りすぐりを紹介するもの。

今回は「テロリストの子に生まれて」という内容でした。

タイトルからして重みがある感じで、実際に観てみると、スピーカーのザックさんはテロリストの子どもだったという素性が素性だけに、とても話しに重みがありました。

彼は過激思想の下で育ったわけで、いわゆる「偏見」がたくさんありました。

しかし、知り合ったユダヤ人の友達や、遊園地で働いたときに一緒になったゲイのパフォーマーなど、様々な人達と交流することで、自分の「偏見」を捨てていくことが出来たそうです。


また、自分がテロリストの子どもだという素性を隠そうとして内向的になり、転校も繰り返していたので友達も出来ず、太ってもいたので「小太りで内向的だといじめられる」という典型だったといいます。

だから、「偏見を持たれる人の心の痛みが分かる」とも言います。

そんな彼が、「テロリストの子どもだ」ということを明かして、「テロを無くすため、テロリストの犠牲者のため」に活動をしています。


特に彼の言葉で印象的だったのが2つあります。

まず、「父は自分の不幸の原因を社会に向けた」という言葉と、「宗教と人種は、本来は暴力とは関係が無い」という言葉です。

これはとても意味深い言葉だと思います。


まず、自分の幸せや不幸は自分の社会の見方であり、どんな事象も自分が原因であり、どんな境遇も自分を成長させるためのものと受け入れ、日々を一生懸命生きるというのは現代でも大切な教えだと思います。

私も若かりし頃は「自分探し」みたいなことをやっていましたし、多くの人が「自分は何をすればいいのか?」といった思いや、会社や上司やパートナーに対する不満を持っていると思います。

でも、最終的には「今の世界を作っているのは自分である」というパラダイムを持たないと、前に進めない。
そういった考えをもって、初めて大人として人生を歩めるようになると思います。

こういったことが、仕事があって、お金があって、とりあえず暮らせる、という状態の日本では、社会革命といった行動には移りません。

しかし、戦後の日本、あるいは中東やヨーロッパなど、若者の仕事が無い状態では、これは社会革命につながります。

仕事が無い若者が自分の境遇を「社会のせい」にすることで、「自分が不幸なのは社会のせい」になります。

その社会に多大な影響を与えたり政治を独占している人達は、特に海外ではある特定の人種やある特定の宗教の派閥で独占されていることが多いわけで、そうすると、彼らを敵視し、彼らをやっつけなければ自分達は幸せになれない、と思う思考になるのもわかります。

日本も同じで、明治維新後、薩長派閥に独占された新政府に対し、「討伐」された旧会津藩士などは「憎悪」したわけです。
また、特権階級だった武士という立場をなくされた武士達も「江戸時代の方が良かった」という思いになり、米から租税がお金で納めなければいけなくなった結果、大変な苦労をした農民も「江戸時代の方が良かった」という思いになったわけです。

その「社会が悪いのは薩長の奴らのせい」という怒りや憎悪が10年間満ち満ちて、様々な各地の反乱や一揆、そして西南戦争につながったわけです。

戦後の安保闘争も似たようなものですよね。


ただ、現在の中東・西欧諸国の戦争は宗教や人種が絡んで、そこにアメリカなども絡んで、もうどうにもならないほど複雑です。

それでも「宗教と人種は、本来は暴力とは関係が無い」というザックさんの言葉はシンプルでパワフルです。


また、宗教や人種の対立が戦争やテロの原因だと喧伝されていますが、「本来はそうではない」ということは、誰もがわかっていること。
でも誰もがわかっているけど、絡み合った糸はほどけない、と現実にただただ立ちすくむだけです。

それでも「本来は暴力の原因ではない」ということは、シンプルで、かつ事実であり、それをテロリストの子どもだったザックさんが語ると、とても重要なこととして受け止めることができます。

社会の一部を独占し、お金を稼ぎ、自分達のポジションを守っていこうとしている人達がいます。

彼らを敵視して、彼らと対立することは解決の糸口になりません。

自分の境遇、自分の生きるコミュニティー、国がどうであろうと、ガンジーのように、自分が住む世界は自分の心がけ次第、自分で作っていくものだ、というパラダイムを持って生きていくことが大切だと久々に思い返したスピーチでした。

http://www.ted.com/talks/zak_ebrahim_i_am_the_son_of_a_terrorist_here_s_how_i_chose_peace?language=ja
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