酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

クリントン訪朝の意味は

2009-08-05 05:44:24 | Weblog
 アメリカのクリントン元大統領が突然訪朝、金正日と会談したという。米政府は「私的活動」だとし、メッセージなども託していないと述べている。でも、これを本気にする人は世界でもごくわずかだろう。恐妻家のビルが女房の顔を潰すような挙に出られるわけがない!? 一体アメリカは何を狙っているのか。


 《北朝鮮で拘束中の米国人女性記者の解放交渉のため平壌入りした米国のクリントン元大統領は4日、金正日総書記と会談した。北朝鮮メディアは両者が「共同の関心事となる諸問題に関して幅広く意見交換した」と報道。総書記と米国要人の会談は2000年10月のオルブライト国務長官(当時)以来約9年ぶり。米政府は「私的な活動」と説明し、交渉決着まで言及を控える姿勢を示した。

 朝鮮通信(東京)が伝えた平壌放送の報道によると、クリントン氏は会談でオバマ米大統領のメッセージを口頭で伝達、総書記は謝意を表明した。だが、ロイター通信は米ホワイトハウスが「メッセージは届けていない」(ギブズ大統領報道官)として、事実関係を否定したと報じた。

 北朝鮮側は記者解放をきっかけに、米国との包括的な協議を実現し、対米関係正常化と体制安定を図る狙いがあるとみられている》=日経NETT=

 東洋系米国人の女性記者2人が中朝国境付近で北朝鮮軍に拘束されたのは3月17日である。その後労働教化12年の判決を受け、現在は「招待所」と呼ばれる隔離施設に収容されているらしい。

 女クリントンは先月「記者2人と家族は事件に対して深く反省を示している」と述べ、暗に謝罪の意思を表明している。これが男クリントン訪朝の布石だったのだろう。

 国連を舞台に米朝の接触が行われていたという。潘基文事務総長も29日の記者会見で、自身が訪朝することもあり得るとの考え方を示していた。北から何らかのメッセージがあったと見るのが常識だろう。

 今回の訪朝で2人の解放まで行き着くかどうかは不透明だ。むしろこれで正式な米政府代表がピョンヤンに出かける足掛かりができたと見たい。焦点は北が見返りに求めるものだ。エネルギー支援などは当然出てくる。

 アメリカは核、ロケット問題での制裁決議がある以上、公然と支援することはないだろう。だが、何事にも裏がある。第3国を介して秘密裏に経済援助が行われると考えた方がいいのではないか。

 日本はまたも置き去りである。米朝の対話チャンネルができれば、北が日本と話す意味は失われる。反米、反朝鮮ムードがまた高まることになる。時は終戦の月の八月、例年になく「にぎやか」になりそうだ。
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「軍人市長」の蛮勇

2009-08-01 06:36:27 | Weblog
 防大出の元自衛官である鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、また見事な豪腕ぶりを見せてくれました。


 《鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は31日、4月に不信任決議を受けて失職した直後、市役所各課の人件費総額を記入した張り紙をはがした男性職員(45)を同日付で懲戒免職処分とした。市長から処分の諮問を受けた市賞罰委員会は「文書訓告が相当」と答申したが、市長が押し切ったという。市職員労働組合は「懲戒免職は重すぎる」と反発しており、波紋が広がりそうだ》=31日・西日本新聞=

  竹原と言えば、自身のブログで「最も辞めてもらいたい議員は誰?」というアンケートを掲げ、議員全員の名前を挙げてアンケートを募ったことで名を馳せた。

 反発した議会から不信任を突きつけられたが、議会を解散して抵抗。新たな議会構成になってから、再度の不信任を受けて失職。出直し選挙でカムバックを果たした豪の者だ。

 市職員の「高給」がよほど頭にきているらしく、300人弱の全職員の給料を公表したこともある。これが結構市民に受けているらしい。隣に蔵が立てば、わしゃ腹が立つ~という心理だ。庶民の暮らしがそれだけ傷んでいる証拠だろう。

 竹原の個性がそうさせるのか、防大~自衛隊を通じた経験と教育のせいなのか。大向こう受けを狙うのもいいが、法律ぐらいは知っていた方がいい。ビラをはがしてクビ、はない。

 戦場で上官の命令に背けば軍法で裁かれる。竹原は市役所もそうした組織だと考えているのだ。馬鹿な市長の命令には従わない。これも公務員として「立派な」判断だ。この懲戒免職処分は、訴訟になれば「解雇権の乱用」だとして市長敗訴になるだろう。

 もっとも、この御仁は法律や裁判所など、くそ食らえという考え方の持ち主だ。当然のことながら市役所内に事務所を置く市職員組合に対して、「ここから出て行け」と退去を迫った。

 組合が事務所使用許可取り消し処分の無効を訴えた仮処分を裁判所が認めると、竹原は「この件は公務員全体の問題だ。裁判官も公務員であり、公平な判断は期待できない」という趣旨の発言を行っている。


 法や裁判所に従わなくてもいいという思想が、防大や自衛隊ではぐくまれたとしたら、問題の根は深い。かの田茂神の例もある。

 それにしても阿久根市民はどうしてこんな男を市長に選んでいるのか理解に苦しむ。いくら鹿児島が軍人が好きな土地柄とはいえ、労働法のいろはを無視するような人物を市のトップに据えておくのは恥ずかしいのではないか。

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