酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

ハリさん「1本取れれた」

2009-02-09 04:38:41 | Weblog
 日曜の朝、出かける用事がないときは何ということなく「サンデーモーニング」をぼんやり見ている。金子先生とサタカさんの石頭ぶりや寺島さんの話もそれなりに面白いが、お目当ては例の「カーツ!」コンビだ。

 特にハリさん(張本勲)がいい。いま読売新聞「時代の証言者」がハリさんを連載しているが、これを読むとあのキャラクターがどうして形成されたかが分かる気がする。で、ハリさんの口癖は「今の選手は練習が足りない」である。キャンプで新しいトレーニング法に取り組む選手を手厳しくやっつけるのも面白い。

 8日は西武の中島裕之がバランスボール・トレーニングでボールの上に立っているのを見て一喝。「転んで捻挫でもしたらどうするの。とんでもない」とおっしゃった。中西哲生が「体幹を鍛える良いトレーニング」とフォローしたとおり、バランスボール・トレーニングはいまや常識であり、立つことを目指すのも当たり前だ。中西に指摘されたハリさんの仏頂面がまたいい。

 先週は坂道で「車押し」に挑戦したソフトバンクの馬原に喝を入れ「何の足しにもならない」としかっていた。ハリさんの頭にあるのは①怪我をしかねないトレーニングは駄目②筋トレより走る、投げる、振るだ…といったものだろう。

 ハリさん思想の大本は精神論だ。練習はつらく厳しいものという考えが染み付いている。手のひらの皮がくっついてしまうほどバットを振り込む。汗と反吐の海に顔を突っ込み、動けなくなるまでノックを受ける。「これだけやったんだから、誰にも負けない」。激しい練習は自信の裏づけでもあった。

 いまもそう大きくは変わっていないだろう。練習メニューが豊富になり、面白くてためになるトレーニングが生まれている。変わったことをやると気分転換にもなる。このあたりの感覚をハリさんに求めても、ないものねだりになるだろう。

 イチローと比較されるたびに「日本で3000本打ったのは私だけですから」という強烈な自負心は尊敬に値する。独断と偏見は清涼剤にもなる。
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なぜ円天なんかに引っ掛かる

2009-02-08 06:02:11 | Weblog
 減らないお金「円天」の波会長らが組織的詐欺の疑いで捕まった。連中が集めた金は〆て1200億円とか。年36%の高利などのあり得ない話に引っ掛かかっている。余分な金がないわが身には関係ないことだが、どうしてこんなインチキにだまされるのか、本当に不思議だ。

 一般にマルチ商法では、最初は儲けさせてくれる。これでころっといってしまうらしい。調理器具などを扱っているAにはまって、高校の教師を辞めた奴を知っている。儲かる上に、「良い品」を知人に勧めることに魅力を感じていたようだ。今は転居して行方不明である。

 円天市場もそんな具合だったのだろう。L&Gの集客イベントには有名歌手やタレントが出ていたという。信用度を上げるためだ。細川たかしや松崎しげる、水前寺清子らは新聞報道にも顔を出している。詐欺の片棒を担いでいたことをどう思っているのだろう。「知らなかった」では済まされない。


《「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区、破産手続き中)による組織的詐欺事件で、30人の歌手やタレントが、同社が新規会員獲得などを目的に開いたイベントに参加していたことが被害対策弁護団のまとめで分かった。3度の出演で1070万円を受け取った有名演歌歌手もいた。警視庁などの特別捜査本部は、会長の波和二(かずつぎ)容疑者(75)らが事業を信用させるため、歌手らの知名度を利用していたとみている。

 報酬を受け取ったと答えたのは8人。歌手が5人でタレントが3人。1人当たりの報酬額は最少で10万、最多は1070万円だった。返還については、最少額のものまねタレントは「返還したい」と答えたが、「考えてない」が5人と多く、「検討中」「無記入」が各1人だった。

 462万円を受け取っていた歌手の水前寺清子さんの事務所は毎日新聞の取材に、「L&Gや円天市場を宣伝するなどはしていないため、返還は考えていない」と回答。700万円を受け取っていた歌手の松崎しげるさんの事務所は「NPO主催でそうそうたるメンバーが参加していたので、問題ないと思っていたが誠に残念。返還は検討中」とした。

 一方、弁護団は08年5月、「新たな会員の参加や既存会員の出資を促進した」として歌手の細川たかしさんを相手取った損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしたが、細川さんの事務所は6日現在回答書を弁護団に提出せず、毎日新聞の取材にも答えていない》=毎日web=


 細川は暴力団組長とのゴルフ交際でNHKを降ろされてもいる。円天コンサートで名前が上がっている30人ほどの中には、ヤクザとつながりが深いと見られる人物も多い。今も芸能界は裏社会と縁が切れないのだ。

 不景気が進行すると、コネや人脈社会が復活する。変な人物の怪しい話に引っ掛からないよう気をつけたい。
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「貴乃花」名誉毀損で社長も賠償!

2009-02-06 05:33:22 | Weblog
 画期的というかとんでもというか、なかなかの判決だ。週刊新潮の記事で「名誉」を傷つけられたとして貴乃花夫婦が新潮社と社長を訴えていた裁判で、東京地裁が「社長にも責任がある」として個人での賠償も求めたのだ。


 《大相撲元横綱の貴乃花親方=本名・花田光司=と妻景子さんが、週刊新潮の記事で名誉を傷付けられたとして新潮社や佐藤隆信社長らに3750万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は4日、375万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。八百長疑惑などの記事について、松本光一郎裁判長は「十分な裏付け取材はなく、真実とは認められない」と指摘し、「名誉棄損を防ぐ社内体制が整備されていない」として、社長個人の賠償責任も認める異例の判断を示した》=毎日WEB=

 事実認定に関しては情報がないので評価はできないが、社長個人にまで賠償責任を求めたのは明らかに行き過ぎだ。新潮に限らず、メディアの経営者は編集に直接介入しないのが原則である。社内に公序良俗遵守などの徹底を図る責任は追うべきだが、一般的なものだろう。

 判決は「代表者には権利侵害を防ぐ義務があるのに、研修や記事のチェック体制などを整えておらず、重大な過失がある」と決め付ける。新潮社の体制など知る由もないが、それほど重大な過失があったとは信じがたい。

 週刊新潮は飛ばしの多い週刊誌で、善意よりも悪意を得意としているように見える。いわば懲りない週刊誌である。おそらく裁判長はこの点を咎めたのだろう。新潮の脇の甘さが突かれたということかもしれない。

 本件に限らず、このところ各種の名誉毀損裁判ではほとんど原告が勝訴している。しかも賠償金額は高額化する一方だ。「有名税」などという言葉はなくなってしまった。

 スポーツ選手やタレントのスキャンダルを取り上げて騒ぎ立てるのもいかがなものかとも思うが、社会の背景みたいなものだ。ぎしぎしと締め付けては景色が歪む。何より、メディアの萎縮が心配だ。それでなくても縮こまっているのに…。

 

 
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誰もが買いたい「かんぽの宿」

2009-02-05 05:11:53 | Weblog
 1万円で買った物件が6000万円で転売できればボロもうけだ。誰もがそう思うに違いない。民営化前の旧郵政公社の「かんぽの宿」売却をめぐって噴き出した錬金術に驚く。100を超える施設を一括で購入しているのだから、中にはそうした物件も含まれる、とする声もないではない。だが、国の資産がたたき売りされていることに変わりはなく、なぜそうなったのかについて、きちんと説明すべきだ。

 こういう事例を見せられと、庶民は働く気がなくなる。右から左に土地や建物を転がすだけで、数千倍の利益が得られる。結局金を持っている奴が得をするんだ。こういう気分である。昨日の衆院予算委員会では、さらにひどい例が出てきた。評価額の1000円で買い取られた物件が何と4800万円で転売されていたのだ。


 《 07年3月に旧日本郵政公社が一括売却した不動産のうち、旧沖縄東風平(こちんだ)レクセンター(沖縄県八重瀬町)を評価額1000円で取得した東急リバブルが、那覇市の学校法人に4800万円で転売していたことが4日分かった。同日の衆院予算委員会で国民新党の下地幹郎議員が明らかにした。

 下地氏によると、学校法人は3500万円で契約しかけたが、東急リバブルが「競争相手がいる」と言ってきたため、最終的に4800万円で契約したという》=毎日web=


 こうなるとオリックスだけの問題で済ますわけにはいかない。郵政公社の民営化に絡んだすべての売却物件を総点検する必要がありそうだ。国鉄、NTT、郵政……、民営化の影に巨大な利権が渦巻いているのではないか。目端の利く政商が国の資産に群がり、おいしいところを食い散らす。この構図はいまも変わらない。

 かんぽの宿をオリックスが一括購入したことに噛み付いた法相を「勝手な物言い」と批判したのは朝日新聞だ。ところがここにきて、旗色が怪しくなってきた。「ちゃんと説明してほしい」などと言い出したのだ。

 入札がきちんと行われていれば何ら問題はない。朝日が当初こうした主張をした背景には、かつての自社の土地購入をとやかく言われたくないとの思いがにじんでいるように見える。有力メディアが大都市の一等地にある国有地を払い下げてもらっていることはつとに知られている。このあたりをほじくり返されたくないのだろう。

 罪なきものまず石をなげうて、である。

 
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「政府紙幣」だって

2009-02-03 04:56:51 | Weblog
 「100年に一度」の経済危機に対応するため、政府紙幣を発行してはどうかとの自民党内から声が出ているという。

 《政府が日銀に代わって紙幣を発行する「政府紙幣」の導入論が浮上してきた。政府紙幣を発行すれば財源を気にせず景気対策が実行できるため、推進派は「先進国で最初の不況脱却を掲げる麻生政権の切り札になる」と主張。一方で、通貨価値の下落を通じ、物価が上昇するインフレや円安を招く「副作用」を指摘する声もある。麻生太郎首相は2日夜、「今のところそういう段階ではない」と語り、導入に消極的な見解を示した。 

 政府紙幣は日銀が発行する通常の紙幣と違い、政府自身が発行する「第二の紙幣」で、社会保障や失業対策に充てる案が浮上している。元財務官僚の高橋洋一東洋大教授が25兆円規模の発行を提唱、自民党の菅義偉選対副委員長が1日のテレビ番組で「非常に興味がある」と発言したことから導入論議が盛り上がりつつある》=時事=

 こういう荒唐無稽な話が現実になったりするから、政治は恐ろしい。麻生首相は「太政官札?」ととぼけていたようだ。しかし、「今のところその段階ではない」とも答えている。経済状況がさらに深刻になればあり得る、ということだろう。

 世界経済は09年はさらに悪化し、10年の前半も厳しい。回復モードに入るのは早くても10年の後半から--というのが大方のエコノミストの見立てである。この段階で政府紙幣導入話を打ち上げたのは、近い将来へ向けてのアドバルーンのような気がする。

 アメリカが国債返済のため大量のドルを刷り増すのは確実である。借り手がないにもかかわらず日銀券も大量発行されている。これらはいずれ紙くずになると見た方がいい。そうでもしなければ1000兆規模の借金を返せるわけがない。

 高橋先生は《100年に一度の経済危機には異例の対応が必要。物価上昇率が一定水準に達した時点で発行を止めれば問題ない。世界的に強まるデフレ懸念の払しょくにも効果がある》=時事=との見解だが、大いに疑問だ。

 第一、こんな「贋金」もどきを出すといった時点で国民の経済への不安は頂点に達する。政府紙幣はおろか日銀券まで価値を疑われるに違いない。そうなればハイパーインフレの到来だ。むしろ政府はそれを望んでいるのかもしれない。
 
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「天地人」その後

2009-02-02 05:32:03 | Weblog
 郷里の山がタイトルバックに出てくるという理由だけで「天地人」を見続けているが、どうもここに来てずさんな脚本や安っぽいセットが気になりだした。それもこれも、不景気のなせる業か。

 中でも笑わせてくれたのが長沢まさみ扮する初音の役柄変更である。

 《NHKは28日、大河ドラマ「天地人」で、長沢まさみさんが演じる真田幸村の妹・初音を、幸村の姉に設定変更したと発表した。

 初音は架空の人物で、火坂雅志さんの原作小説では、初音は幸村の姉になっており、視聴者から「原作と違う」などの指摘があったという。

 NHK広報局は「混乱を避けるために原作通りの設定に戻した」と説明している。ホームページでの人物紹介文も変更した》=読売web=

 新聞に連載されていた当時、斜め読みしただけだから確かなことはいえないが、ドラマの設定と原作とは大いに異なる。ここまで改竄するのは珍しいのではないか。おそらく、原作者の火坂がそれを許したのだろう。「天地人」が新聞連載された新潟、山形、福島では多少知られているかもしれないが、これまでの大河ドラマ原作者とは格が違う。このドラマが火坂を全国区の作家にすることになるのだろう。

 だから、脚本の小松江里子やNHK側のなすがまま。ということではないか。秀吉を笹野高史が演じているのもひどすぎる。笹野はもう還暦だ。対して吉川信長は40代前半。実際は信長は秀吉より2歳年長だ。いくらなんでもこれはない。

 上杉謙信の居城や毘沙門天が安置されている変な洞窟など、セットがお粗末すぎるのも気に入らない。信長の岐阜城も重厚さに欠けていた。大奥が舞台だった「篤姫」とは時代も状況も異なるが、貧弱さは目を覆うばかりだ。制作費削減指令が出ているのかもしれないが、工夫がなさすぎる。これでは早晩、見放されるのではないか。人気キャストに頼った番組づくりには限界がある。

 

 
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