酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

高校駅伝も甲子園の猿真似とは

2008-03-05 21:41:22 | Weblog
 高体連の理事と評議員に、競技経験のある人はどのくらいいるのだろう。思わず、そう首を傾げたくなる。

 全国高体連は3日、都内で理事会と評議員会を開き、全国高校駅伝競走大会の最長区間の1区(男子10キロ、女子6キロ)に、外国人留学生を起用できないとする要項改定案を改めて報告、08年度の都道府県予選から適用する方針を確認した。5月19日の大会実行委員会で正式決定される見通しだ=3月4日付け毎日新聞=。

 何のための要綱改正なのか釈然としない。高体連陸上専門部の事務局長は「インターハイの最長距離は男子が5000で、女子は3000.(倍の距離の)駅伝1区では力の差もインターハイの倍になる」と言う。何を言いたいのかさっぱり分からない。

 要は1区で勝負が付いてはレースが盛り上がらない、ということなのだろう。盛り上がるかどうかは、高体連が決めることではない。1区からのぶっちぎりでも感動するレースはある。競り合いが駆け引きに終始し、いらいらすることもある。それらすべてを踏むめての全国高校駅伝、都大路ではないのか。こんなくだらない「改正」にうつつを抜かしている限り、日本(とりわけ男子)の長距離界は世界から遠ざかるばかりだ。

 ここ10数年、男子の1区で日本人選手が1位になったことがないという。これが世界との力の差だ。「飛び出す外国人留学生を追う勇気がほしい」ぐらいのことがどうして言えないのか。今回の改正はスポーツとは無縁、演出本位の決定だと断言できる。

 主催の毎日新聞は社会面とスポーツ面に書き分け、理屈にもならない言葉を並べ立てている。朝日や読売は載せてあるだけ。何の論評もない。昨年の高校野球で懲りたのだろう。ここにも大新聞の思考停止状況が良く現れている。

 高校野球で「特待生は投手を務めてはならない」などという規則が考えられるか。サッカーで「留学生はFWはできない」とするルールはあり得るか。1区起用禁止はこれと同じことを言っている。チーム編成にまで高体連が口を挟むのは、どう考えてもおかしい。

 <「慎重審議 10ヵ月」などという見出しを付けて、「(従来の1チームの留学生枠である)20%程度という目安を、柔軟に適用した先例ともいえそうだ>とは、毎日のK記者の解説もどきの記事である。

 いくら社命とはいえ、スポーツ記者がこんなわけの分からないことを書いてはおしまいだ。スポーツにおける最大の掟は公平性だ。主催者にオーダーを左右されるような大会は、もはやスポーツ大会とは呼べない。
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朝日新聞が「朝日ホールディングス」に変わる日

2008-03-04 04:10:31 | Weblog
 朝日新聞社とグループ企業の朝日ビルディングは、フェスティバルホールや朝日新聞大阪本社が入るビル3棟を二つの超高層ビルに建て替える「大阪・中之島プロジェクト」の計画概要を発表した。大通りを東西から挟むように建てるツインタワーは、ともに高さ200メートル。最高水準の耐震性と最先端のオフィス環境を備え、長年親しまれてきた大阪朝日ビルの丸みを帯びた外観は低層部に受け継ぐ=2月29日付け朝日新聞。

 新聞の顔とも言える1面に、こんな不動産広告まがいの記事を写真つきで掲載するなんて、朝日新聞もやりますね。ご丁寧に第3社会面まで使っている。朝日新聞から「新聞」の二文字を取って「朝日ホールディングス」とでも改称した方がよさそうである。

 総事業費は1000億円規模、さすが朝日だ。

 高級ホテルやショッピング施設も入るらしい。大阪の六本木を目指す勢いだ。しかし、このツインタワー、変な格好ではないか。下は昔の丸ビル、上は近代的なタワー。「木に竹を接ぐ」とはこのことだ。

 創刊を目指している「高級紙」をめぐって内部対立が続くともいわれる朝日の分裂ぶりが建物のデザインにも反映されているようでほほえましい。

 冗談はさておき、毎日の名古屋ビルといい、この新朝日タワーといい、新聞社が本業で食えなくなっていることの現われではないか。新聞社には、本社所在地の土地購入などでとかくの噂が絶えなかった。不動産屋の素質はもともと備わっていたんだな、きっと。

 新聞の末期症状を告げる動きが目立つ。朝日、読売、日経の「あらたにす」もその一つだ。yahooやgoogloの向こうを張るというよりも、共同+地方紙連合の47ニュース叩きが狙いと見た方がいい。足の引っ張り合いは業界が左前になったときに起きると相場が決まっている。不祥事の暴きあいもこうした流れを映したものに違いない。

 毎日がJ字なるネーミングで始めた「大文字化」競争はとどまるところを知らない。文字数を減らして字を大きくする。年寄りが読みやすいのは確かだが、減った情報量をどこでカバーするのか。読売、朝日はページ増を考えているかもしれない。そうなれば地方紙は体力勝負で疲弊する。

 電通などと組んだ、広告サイズの変更なども企図している可能性が濃厚だ。矢継ぎ早の紙面変更で地方紙を引きずり回そうという魂胆なのだろう。

 グループ総体としての経営体力を高め、ペーパーレス時代の生き残りを策す。

 普通の企業であれば特に問題はない。だが、報道・言論機関で株式譲渡に制限がある新聞社の所業となると、話は別だ。新聞本体も多角経営がもたらす余波を受けずには済まないからだ。利益第一主義が報道や論評を押しのける。社会の木鐸などという言葉はそこでは死語である。

 世界に冠たる新聞王国・日本から、まともな新聞がやがて消える。朝日の新大阪ビルが新聞の壮大な墓標とならないよう祈るだけである。

                         合掌。
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共同北京総局記者の奇怪な行動

2008-03-02 06:27:06 | Weblog
 <中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品がある中国河北省で取材していた共同通信社中国総局の記者が今月15日、有機リン系農薬成分のメタミドホスを購入、所持していたとして河北省当局に拘束されていたことがわかった。28日に記者会見した中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長が「日本の記者」の違法行為があったと言及した。

 同社の伊藤修一編集局長は「河北省の工場周辺でメタミドホスが入手可能かどうか検証するために購入したと聞いている。取材上の行為が中国の法律に反したことは遺憾だ」としている。(朝日新聞)>

 これは一体どういうことか。編集局長は「取材上の行為」というが、この記者は実際に購入し所持しないと検証にならないと考えていたのだろうか。だとしたら、大ばか者だ。販売と使用を禁じられている薬物を所持することが、どんな行為に当たるのか全く分かっていない。しかも、場所は中国だ。この軽率さは考えられない。

  記者のプロフィルは明らかになっていない。日本人の記者なのか。中国への留学歴は、北京に派遣されて何年経つのか。ここら辺りに、不可解な行動の謎を解く鍵が潜んでいそうだ。思慮の足りない記者が引き起こした単純な「事件」とみなしていいのかどうか。

 この記者は購入したメタミドホスを車の後部座席に置いていて検問で引っ掛かった。ちょっと話が出来すぎていないか。「日本の記者がメタを買いたがっている。来たらこれを売って、すぐ警察に連絡してくれ」。中国公安がこういう仕掛けをした可能性は大いにある。

 狙いは一つ。「メタは日本人が簡単に入手できる薬物だ」と宣伝するためである。同じ日に公安省が「中国国内で混入した可能性は極めて低い」と述べたこととも符合する。ギョーザ事件のメタも日本人が持ち帰ったものが混入した、というわけだ。

 中国は情報操作が行き届いた国だ。こんな単純な罠にはまる記者が、北京で取材をしているとしたら、それこそ不思議である。

 そうすると、この記者は中国のエージェントではないかとの疑問が浮かぶ。すべてが出来レース。これなら万事説明が付く。

 ロシアや中国の東京特派員が、エージェントも兼任しているケースが多いのは半ば常識化している。CIAもいる。自国に派遣される外国人記者を取り込もうと志向しないほうがおかしい。

 共同編集局長の説明が事実なら、この記者は何を検証しようとしたのか。「メタミドホスは誰でも簡単に入手できる」ことは実証できた。ではそこから紡ぎ出される原稿はどうなる。

 多分こうだ。

 中国製ギョーザ中毒事件で使われたメタミドホスは、中国国内では外国人でも簡単に入手できることが共同通信の調査で明らかになった。メタミドホスの入手経路が広がったことで、事件の捜査はますます拡散しそうだ。
 警察庁も「国内に持ち込まれた可能性は排除できないが、そうなると雲をつかむような話になってしまう」と困惑している。

 これだと、事件は迷宮入りだ。そうなりそうな気配がするのが余計に不気味だ。

 

  
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沖縄少女暴行事件

2008-03-01 18:10:22 | Weblog
 沖縄に駐留する米海兵隊員が女子中学生を暴行したとされる事件は、被害者が告訴を取り下げたため突然の幕引きとなった。少女は「事件にかかわりたくない。そっとしておいて」と話しているらしい。被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪捜査の難しさが浮き彫りになった格好だ。

 現地沖縄では「事件は終わったわけではない」と反発する空気が強いようだ。これまで沖縄が味わった屈辱を考えれば、そうした反応も理解できる。このまま、うやむやのうちに時間が経過すれば、再発防止策も忘れられてしまいそうだ。

 在沖米軍は、軍の司法機関で引き続き捜査を続ける意向を表明している。日本の刑法とは違う軍法での扱いがどうなるか。注目したい。

 同時に、親告罪で告訴を取り下げて不起訴になった「元容疑者」の処遇も軽視できない。本件では米兵は否認を貫いている。裁判がなくなり、彼は限りなく灰色という立場を生涯にわたって押し付けられることにもなる。

 刑法の原則では判決が確定するまでは無罪と推定される。いかなる犯罪であろうとと、変わりはない。容疑者の社会的地位、年齢、職業、国籍などによって「あいつがやったに違いない」と軽々に断定するのは禁物だ。たとえ犯人であっても、よってたかって袋叩きにしていいわけではない。

 1年後には裁判員制度が始まるというのに、この国はメディアも含めて集中攻撃の癖が抜けない。手足を縛られた人間を叩くほど簡単なことはない。だが、そういうことを続けていくうちに、叩く理由や意味を考えなくなる。それが怖い。

 告訴を取り下げた少女に対して「なぜ逃げるのか」と非難する声があるという。法律や規則が何のためにあるかを理解しない反応というべきだ。人間を人間として守るために法律がある。容疑者を罰することと、自分の名誉や将来を守ることを比較考量した結果の選択に他人が口を挟むのはいかがなものか。

 再発防止には、2年前に合意した在日米軍再編の在沖縄部分、特に海兵隊のグアム移転を加速させることが重要だろう。問題を引き起こすのは実戦部隊である海兵隊員のケースが目立つ。戦場や厳しい訓練がストレスにつながり、非行の遠因担っているのかもしれない。「再編はセット」という考え方を改め、海兵隊分を先行実施すべきだ。

 日本政府がこの点に言及しないのは理解できない。ライスに正式抗議もできなかった福田首相では無理か。
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