酔眼独語 

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日朝協議で何か進展したの

2008-08-13 04:41:42 | Weblog
 11日から2日間、中国の瀋陽で開かれていた日朝実務者協議がきょう未明に終わった。各紙の速報を見ると、一定の前進があったように書いているが、そうなのだろうか。



 《【瀋陽=玉川透、牧野愛博】中国の瀋陽で11日に始まった日本と北朝鮮の外務省実務者による公式協議は13日未明、北朝鮮が拉致被害者再調査のための委員会を早期に立ち上げ、秋までの調査完了を目指すことなどで合意して終了した。

 日本側は、委員会が立ち上がった段階で、人的交流の再開など、制裁の一部緩和に踏み切る。(略)

 協議には日本から斎木昭隆外務省アジア大洋州局長、北朝鮮から宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使が出席した。斎木氏によると、合意の主な内容は以下の通り。

 【北朝鮮側が取る措置】

 拉致問題の具体的で全面的な再調査を行う。

 権限を与えられた調査委員会を迅速に立ち上げ、可能な限り秋までに調査を終了する。

 調査の進展過程を日本に随時通報する。

 日本が関係者への面談、資料の共有、関係場所への訪問などを通じて調査経過について直接確認することに協力する。

 【日本側が取る措置】

 北朝鮮の調査委の立ち上げに並行して、人的交流やチャーター便の往来の規制を解除する。》=朝日電子版



 「調査委員会」が登場し、「可能な限り」秋までに調査を狩猟する。進展過程を日本に報告する--といったあたりが、具体的調査方法への言及だと外務省は解説したのだろう。



 調査の主体が委員会であろうが司法当局であろうが関係ない。したがって、委員会の立ち上げをもって経済制裁の一部を解除するなどという判断はおかしい。相互主義の原則に従って、相手が何か行動したら、行動で返す--と外務省は言いたいのだろうが、片務的では話にならない。



 6月の日朝協議合意は以下の内容だ。

 「北朝鮮側が取るべき行動」

1、拉致問題解決の具体的行動として、生存者を発見し、帰国させるための調査再開。
2、日航機「よど号」の乗っ取り犯とその家族の引き渡しに協力。

 
 「日本が取るべき行動」
1、経済制裁のうち、日朝間の人的往来と航空チャーター便の乗り入れの規制解除。
2、北朝鮮船舶が人道支援物資を運搬する場合に限り入港を容認。



 今回の協議では、よど号容疑者問題は乾かなかった。結果、日朝双方とも①を履行することで手を握って分かれたことになる。


 6月協議と今回では内容的に何ら異なる点はない。こういう交渉を時間稼ぎと言うのではないか。「日朝間でも前進が見られる。米朝も進めよう」。今回の協議は北がアメリカを引き出すためのお膳立てに過ぎなかったと見るべきだ。


 委員会の設置など1時間でできる。なにせ将軍様の国なのだから。そんな組織ができたからといって、制裁を一部解除するなど噴飯ものだ。
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