酔眼独語 

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田原総一郎の妄言

2013-09-04 20:16:50 | 社会
 田原総一郎が「日経bp」のウエブサイト「復興ニッポンメール」に面白いことを書いている。タイトルは「汚染水漏れ事故は東電にすべてを押し付けた政府の責任だ」。

 この見出しは全く正しいが、書いている内容は民主党政権に責任を押し付け、現安倍政権をヨイショする噴飯ものだ。政権交代から半年以上もたっている今、政府の責任と言えば現政権の責任も当然問われなければならない。そこに目をつぶる田原、齢のせいなのか、本来の体質なのか。こうも露骨だと、憐れみさえ感じてしまう。

 ≪汚染水漏れはこれまでにもあったが、なぜこれほど深刻な事態になったのか。基本的には、原発事故対応の体制に問題があったと私は考えている。原発事故が発生したのは民主党内閣のときで、民主党内閣は原発事故の責任と対応をすべて東電に負わせた。それが事態を悪化させたのだ≫


 ここまでは正しい。ならば安倍政権がまずやるべきは、内閣発足と同時に「福島第1の始末は政府が責任を持つ」と言明することではなかったか。

 汚染水漏れが大きく報じられたのは、4月6日。地下貯水槽のシートが破損して120トンが漏れたとの報道だ。翌日には別の貯水槽の漏えいも報じられた。4月22日にはIAEAの調査団から「汚染水の問題が直面する最大の課題だ」と指摘されてもいる。

 その後、8月になってタンクからの漏えいが発覚、国際的な大問題になったのは承知の通りだ。

 ≪原子炉建屋に1日約400トンの地下水が流れ込む問題は、本来なら敷地内に入る前段階で地下水をくみ上げ、汚染されていない状態で海に流せば何の問題もなかったはずだ。そうした対策がとられずにこれまでやってきたのである。
 自民党政権になり、今年5月、経済産業省が原子力建屋の地下に流れ込む地下水を減らすため、建屋を囲む遮水壁をつくるように東電に指示していた。技術的課題が多いのは確かだが、これまで実行に移されなかったのは東電には費用負担する余力がなかったことも影響している≫

 田原は一応「技術的課題は多いが」と断っているものの、「敷地内に入る段階でくみ上げて海に流せば何の問題もなかった」などと妄言を吐いている。地下水の経路も分からないで、めくら滅法に井戸を掘るなどありえない。遮水壁など造っても、どこにでも流れていく水を食い止めることは不可能だろう。そんなに簡単にいくのなら、東電でもやっているはずだ。

 田原は汚染水は金さえかければ何とかなると思っているらしい。あげく、「大変だというばかりのメディアもおかしい」と八つ当たりだ。メジャーメディアの原発報道に問題があるのは確かだが、メディアの一翼を担う田原からこんな言葉を聞くとは笑止千万である。

 参院選が終わるまで汚染水問題を顕在化させなかったのはなぜか。2020年五輪の開催地が決まるIOC会議の直前になって、慌てて「政府が責任を持つから心配しなくで」と言い出した理由は…。

 田原が問うべきは霧消した民主党政権の責任をあげつらうことではなく、現政権の場当たり対応ではないか。
コメント
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