燃費は、「e燃費 実燃費ランキング」の下記によると、
「ハイブリッド燃費ランキング一覧」(https://e-nenpi.com/enenpi/?defact=carname_hybrid_best)
順位 車名 実燃費km/L JC08モード燃費km/L
1 トヨタ・カローラアクシオ 22.57 33.0
2 トヨタ・プリウス 21.90 34.0~40.8
3 トヨタ・アクア 21.82 33.8~37.0
4 ホンダ・グレイス 21.74 31.4~34.3
5 トヨタ・カローラフィールダー 20.73 33.0~33.8
6 ホンダ・フィット 20.20 27.6~36.4
7 トヨタ・C-HR 19.76 30.2
8 日産・ノートハイブリッド 19.75 34.0~37.2
9 レクサスCT 19.75 26.6~30.4
10 マツダ・アクセラセダン 19.39 27.0~30.8
となっているので、「ノートe-POWER」の燃費はそれほど良いモノではないようだ。トップ3どころか8位にランクされている。
「電気自動車のまったく新しいカタチ」なんぞではなく、「ハイブリッド車のもう一つのカタチ」でも下の方に位置している。
尤もこのランクでは、EV・FCV更にはPHVも除外している。「電気自動車のまったく新しいカタチ」と宣伝するくらいなら、e燃費でもトップに位置しているのかと思いきや、8位と沈んでいる様では島下氏の評価も低い訳だ。
それにしても、カローラの実燃費が良いことには驚いた。さすが世界戦略車だけのことはある、ということか。聞くところによると、来年デビューする新カローラは3ナンバーサイズにアップされると言うが、5ナンバー車が無くなるということは庶民のクルマが姿を消すに等しい感じがするのだが、これも年の流れのなせる業か。
さてノートe-POWERの燃費は、アクア越えを目指して頑張ったときくが、丁度0.2km/Lだけ凌駕している。日産の技術陣も相当苦労したと見えるが、カタログ燃費が勝っているだけでは、どうしようもなかろう。ノートも、実燃費で負けてしまっては、元も子もない。
アクア e-POWER
Grade, GSL, X-URBAN, S, X,Med.
燃費 37.0 km/L 33.8km/L 37.2km/L 34.0km/L
燃料タンク 36L 36L 35L 41L
タイヤ 175/65R15 175/60R16 185/65R15 185/70R14
165/70R14(L) 185/65R15(Med.)
オートエアコン 標準装備 ← なし 標準装備
ナビゲーション 販売店OPT. ← なし 標準装備
車両重量 1,080kg 1,090kg 1,170kg 1,210kg
1,220kg(Med.)
乗車定員 5名 ← 5名 ←
しかしこのように、トヨタ・アクアと日産・ノートe-POWERと主要諸元を較べてみると、アクアの燃費をいかに凌駕するかの苦労の跡がよく見える。
アクアの37.0km/Lを0.2だけ上回る37.2km/Lとe-POWERの燃費はなっている。しかしこれは「S」と言う最下位のグレードだけで、将に燃費のためのグレードとなっている。
そのため、「S」グレードでは
・燃料タンクを一回り小さくし(軽くし)、
・タイヤサイズを大きくし(一回転の距離アップ)、更には
・オートエアコンを削除し
・ナビまで落としている。
・そして重量を40kgも減らしている。アクアは10kgしか差がないのに。
そうでもしないと、アクアの燃費を上回らなかったのではないのかな。細かく見れば、もっともっとこまごましたそぎ落としをやっているのではないのかな。次の論考を見ると、その通りだった。
日産のノート、EVの走行感 エアコンなしは疑問
日産自動車「ノート eパワー」
2017/1/12 6:30
ニュースソース
日経産業新聞
日産自動車のハイブリッド車「ノート eパワー」
2012年発売のコンパクト車の仕様向上に合わせて投入したハイブリッド車(HV)。トヨタ自動車のコンパクト車「アクア」などエンジンとモーターをともに動力源に使う方式とは異なり、エンジンはもっぱら発電用で、駆動はモーターに特化した方式を採用し、電気自動車(EV)の走行感を味わえるのが特徴だ。
EVと同様にアクセルを踏むとすぐに発揮される高い加速力は、排気量2リットルのガソリンの過給器付き車並みの水準だ。遮音性能も高く、時速20キロメートルまでの加速時での静粛性は同社の上級車並み。
3つの走行モードが選択でき、「ノーマル」モードでは通常のガソリン車と同じ感覚で運転できる。加速に優れる「S」や燃費重視の「エコ」を選択すると、アクセルを戻すだけでエンジンブレーキの約3倍の減速度を発揮して減速でき、「ノーマル」に比べブレーキの踏み換え回数が7割減少するという。慣れるとほとんどアクセル操作だけで運転できる。
エンジンをきめ細かに制御することで燃費性能はガソリン1リットル当たり最高37.2キロメートルに高めた。歩行者を検知できる自動ブレーキもグレード別に設定した。
■使い勝手、考慮せず
EVの加速感や静粛性をガソリン車でも味わえるのが最大の魅力だ。燃費は最高数値はいいものの、これはエアコンが付いていない状態で消費者の使い勝手や実用性を一切考慮に入れていない。しかもエアコンレスにしてまで手に入れた燃費もトヨタ自動車の「アクア」との差はわずかで、消費者から見ると差がないと言ってもいい水準だ。アイデアとしては悪くないが「アクア」などに対して圧倒的な性能差、価格差がない限りは大きなメリットは感じられないシステムである。〈自動車部品メーカー〉
■タウンユース向け
EV「リーフ」用のモーターを使って走るので、発進の力強さや滑らかさなど、EVの良さが味わえる。エンジンは効率のいいところだけを使って走るのでわりと静かで、聞こえるのはロードノイズのほうが大きい。市街地中心なら普通に走ってもガソリン1リットル当たり30キロメートル前後の燃費が得られそうだが、高速道路では悪くなる。タウンユースを中心に使う人のためのクルマと考えたらいいだろう。足回りなどは特に進化しておらず、操縦安定性は従来と変わらないレベルだ。〈自動車評論家〉
■三つどもえの争いに
「ノート」は日産の主力モデルだが、これまでガソリン車のみで、トヨタ自動車の「アクア」やホンダ「フィット」に後れをとっていた。ようやくHVが追加され、方式が「アクア」などと異なるため大きな注目を集めている。国内コンパクトカー市場に大きな影響を与えることは間違いない。ライバル車の販社は、競合した場合は値引き条件を緩めて対抗する構えをみせている。年度末決算商戦に向けて、アクアとフィット、ノートの三つどもえの争いが注目を集めるだろう。〈流通コンサルタント〉
■肩書取りのエアコン外しはミス
マーケティング上でのミスは、エントリーグレードとして「e-POWER S(eパワーS)」グレードを設定したことだ。エアコンさえなく、自動ブレーキも外してクラスナンバー1の低燃費、低価格という「肩書」を取りに行ったのだ。こうした装備外しは、他のメーカーも手掛ける業界の悪癖といえるものだが、今回はエアコンを外したことが痛かった。ネットなどでは「今時、エアコンがないグレードまで用意して燃費ナンバー1を取りたいのか」という反応が多く出回っている。今時こうした話題は交流サイト(SNS)経由で、あっという間に拡散する。せっかく優れたシリーズハイブリッド車をつくり上げ、他社のハイブリッド車と差別化ができたのに、こうしたマーケティング上の小細工で足を引っ張られてしまっては、ブランドイメージに傷がつくというものだ。「アクア」の売れ筋グレードの燃費と比べても、「eパワー」の売れ筋グレードは燃費値で勝っているのだから、正々堂々と勝負すればいい。
モーターやインバーター、発電機、モーターなど主要部品はガソリンエンジンなどと一体的に配置。駆動用の高電圧バッテリーは前席シート下に配置した
走行フィーリングは、まさに爽快だ。大トルクをもつEV「リーフ」のモーターを使用しているのに、車両重量はリーフより250kg前後も軽い。低中速時は、EV走行も可能だが、数km程度といった印象。EV走行時は、エンジンがかかっていないので、かなり静かだ。高速道路ではエンジンが回りっぱなしになる傾向が強い。走行モードでは、運転の苦手な人は、ノーマルモードを使用すれば、ほぼ普通のクルマのように走ることができる。乗り心地や運動性能もガソリン車より上回っている。力強さ、そしてより高い静粛性と快適な乗り心地を得たことで、ノートはモデル後期に入っているがより魅力的になった。〈自動車総合サイト編集長〉
(続く)