世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

ドーハの歓喜(27)

2011-03-22 11:36:26 | Weblog

サウジアラビア戦は楽勝だったと言ったのは、その前のヨルダン戦、シリア戦の苦戦があったからである。だから尚更サウジアラビア戦は楽に勝てたと、素人的には見えたのである。しかしここでは、その苦戦の原因は日本側の攻撃の仕方にあったと述べている。

ヨルダンやシリアは自陣ゴール前にディフェンスのブロックをつくり、人手を掛けて守っていた。そこえボールを持って飛び込んでいっても、いくらボールさばきのうまい本田、松井、香川などでも突破することは難しい。そして挙句の果てにボールを奪われて、カウンターを食らう。そのため、実際には日本のボール支配率が6割を超えており「大人と子供」ほどの力の差があったにもかかわらず、得点が奪えずに苦戦を強いられた、と分析している。

そしてサウジアラビア戦はどうであったのか。森本美幸氏の解説を続けよう。



5-0で大勝したサウジアラビア戦の“成果”

 若手主体のサウジアラビアを相手に5-0と大勝したからだけではない。それで勢いがつく以上の意義がこの試合にはあった。

 再び上の表をご覧いただきたい。この大会で日本が戦った6試合のうち、ボール支配率は49.1%と最低。一方で、アクチュアルタイムは66分47秒と最も長い。

 アクチュアルタイムとは、90分余りの試合時間のうち、セットプレーの間にボールをセットしたり、接触プレーで倒れた選手に応急措置を施したりする時間などを除いた、実際にフィールドでプレーが行われている時間を指す。この時間が長いほどプレーの中断が少なく、濃密な試合であることになる。当然のことながら、運動量も増すので、選手たちにとっては厳しいゲームになる。

 サウジは既に2敗を喫してグループリーグでの敗退が決まっていたが、ヨルダンやシリアとは異なり、自陣ゴール前を固めてカウンターアタックを狙うという戦術を取らず、自らボールを支配するフットボールで真っ向勝負を挑んできた。その結果、W杯南アフリカ大会、その後もパラグアイ代表、アルゼンチン代表、韓国代表という強豪チームと戦ってきた日本代表を目覚めさせるきっかけに、この試合はなった。

 この試合はアジアでの試合にしては非常に珍しく、日本のボールの支配率は相手を下回り、主導権を握るには至らなかった。このように本来は“苦しい”試合だったにもかかわらず、結果は5-0と大差がついた。なぜなのか。

 先に記したように、サウジは自陣ゴール前にブロックを作らず、ボールを回しながら攻撃も積極的に仕掛けてきた。ボールを保持している時はピッチの両サイドを広く使って攻撃を展開し、ディフェンダーもラインをしっかり押し上げていた。当然攻撃している時から守備に回る瞬間には、背後にスペースができる。日本はそのスペースをうまく活用して得点チャンスを作り、大量点を奪った。

 これには、伏線がもう1つあった。それまで先発出場していた本田と松井大輔(仏グルノーブル)が、負傷でこの試合に出られなかったことだ。

主力選手の欠場から生まれた得点パターン

 代わって先発したのは、岡崎と柏木陽介(浦和レッズ)。ボールを足元で受けて技術や強さで勝負できる本田や松井とはタイプが異なる。特に岡崎の出場はそれまでの2試合とは違うアクセントを攻撃に付けるという意味で大きかった。彼の持ち味は、ディフェンダーの背後への飛び出し。まさにサウジ戦では背後のスペースに走り込み、味方のパスのターゲットとなった。そして1人で3点を奪い、ハットトリックを達成する活躍を見せたのである。

 サウジがアクティブにボールを保持しながら真っ向勝負を挑んできたことに加えて、岡崎というスペースの使い方のうまいプレーヤーを得て、相手ディフェンダーの背後を突くという日本の攻撃パターンが機能するようになった。このことは、次のデータからも読み取れる。


 この表は、グループリーグの3試合について、敵陣のゴールラインから30メートル以内のエリアに進入した後の攻撃について分析したものだ。サウジ戦はこのエリアに進入してから5プレー以内にシュートに至った割合が30.2%、3プレー以内が18.6%と、ほかの2試合に比べて圧倒的に多い。ヨルダン戦とシリア戦では相手のブロックに手を焼いて攻撃に手数がかかっていたのに対し、サウジ戦ではシンプルかつスピーディーにシュートに持ち込めていたことが分かる。

サウジ戦が決勝トーナメントの予行演習になった

 過去2試合は引いた相手に対してなかなか得点が取れず、焦ってミスをしてカウンターを食らうという試合を続け、チームはストレスを感じていたと思う。その結果、チーム自体が、ボールは回るが流動性がない状況に陥っていた。しかし既に2敗したことで単に勝てばいいということではなく、未来につながるサッカーを展開したサウジ相手の試合で、ボールを回し、その間にスペースに走り込んだ選手を使うというモビリティーのあるサッカーを行うことができた。

 いわば、サウジ戦で日本らしいサッカーを思い出すことができ、その後に始まる決勝トーナメントの激戦の“予行演習”をいい形でできたわけだ。これが、その後の接戦をものにしていくことにつながったと思われる。

 実際、3-2で逆転勝ちした決勝トーナメント初戦のカタール戦での3ゴール、準決勝の韓国戦での1点目、そして決勝での李のウイニングゴールはいずれも、スルーパスやドリブルでディフェンダーの背後を突いたことから生まれた。相手のディフェンスラインの前でいたずらにパスを回さずに、シンプルに縦にボールを運んでゴールに迫る。サウジ戦を機に鮮明になった攻撃の型が、勝利を呼び込んだ。

 攻撃がサウジ戦を境に良くなっていった半面、守備の方は安定感を欠いた。これまで見たところ、ザッケローニ監督は守備ではポジショニングを重視し、守備の陣形を崩さないことを選手たちに求めているようだ。

 だから失点した場面でも、守備の陣形を崩されていることは少ない。それでもゴールを許してしまうのは、ポジショニングを意識するあまり、ボールに対する寄せが甘くなっていることが一因だと思われる。

 岡田ジャパンの時には、ボールを持つ相手の選手に対して、複数の選手がポジションを捨ててでも厳しくプレスに行き、ボールを奪うところがあった。一方、ザッケローニ監督はポジショニングを大事にするイタリアのサッカーを踏襲している。ポジショニングが良いと、ピッチの上に穴が少なくなり、無駄な走りが減少する。

 相手チームもその陣形を見て無駄にボールを放り込んでこなくなることが多い。しかしそれでも“一夜漬け”の日本では、欧州で小さいころからポジショニングのトレーニングを徹底的に行い、最初のディフェンダーが厳しくボールを奪いに行った後に、カバーの選手や残りのほかの選手が常に正しいポジションを取るというところまではできていないように感じる。

 そういう場合、正しいポジションにいるが、ボールを持つプレーヤーに対して厳しくチェックに行くタイミングが遅れてしまうことが多く見られる。つまりボールに対する反応が遅いから、自陣ゴール前でのこぼれ球を奪うことができない。次の表は、自陣ゴールから約30メートルまでのエリアで、日本の選手がこぼれ球を奪取した割合をまとめたもの。初戦のヨルダン戦こそ80%と高かったが、シリア戦以降は50%台に落ち込み、韓国戦に至っては39.5%まで下がっている。


 こうした寄せの甘さが象徴的に表れたのが、韓国戦の延長後半だ。ゴールを奪われる前までに韓国に6本のシュートを打たれたが、そのうち5本のクリアボールが相手に渡った。

 延長後半15分の失点につながったフリーキックも、クリアボールを拾った韓国選手に対するファウルがきっかけ。ゴール前に放り込まれたフリーキックをクリアしきれずに、韓国選手に押し込まれた。韓国のパワープレーに対応するためにディフェンスの枚数を1枚増やした結果、人数は足りていたが誰がプレスに行くのかがあいまいになり、寄せるプレーが遅れてしまった結果だと言えるだろう。

(続く)
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