
星川 油彩
日曜クラスのサトルです。今回は星川さんの油画のご紹介です。薄暗い曇り日の海辺に虚な表情をした白馬が佇んでいます。風がなく波も立たない凪状態の海と、朽ち果てた木が寂しげな雰囲気を演出しています。
この作品は油絵の具で出来る技法を、それぞれの質感や色味に合わせて的確に使い分けています。手前の木は筆を使って絵の具を厚く盛り、筆跡を活かし掠れた部分をあえて作り、ざらざらとした質感と表面の凹凸感を出しています。
地面にはナイフを使ったモザイクのようなタッチで抵抗感を出すだけではなく、平らな地面に沿い水平に厚みのある絵具を置いたのに対し、奥の海と雲は中程度の厚みの絵の具を引っ張り画面上で混ぜながらぼかした表現を使うことによって、陸との質感の差を出して奥行きを表現することに成功しています。
曇りの日を描くというのは実はとても難しい事です。例えば白馬を描く時、白い馬だから生の白でそのまま描いてしまうと明るくなりすぎて、馬だけが直射日光を浴びているようなチグハグした状態になってしまいます。太陽光が遮られているので、ハイライトを少し暗くしてグレートーンにしないと曇りだという事を鑑賞者に伝えることはできません。
星川さんは色彩への観察力がとても高く、難しい中間トーンを描き出しの段階であっという間に全体に醸し出しました。そこからラストまでほとんど色調を変えることなく完成。絵の具の扱いの変化によって個々の質感の差と手前の陸から奥の海までの遠近感を出すという離れ技をやってのけたのです。
しかし形に関しては少し苦労されていました。馬の等身などの大きい形の印象は正確だったものの、輪郭の形が直線的になってしまい違和感を相談されました。ほんの数ミリ程度輪郭に丸みを付け足したら一気に印象が良くなり、馬の柔らかい毛並みの雰囲気が生まれました。他にも葉の茂りを微調整してさらにリアリティが増しましたね。
絶妙なイメージを反映させた星川さんの技術が光る一枚。かなり短い時間(2ヶ月ほど)で完成されて驚きです。長い時間をかけてじっくり描くのも良いですが、星川さんのように短期間で多くの技法を盛り込む学びがあっても良いですね!次の作品はどんな描き方をするのか楽しみで目が離せません!






