佐藤K 透明水彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは佐藤さんの水彩画です。こちらはご自身で撮影されたイタリアの路地裏を描かれています。前回描かれたイタリア・フィレンツェ の街並みズームインしたような繋がりが感じられて、一緒に鑑賞すると面白いですね。
裏路地ながら心地よい生活感が感じられるのは、やはりそこに住む人たちが自然に描かれているからでしょう。奥の自転車に寄りかかり、友達と談笑している女の子のポーズが特に良いですね。ちょうどその子の辺りが裏路地の影の境目になっているので、より目を惹きます。
左手の建物の影が地面に落ち、右手の壁にまで伸びていますが、この明暗により画面にメリハリがでて全体が締まって見えます。またそれにより、中央の建物のオレンジがかったイエローがより鮮やかに見えてきます。もし、明るく鮮やかな色合いを出したいのになんだか上手くいかないな、というときはこのように逆に暗い部分を作ってあげてみて下さいね。暗さと対比され明るさがより出てくるので、沢山色を重ねられない水彩には効果的だと思います。
日本とは違った形の窓や街灯もつ一つ丁寧に形を追っていかれていて、その違いもまた楽しめます。
奥の建物は空と同じ青が薄く塗られていて、空気遠近法が使われています。そこが抜け感を出してくれているので、裏路地の狭い風景ながらも、息苦しさを感じない画面になっていますね。手前と奥の植物も、建物という人工物の固い印象を和らげてくれていますし、全体的に黄色い画面の中に置かれた緑は差し色になっていて単調になりすぎないよう工夫されています。
次回作もイタリアの街並みをモチーフに描かれるのでしょうか?どんな風景が見られるのか、今からとても楽しみです。