モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

素晴らしい作品なので、ちょっと難しそうに考えてみました。

2018-03-07 20:25:41 | 大人 デッサン

松岡 鉛筆

 

松岡 水墨画

水曜日担当の滝口です。
 今回は、水曜午前クラスの松岡さんの鉛筆画、水彩画の紹介と共に、僕自身色々と考えて書いてみたいと思います。

 松岡さんは僕がミオスに来てから、もう既に描いていくスタンスやスタイルなども確立されていて、正直何かを具体的に技術などを教えた記憶がありません。ここに掲載されている「崖と海」や「海の渦」の作品に関しても、このブログだと小さく見えてしまいますが、それなりの大きさ(F10号、12号程度)はあるでしょうか、鉛筆画は1ヶ月以上毎回描いているかと思います。厳密に構図を練り、色合いや描きどころも吟味を繰り返し、最初は鉛筆画で終わるのかと思っていましたが、それらはあくまで水墨画で描くための下図であるとおしゃっていました。でも、なかなか水墨画に移って行かれなかったので、水墨画に移ったらまた大変なんだろうなと思っていたら、それは全くの思い違いでした。

 鉛筆画を終え、翌週来てみるとなんと水墨画が一気に完成されていた作品を持って来て、どうでしょうかと見せてくださいました。これには本当に驚きました。水墨画の持っている技術は並外れていて、深みがあり、到底僕には描くことができません。鉛筆画で何度も何度も吟味されているが故の表現の的確さで、ここまでしっかりとスタイルが確立されているとは、本当に驚きました。しかも、この鉛筆画と水墨画の間に、もうワンクッション展開があり、水墨画を描く原寸大の大きさに鉛筆画をコピーしてから更に修正ペンなどで加筆・修正されていました。そのプロセス自体が美術作品で成り立つものだなと思いました。

 この松岡さんの作品の紹介で考えられることを、いくつか挙げてみたいと思います。
作品は、どうしても展示されたり完成された1点のみを見ることが多いかと思いますが、実はこの完成に至るまでのプロセスもしっかりと提示することも、また作品として成り立つということです。
⑴きっかけとなった写真(小さなL判などだといいですね)や切り抜きなど  
⑵下図やアイデアスケッチなど
⑶途中で制作された、実験などで使用したものたち(松岡さんのだとコピーして貼り合わせた紙でしょうか)
⑷制作で使用した道具たち(筆や鉛筆など)
⑸完成作品
これらが実際の展示などでもあると、鑑賞者の視点も変わるかもしれません。美術館で巨匠の展示ではありますよね。
どこまでを見せるのかということは考える一つのきっかけですが、僕は色々な価値観があっていいと思うので、あまり人がしないことっていうのもやってみるのもいいですよね。

 もう一つ考えたのは、教える/教わるという立場です。僕は、正直松岡さんに色々と教わりました。大人な話だと、やはりお金を払っている/もらっている立場もあると、何も指導しないで自分が教わってるって?!となりますが、僕は美術教育は、お互いの相互関係で成長していくものと思っています。僕も美術を本格的に勉強や経験をし始めてかれこれ20年以上経っています。今でも、美術史を再度学び直し勉強に励んでおります。でも、やはりこの膨大な美術の世界では、全てを完全に習得していくことは不可能です。価値観の違いもあるし、それぞれの専門性もあります。その中で、ミオスでの体験や学校での教える/教わるという立場は、『気づき』の場でもあります。知識や技能の伝授だけでなく、制作されていく皆さんの姿や作品を通して、僕も何かを気づき、それを伝えていく。または、きっかけを与えていく。松岡さんの作品を通じて、上記に書いたような提案をしてみる。そんなことも、美術教育の中では大事なんではないかなと思ったりしています。

 ちょっと今回は長くなってしまいましたが、松岡さんの作品を見て、僕なりに考えてみたことを書いてみました。こんな難しそうなこと考えなくても、ぜひ楽しんで描いてもらえば良いですけどね。
ちなみに、水曜日午前中クラスの皆さんで、グループ展示が来月開催されます。それにも率先して松岡さんは参加されていて、熱心でDMも制作されています。とても楽しみです! 


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