佐竹 油彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、佐竹さんの油彩作品です。佐竹さんが持参された古い写真を元に制作されています。
時代は1985年頃、お仕事でアフリカのサンビア又はマラウィへ電気通信ネットワークの敷設工事に携わった際の風景です。当時日本の無線技術は世界トップレベルで、その最新デジタル通信設備を設置しに現地へ向かわれたそう。そのための局舎電源を含めて日本の某大メーカーが受託したもので、その他の人は現地業者(イギリス系)の人たちだそうです。また、調査時は岩場も多く毒蛇に遭遇もされたそうで、中々に過酷な現場だった事が伺えます。足掛け3年、一度現地へ行くと3ヶ月ほど滞在されていたそうです。
当時の思い出を振り返りながら、記憶を絵筆に込めて1つ1つ描かれていかれたのでしょう。顔がハッキリと書かれておらず曖昧に仕上がっているのも、何十年も前に会った人たちの顔をぼんやりと絵の上で思い出しているかのようです。真正面からではなく、少し下から見上げるような構図も良いですね。
空の色合いも、綺麗な青色ではなく薄いグレーがかった水色なのがまた良いですね。くすんだ風合いが画面全体の雰囲気にぴったりです。下地にはイエローオーカーを使用したので、地面の色はその下地を所々残しつつ仕上げています。
作者の頭の中にある思い出の風景を、そっと覗かせて貰えるような1枚だと思います。