モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

光の演出

2021-05-21 23:36:57 | 大人 油絵・アクリル


加瀬 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、加瀬さんの油彩作品です。
ローマ法王に小さな女の子がキスをする瞬間を描いています。女の子の西洋人らしい薄い色素の肌からは血の赤色が透けており、子供の少し暖かい体温まで感じられます。光を受けるブロンドの髪からはふんわりと柔らかな質感が表現されており、触ったときの感触まで伝わってきそうです。金髪を表現する為に、ただ黄色を塗るのではなく、こげ茶や緑・黄土色など暗い色をふんだんに使う事で、光の当たった部分をより明るく見せています。洋服の青色も画面に心地よい安定を与えていますね。画面全体の雰囲気にあった美しい青色だと思います。丸みを帯びた横顔の輪郭、目や耳などのパーツの大きさと位置も何度も修正を重ねる事により、大人とは違った子供らしい形を作り出しています。
法王の俯いた顔も少し難しい角度だったと思いますが、こちらもしっかりと顔の立体感を感じられる仕上がりとなっていますね。肌の色の深みも、歳を重ねた大人の質感となっており幼い女の子と対比になっています。暗い影になっている中で、額や鼻、頬に明るい色を入れる事で強い明暗のコントラストが鑑賞者の目を引きます。
背景はほぼ黒に塗りつぶし、主役の二人に当たる光をより強調させる事でドラマチックな画面となっています。主役やテーマを際立たせる為にどのような演出が必要なのかを考える事は、物を正しく描写するのと同等に重要になってきます。背景やライティングなどは主役を演出する上で、特に影響が大きい要素だと思います。映画のワンシーンを参考にしたり、好きな作家の作品を資料として用意して置くとイメージも掴みやすくなりますよ!

作品制作の際は、皆さんそれぞれ自分の課題や悩みがあるかと思います。それに苦心し、落ち込むことも少なくはないでしょう。しかし、課題があるという事は、言い換えれば成長の伸び代があるという事になります。制作の上での悩みは、一歩前に進むためのチャンスと思って取り組めば、苦しみも少しは和らぐのではないでしょうか。我々講師も、制作上の悩みを解決する手助けをさせて頂く為におりますのでいつでも遠慮なくご相談下さい。

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