モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

見る人も異国の地へ

2021-04-09 23:15:42 | 大人 水彩


佐藤.K 透明水彩

大竹です。今回ご紹介させていただくのは、佐藤さんの透明水彩作品です。ご自身で旅行に行かれた、トルコのグランバザール(大市場)の様子を描かれています。前回描かれたトルコのモスクは陽の光に照らされた明るい画面でしたが、今回は薄暗い市場の中にお店の光が横断しており、天井はトルコランプがぼんやりと照らしています。ランプのレモン色がとても素敵ですね。人の目は明暗差が大きい場所に惹かれやすいので、画面全体を暗く色を落とす事でそれらの明かりをより強調させています。こうした暗い場所の風景は、明るい場所よりも色づくりが難しかったりします。暗い色を作ると濁った汚い色になりやすく、暗い色をどのように綺麗に見せるかが重要になってきますが、このように鮮やかな色と対比するように置いていく事でどちらもお互いの色を引き立ててくれます。
トルコランプの美しい模様や壁にぎっしりと並ぶ商品、床の石畳など画面全体に細かい描写が多くありますが、作品からは圧迫感や息苦しさは感じさせません。手前から奥に抜けていく構図がそう見せてくれているのでしょう。天井に並ぶトルコランプ1つ1つを眺めているだけでもワクワクしてきますね!大市場はトルコが発祥なのだそうですが、日本のように品物1つ1つに値札はなく店員さんとの交渉で価格が決まるそうです。そうした日本とは違った異国の雰囲気が作品からも伝わってきます。市場で買い物をする人々の様子も、自然な姿で描かれており、表情が見えなくとも何を思ってどんな話をしているのかが想像できますね。人が歩いている姿を違和感なく描く事は意外と難しいもので、佐藤さんもかなりこだわって描かれたのではないでしょうか。

自分の旅路をこうした作品に活かせるのはとても楽しい事だと思います。きっと、制作中もその時の思い出がよぎっていくのでしょう。そうして完成した作品は、見る人もその場所へと連れて行ってくれるかのようですね。

 

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