モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

弘法画材を選ばず

2010-06-14 02:37:00 | スタッフ講師
20100614

どうも幸介です。本日ご紹介するのはこの画像なんですが、これは全て僕が学生時代などに描いたものです。画風がそれぞれ違う四枚を並べてみましたが、この四枚の共通点がお分かりになりますでしょうか…。この四枚、画風は違えど絵の根本とも言える画材が同じで、全て「アクリル絵の具」で描いたものなんです。

アクリル絵の具は、よくデザイン系・美術系の学校などで使われている印象があるかと思います。しかし岩絵の具や油絵、水彩絵の具と違って身近でもポピュラーでもないので、いまいちどんな画材か分からない人も多いかと思います。なので本日はアクリル絵の具についてちょこっと説明してみましょう!

使い方はよくある一般的な不透明水彩(小学校で使うやつ)と同じです。水で溶かして使います。ですがその水の量や塗り方、画面選び(布地のキャンバスや画用紙・和紙など)によって、表情はどうにでも変わっていきます。

本日載せました画像左上、布地のキャンパスに、絵の具にはほぼ水を混ぜずに塗って描いたものです。油絵風に、筆もあまり洗わずにキャンバスに直に絵の具を出したり紙パレットを使用して描いています。ジェッソ(下地剤)や盛り上げ剤といったものもアクリル専用でありますので、油絵のようにマチエールをつけることもかの可能です。アクリル絵の具は一度乾くと水で濡らしても溶けませんので、重ね塗りもばんばん出来ます。

そして右上のデザイン的な絵、これは「三角錐が複数ある空間」というデザイン課題の作品ですが、これは絵の具と水を5:5で混ぜ、ケント紙に平筆で描いたものです。5:5の割合が色ムラが出にくいバランスで、さらに溝引き(烏口コンパスを使って圴一で真っすぐな線を引く方法)でエッジを引き締め、滲み・ぼかし等の無いように制作していますね。一昔前まではパソコンが無かったので、このように手作業でアクリル絵の具で手描きでポスターを制作していたそうです。

そして左下のフクロウの絵、これは水を多め(絵の具2:水8ぐらい)に絵の具に混ぜ、細い筆で何度も何度も重ねて描いたものです。画用紙は水彩用で、水を大量に使うので紙が歪まないようにボードに水張りをしています。水彩画や日本画のような印象になっていますね。水をさらにたっぷりまぜ、同じ場所を何度も重ね塗りすれば、本物の岩絵の具のような柔らかくマットな仕上がりになります。

そして右下は、クリスマスの展示のDMに作成したものですが、小学生達がよく使う不透明水彩と同じように絵の具に少し水を混ぜる程度で画用紙に描きました。イラスト調で色彩も鮮やかに表現出来ます。オーソドックスな使い方ですね。

といったように、すんごい融通のきく画材、アクリル絵の具。蛍光色やラメやメタリックはもちろん、色の種類もかなり抱負です。道具も選びません。水彩の筆や水入れ、油絵のパレットやナイフを使って描いても大丈夫です。実際、油絵科にアクリルで制作している友人がいましたし、日本画科の友人は卒業制作の日本画もアクリル絵の具で制作していました。

万能ですし、楽に使えます。ただし、注意しなければいけないのが混色!!!下手な混色や重ね塗り・色合わせをするとたちまち下品になってしまいます。ここだけはちょっと試練ですね。例えばマゼンダを落ち着いた色にしたい時などは、黒などの暗い色を混ぜるんではなくショッキングピンクなどの”彩度を落とさず明度を少し上げる色”を混色すると上手くいったりします。明度と彩度のバランス感覚が問われます。

というわけで色彩センスに自身のある方、ぜひアクリル絵の具を使ってみてください!!油絵風の絵を描いた次の週に同じ画材で日本画を描くなんて事も可能ですので、イチオシの画材ですよ!

田中幸介


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