、つくば市小田の宝篋山山頂に、生誕800年を迎える忍性菩薩の銅像が建立されることになり、小張隆男が製作しました。
(元三村山は、見渡せる所に住む全ての生命を極楽浄土に導くために忍性さんが宝篋印塔を建ててより、宝篋山と呼ばれるようになった山なのです)。
10月28日に大護摩法要が執り行われ、終了後山頂で設置工事が行われました。11月4日に除幕式が開催されます。
良観房忍性(にんしょう)さんは、日本のボランティアの始祖と言われており、当時の人々から「生きた菩薩」と崇められた方です。
人にあらざる存在「」と蔑視されていたハンセン病患者等の病人や貧困に喘ぐ人々を救済し続けた生涯で、あらゆる慈善活動や架橋などの公共事業、無縁死者の弔いなどにめざましい活動を展開しました。27歳の時に奈良に創建した「北山十八間戸」はハンセン病者療養施設で、世界最古の民営福祉施設と考えられています。小田から移った鎌倉の極楽寺にも、病人の治療を行った療養施設が立ち並んでいたそうで、薬の製造に使われた石鉢と石臼が、今も境内に残されています。
87歳で没した後、後醍醐天皇により｢菩薩｣号を追贈されました。
真言律宗は厳しい戒律によって仏教を立て直そうとした宗派で、特に殺生を厳しく禁じました。小田には殺生禁断の結界聖域を設けたので、「不殺生界碑」が今も残っています。
山向こうに行けば殺されないと、東城寺地域(現土浦市・旧新治村)から狐たちが逃げてきたと言う逸話が残っています。猟師や村人たちが生活に困らないように、新しい仕事を駆け回って手配したり、農業の振興を図るための用水池を作ったり、港を作ったりと言う土木工事まで、忍性さんは自ら汗を流したのです。
時の権力支配層は武士であり、その武士の協力や庇護を受けながらも、人が人を殺すことなど絶対あってはならないと説き感化したというのですから、すごい人だったと思います。
「戦争で人を殺すことができる国が、普通の国だ」 とする今の世界の在り方を知ったら、忍性さんはどう考えたでしょうか？
「救うことによって自分が救われる」という忍性さんの思想は、現在の社会でヘルパー・セラピー原則と名付けられるものに通底しているかもしれません。
師叡尊によって、奈良から東国への真言律宗布教のために遣わされた忍性さんは、鎌倉を目指しながらも、まず常陸国の三村山の麓に10年もの間拠点を置いたのです。 果たしてどんな理由があったのでしょう。
そして信仰のあるべき原点を示した宗派が、時代に捨てられ、忘れられたのは何故なのでしょう。
像の建立によって、忍性さんが小田に止住していたこと、またその生き方を皆様に知っていただく事でその精神を後世に伝えることは、意義深いことではないかと考えております。
是非とも、足をお運びいただきたいと存じます。
生誕800記念事業
忍性銅像建立除幕式のご案内のお知らせ
宝篋山忍性像建立会代表理事 東郷重夫
拝啓 時下ますますご清栄の事とお慶び申し上げます。
宝篋山にも秋の涼風が吹き、すべての生命が来る厳しい冬に向って一生懸命に生きている姿が見受けられる今日です。私たちもそれらから勇気と元気を頂いて、小田地区のそしてつくば市の発展に少しでも役に立てればと思い宝篋山の整備等を行っています。これらの事に深いご理解とご協力を賜り心から感謝申し上げます。
さて鎌倉時代中期に、小田地区で「救済に捧げた人生」をおくっていた「忍性」の事跡を後世に伝えるため、生誕8 0 0年を記念して銅像を建立します。下記の要領にて建立除幕式を執り行います。 敬具
日時 平成2 9年11月4日（土） AM.10 : 00 ただし雨天の場合11月5日（日）
場所 宝篋山山頂
集合場所 宝篋山小田休憩所
AM. 9:15までに御来所して頂ければマイクロバス(要予約)を用意します。又、お車で参加の場合山頂に15台程駐車できますのでその場合はご連絡下さい。029-867-1368 東郷まで
