ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

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停電の夜に

2008年03月01日 | 
 ジュンパ・ラヒリの「その名にちなんで」がおもしろかったので、デビュー短編集、「停電の夜に」を借りてきました。

 タイトル作品、「停電の夜に」は、PEN/ヘミイングウェイ賞やニューヨーク新人賞をに輝いた短編ですが、短編集の英語のタイトルは「Interprecter of Maladies」(日本後タイトル「病気の通訳」)で、こちらの作品は、O・ヘンリー賞を受賞したそうです。短編集には、9本の短編小説が収録されていますが、訳者の小川高義氏は、「三度目で最後の大陸」がイチオシだそうですし、私が一番好きな作品は、「セン夫人の家」です。水準の高い短編集。

 ジュンパ・ラヒリは、ロンドン生まれ、アメリカ育ちのインド系二世。両親はカルカッタ出身のベンガル人だそうです。短編集の9本すべてにインド人が登場しますが、ジュンパ・ラヒリのようなインド以外の国に生まれ、育ったのNRIだったり、ラヒリの両親のような移民だったり、インドに住んでいる人だったりと、さまざまです。

 インド以外の国で、生まれ育った人は、両親がインド人でも、インド人とはいえず、服装も食べ物も生活様式も、すべて生まれ育った国のスタイルです。身近に外国人(NRIの両親や知人)がいる、という感じ。

 「セン夫人の家」のセン夫人は、「その名にちなんで」のアシーマーと同じように、まだアメリカに馴染んでいないベンガル人。アメリカにいながらも、インドから持参した、据え置き型のカッターで野菜を切り、家の中では履き物を脱ぐ生活。子守を引き受けたエリオット以外のアメリカ人とは、ほとんどつき合いがありません。そんなセン夫人が執着するのが、お頭つきの新鮮な魚。いい魚が入れば、夫に魚屋まで取りに行って貰っていましたが、大学の教師(教授ではなく、研究職?)の夫が、「そんなにちょくちょく大学を抜け出せない」と言うようになると、勇気をふりしぼって、バスに乗って買いに行きます。

 私は外国で生活したことがありませんが、食い意地が張っているので、長く住むようになれば、絶対、日本食が恋しくなると思います。「その名にちなんで」の中で、ゴーゴリー(ニキル)がモウシュミと、アジアエスニック食材店に行って、インド食材の他にも、あれやこれやと、使い方もわからないものまで買い込む場面があります。その食材の中に、「ゼンマイ」という文字を見たとき、(ああ、外国で暮らして、ゼンマイが手に入る店があるなら、遠出だってしちゃうかも!)と、外国に住んでもいないし、家にはゼンマイがあるというのに、ゼンマイが恋しくなりました。

 そんな、胸がキュッとなるようなエピソードがたくさん盛り込まれた短編集。日本語タイトル作品の「停電の夜に」も、そうです。停電で、灯りが消え、テレビが見られなく、CDプレイヤーもパソコンも使えない夜、普段使わない感覚が鋭くなるのかもしれませんね。
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2 コメント

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Unknown (akberlin)
2008-03-02 19:27:11
この作品集をよんだのもずいぶん前になっちゃいました。実を言うと「面白かった」という印象以外にストーリーまでちゃんと覚えている作品がないのですが、あらためてとーこじーの投稿を読んで、「ああ、そうだったっけ」と思ったり。自分が外国で暮らす「移民」になってみて実感することもあるのかな、と。
たまには小説もいいですね (とーこ)
2008-03-02 23:34:30
akberlinさん

読んでいて、サマセット・モームを思い出しました。小説はふだんあまり読まないのですが、おおしろかったです。訳(小川高義)もよかったのかも。

昔は外国に住んでみたいと思ったこともありますが、最近は、なんだか自信ないです~。想像できない…。

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