ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

マダム・イン・ニューヨーク

2014年07月20日 | 映画

 久しぶりに、いいインド映画を見てスッキリ。『マダム・イン・ニューヨーク』。

 

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 シャシは、姑、夫、娘、息子と暮らす主婦。料理がうまく、ラッドゥーというお菓子を作って、近所に小売りもしているが、おいしくて評判だ。だが、サラリーマンの夫や、反抗期の娘は、英語ができないシャシを何かとばかにする。

 ニューヨークにいるシャシの姉の娘(姪)が結婚することになり、シャシは一家揃って結婚式に招待された。姉は夫を10年前に亡くし、女手一つで娘二人を異国で育てたが、ヒンドゥー式の結婚式をするとなると、準備は一人ではできない。結婚式の準備の手伝いをするために、シャシは夫や子供達より3週間早くアメリカに旅発つことになった。

 英語ができないのに、一人でアメリカに行かなくちゃいけないの?まだ小さい子供達は私がいなくても大丈夫?

 

 飛行機や税関からドキドキ・ハラハラだったシャシは、カフェに入っても、英語でうまく注文ができず、泣き出してしまう。そんな時、バスに書かれてあった「4週間で英語をものにする」という広告を目にする。「英語も話せず料理を作ることしか能がない」と家族に見下されていたシャシは、姉にも内緒で語学学校に通い始める…

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 日本でも英語は義務教育ですが、日常生活では英語を使う機会はないので、英語が話せないというだけで、バカにされることはないような気がします。

 インドはいろいろな言語が使われていて、地域地域で使われる指定言語が異なり、実質上の共通語はヒンディー語と英語。南インドで使われる言語とヒンディー語はかなり違うので、全インドでの共通語は英語です。高等教育は、理科でも社会でもすべて英語で授業を受ける学校が多く、英語が使えるのが、高等教育を受ける必須条件です。

 というわけで、インドでは、英語が話せない=高等教育を受けていない=教養がない、と短絡的に思われるような気がします。私も英語が苦手なばっかりに、赤の他人のインド人からも、見下されていたような気がします(-_-)。シャシの行った学校は、純ヒンディー語教育の学校で、校内で英語を使うことを禁止する学校だったようですが、世代的に、日常会話の中でも英語をかなり交えて話すのが普通だったと思うので、かなりレベルの高いヒンディー語学校の出身者ではないかと推測されます。シャシの一家はヒンディー語圏に暮らしているにもかかわらず、シャシの息子は文法的に間違ったヒンディー語を、シャシに訂正されるシーンなどもありました。

 

 映画の中で、「うちの嫁はお月様のよう…」という内容の曲が流れますが、マラーティー語なのか、耳で聞いてもさっぱり意味がわかりませんでした。ただ、主人公の名前、「シャシ」の意味は「月」。そしてシュリデヴィの代表作「Chandni」(1989年)の主人公の名前「チャンドニー」の意味は「月光」。どうも、この映画そのものが、15年のブランクから女優復帰したシュリデヴィのために作られているようです。ちなみに、『マダム・イン・ニューヨーク』は放題で、原題は『English Vinglish』。Vinglishには特別な意味はなく、「チャーイ・ワーイ」(お茶やら飲み物)、「カーナー・ワーナー」(食べ物だとか口にするもの)と同じように、「英語とか言葉」というような意味だと思います。

 

 英語学校での最初の自己紹介で、シャシが「私…食べ物、ラッドゥーを作って…売る」とつたない英語で言うと、教師のデイヴィッドが、「シャシ、じゃあ君は"entrepreneur"だ。英語では君のような人をentrepreneur(企業家)と言うんだよ」と、新しい単語とともにシャシの価値を教えてくれるシーンがあります。シャシの夫は、「料理しか能がない」とバカにしていましたが、それこそが、彼がばかにしている古めかしさなのかも。


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2 コメント

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インド人の視線 (笹団子)
2014-07-22 20:44:37
違う投稿ですが、結婚25周年おめでとうございます。

映画「マダム・イン・ニューヨーク」はインド映画では久々の日本ヒットのようですね。
週末のシネスイッチ銀座は混雑しているようです。

専業主婦が主人公で日本の主婦の皆様にも心当たりがある話がちりばめられているようですね。

インド映画で海外ロケというとスイスのアルプスを背景に歌のシーンというイメージですが、今は渡米しているインド人が増えたのか?ニューヨークが舞台というのが象徴しているように感じます。

「英語が話せないと・・・。」の他にインド人の人を見る視線に服装や靴、見に付けているものでも人を判断しているように感じます。
Unknown (とーこ)
2014-07-23 05:25:32
笹団子さん

ありがとうございます。

最近、日本でも、以前よりたくさんのインド映画が見られるようになりましたが、「インド映画らしくておもしろいもの」は、なかなかありません。

1989年の「チャンドニー」でも、「スイスの雪の中でスキー」というシーンがでてきましたが、今回のエンドロールでも、本編の内容とは関係ない、(ニューヨークの?)雪の中のサリー姿のシャシのシーンが流れました。

海外で暮らすインド人も増え、そういう人達は日常的にサリーを着ることも少ないようです。サリーを着たり、ちゃんとしたヒンディー語を話せたり、ちゃんとしたインド料理を作れるインド人も、着ものを着られない日本人ほどではありませんが急増しています。

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