シャー・ルク・カーン&カージョルの映画「マイネームイズハーン」。日本の映画館では公開されなかったと思うけど、日本語字幕付きDVDでなんと1500円以下。しかしこうして日本語タイトルを書くだけで敗北感が…。というのは、オリジナルタイトルは英語で、
MY NAME IS KHAN
と、KHANがわざわざ太字になっているくらいで、名前が重要なポイント。主演男優のシャー・ルクの名字もKHANで同じ名前なんですけど、カタカナでは、シャー・ルク・カーンとマイネームイズハーンと別の表記になってしまっています。
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リズワーン・ハーン(シャー・ルク・カーン)は、アスペルガー障害を持つインド人。父を早く亡くし、彼の最大の理解者である母と弟のザキールと3人でインドで暮らしていたが、手のかかるリズワーンにかかりっきりになる母に淋しさを感じた弟はアメリカへ留学したきり、結婚してからも一度もインドに戻ってこなかった。母が亡くなり、リズワンはザキールのいるアメリカへ渡り、彼の起業したハーバル化粧品会社でセールスを担当することになる。自閉症のリズワーンは人付き合いは苦手だが、化粧品の効能などを完璧に暗記することは得意だ。
ある日リズワンはセールスに行った美容室で、インド人美容師マンディラ(カージョル)に会い、恋に落ちる。マンディラは見合い結婚をしてアメリカに移住したが、夫と離婚し、息子のサミールとふたりで生活していた。リズワーンはマンディラに結婚を申し込むが、マンディラは本気にしない。しかししだいにリズワーンの純粋さにひかれるようになり、ふたりは宗教の差を乗り越え結婚する。ザキールは、ヒンドゥーのマンディラと結婚するリズワーンを許すことができなかったが、マンディラはヒンドゥーのまま、リズワーンの名字「ハーン」を名乗り、「マンディラ・ハーンの店」という美容院をオープンさせる。ちょっと変わっているリズワーンをマンディラの息子、サミールも受け入れ、3人は幸せな生活を始める。
そんなとき、9.11事件が起こり、アメリカにおけるイスラム教徒は迫害されるようになる。カーンというイスラム教徒の名字に変わったサミールも学校でいじめに遭うようになってきた。サミールの親友リーズの父、マークは、リズワーンとマンディラの家族同様の友人だったが、取材先のアフガニスタンで命を落とし、以来リーズもサミールと口もきかなくなってしまった。何とか仲直りしようとリーズに話しかけるサミールは、「リーズの父親の敵をとってやるぜ」という上級生のいじめのために死んでしまう。
「サミールが死んだのは、イスラム教徒のあなたと結婚して、ハーンという名前になったせいよ。イスラム教徒はテロリストじゃないって大統領に言って、アメリカ人に理解してもらって!」
悲しみのあまりマンディラはリズワーンを家から追い出してしまう…
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9.11の後、アメリカでは、イスラム教徒はもとより、イスラム教徒に見える人達もリズワーンやサミールのような目にさんざんあったようです。「イスラム教徒に見える」といったって、白人にも黒人にも、アジア人にもムスリムはいるので、服装以外で見分けるとしたら、ムスリム名を持っている人というのがわかりやすくて、KHANというのは、その代表的な名字という意味で出てきます。KHANは前述したように、カタカナでは「カーン」とも「ハーン」とも書かれますが、喉の奥から出す音で、日本語や英語にはありません。アメリカ生まれのサミールも正しい発音ができないらしく、リズワーンに何度も発音を訂正され、たぶんそのせいで、サミールはマンディルと結婚したリズワーンが義理の父親となり、自分自身の名字もKHANになってからも、リズワーンのことを「KHAN」と呼んでいます。
そういや、シャー・ルクがアメリカの空港で身柄を拘束されたことがあったけど、名前だけじゃなくて、スィクのターバンもイスラム教徒の格好だと思っているし、インド人=ムスリムだと思っているアメリカ人は少なくないらしい。アメリカに住んでいるインド人は相当いるし、身近な存在だとは思うんですけどね-。
ダンスシーンなしの162分で1500円以下(Amazonで1329円で購入)。しかも字幕付きとはお得!なんですけど、DVDを持っていても、繰り返して見るほどおもしろい映画でもないかも。もちろん途中で飽きるほどつまらなくもなかったけど、ダンスシーンなしで162分は長い。
監督は、KUCH KUCH HOTA HAIやKABHI KUSHI KABHIE GHAM、『さよならは言わないで』のカラン・ジョーハル。NRI(在外インド人)をテーマにした作品が多いですね~。NRIも多いので、9.11は切実な問題だったのかも。しかし9.11が起きたのが2001年。その時、リズワーンとマンディラは結婚していて、『マイネームイズハーン』で、リズワーンが大統領に会いに行こうとしているのが2008年という設定ですが、7年も経っている感じがしないなぁ~。9.11直後の2002年とかならともかく、2010年に公開するにはあまりタイムリーな作品とは言えないような…。TAARE ZAAMEEN PARの失読症もそうだけど、わざわざ主人公をアスペルガー症候群にする必要があるのか、しかもそういう障害を持った人は全て心がきれいないい人、みたいな描き方もちょっと…という気がします。インドでは今まで認識されていなかったから、映画で広く認知させるという意味があるのかな?
9.11以降のイスラム教徒の迫害、ヒンドゥーとムスリム、アスペルガー症候群…と盛りだくさんだけど、焦点を絞って1時間短くしてくれた方がいいな。そういう意味では、不倫というテーマで、インド人には人気がなかったけど、『さよならは言わないで』の方が自然で説得力がありました。
興味深いなぁ。最近、日本語字幕を読めない人との同居で
映画の楽しみがめっきり減っているもので、この映画も
知らなかったです・・・。
話は変わりますが、渋谷のパルコパート2?の中にギブミーシェルターが再オープンしたらしい?ですよ。
今度お貸ししますから、お時間のあるときに見てみてください~。そういう私も、2回に分けて見たのですが(^^;)。主婦の時間が細切れなので、インド映画はなかなか見られないです。
パルコのギミーシェルター、25周年記念で3月末まで限定店舗だとか。2月最後の日曜日に渋谷でインド映画を上映するので、その時にでも寄ってみようかな…と思っています。