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透明水彩で花を描く

2021-02-06 10:09:24 | Weblog

こんにちは。

今回は、透明水彩で花を着彩する時のポイント解説をしたいと思います。

 

モチーフはピンクのストックです。

 

透明水彩での着彩 下描きの例です。

今回は下描きの課程は飛ばしますが、始めから細かく捉えるのではなく、茎に対しての花の塊を大きく捉えましょう。

密集した花はアメリカンドックみたいな形に大まかな量感を取り、そこから一つ一つの花を描いていくと良いですよ。

 

透明水彩の下描きで大切なのは、下描きの時点でしっかりと花全体の向きや前後関係を捉えておくことです。

アクリルや油彩では絵の具の塗り重ねで徐々にそれらを出して行くことが出来るのに対し、透明水彩は、後で絵の具でなんとかしようとしても空間や前後の奥行きは出てくれないのです。

花や葉一つ一つの上向き、下向きなどの角度がどれくらいかな〜?と想像したり、違う角度から見ながら描くことで画面上に空間を出す事が出来るようになっていきますよ。

 

さあ、いよいよ彩色です。

「透明水彩は終始薄塗りで」と思っている方も多いかもしれませんが、それはちょっと違うんです。

淡彩で仕上げたい場合を除き、実感のある着彩をしたい場合は、ある程度の濃度で着彩していかないと上手く発色しません。

 

また、この絵の具の特性として

・濃度が薄い絵の具の塗り重ねでは彩度が落ちてしまう

・混色すればするほど色が鈍くなる

・一度落ちた彩度は元に戻らない(アクリルなどで加筆すれば可能)

という事が挙げられます。

 

これだけ見ると難しそう・・・と思うかもしれませんが、大丈夫。まずはやってみましょう!

 

薄塗りの繰り返しは×ですが、始めから濃い真っピンクをのせるわけではありません。

下描きを活かしながら、それが透けるくらいの濃度で描いていきましょう。

また、光が当たっているような部分は、紙の白が透けてピンクに見えるようにするとぼてぼてせず、スッキリとした印象に仕上ります。

 

ピンクという色を表現する時には、

1、オペラやローズ系の赤に白を混ぜて作る方法

2、赤系の絵の具に白を混ぜずに、濃度を薄くして紙を透けさせてピンクに見せる方法

3、すでに混色されたピンク(ホルベインだとブリリアントピンクやシェルピンクなど)を使う方法

があります。

 

今回は、オペラのみ、2の方法で始めは色をのせました。

下描きの時点でしっかりと花の前後関係を描いていたおかげで、同じ色をのせても立体感が損なわれません。

また、花の中央部は少し黄緑がかっていたので、この段階で彩度の高い黄緑(パーマネントグリーン、リーフグリーンなど)をのせておきます。

茎や葉も、同様に同じ位の濃度で下塗りをしましょう。こちらに関しては下に黄色を薄くのせておくと単調になりにくいですよ。

よく野菜や果物を描く時に言われる事ですが、中身の色や、熟す前、新芽の時の色を薄くのせておくと、そのものの色は邪魔をせず、深みを出す事が出来ます。

また、薄塗りでも彩度の高い色をおくのがポイントです。

 

 

次の段階です。

花全体にほんのり色が付きましたね。

手前の目立つ花には彩度が高く先ほどよりも濃い濃度でピンクをのせ、奥の暗い部分は彩度が低いピンクをのせました。

花びらがめくれて明るくなっている部分は、最初の段階の薄塗りのピンクを残し、花びらの側面はそれよりも濃くすると彩度を下げずに立体的に描く事が出来ます。

一方、左下や右下の奥まっている花びらには、オペラ + ジョンブリアン(白が入った中間色) + テールベルト(緑系の色)を混ぜた中間色を調節しながら描きました。

 

花の影色を描きたい場合、葉や茎の色を少し混ぜてあげると自然に彩度を下げる事が出来ます。

反対にあまりやらない方がいいのは、黒を混ぜる事です。

黒を混ぜれば暗くなり彩度は落ちますが、同時に色がくすみ汚くなってしまいます。

「黒い」のではなく「暗い」ので、反対色を少し混ぜる程度で十分暗く奥まった色ができますよ。

 

また、葉の出っ張っている部分は少し濃度を濃くして描いてあげると、葉の凹凸が表現出来ます。

 

 

完成です。

細部までは描き込んでいませんが、大体の花の印象は出たと思います。

オペラのみでは、濃度を濃くしていくとキツいピンクになってしまうので、途中からオペラ+白で柔らかいピンクで描いて行きました。

私は日本画出身なので、10代20代は特に花を描く機会が多かったように思います。

お世話になった先生は、「よく観察し対象を知る事、そして丁寧に描く」という事を常に仰っていました。

今現在も、私はそれを頭の片隅において制作しています。

 

まだ二月ですが、もう少しすると梅や水仙が咲き出す頃です。

切り花にも徐々にバリエーションが増えてきたように感じますので、早春、お花の着彩オススメですよ。

 

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