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伝統技術ディレクターになる旅

2015-09-18 11:48:44 | Weblog
仕事旅行社さんの旅に参加してきました。

伝統技術ディレクターになる旅。
それはまさに、触れるもの、出会う人、観る景色にたくさんの刺激を受ける旅、でありました。



株式会社t.c.k.wの立川さんから「伝統技術ディレクター」とはなんぞや、という話を聞く。


ディレクターという立場は平たく言えば「繋ぐ人」であって。

ソフトウェアであるデザインと、ハードウェアであるモノを繋ぐことだったり、
それらを生み出すデザイナーと職人を繋ぐことだったり、
あるいは求められるもの、美しいものを生み出すために必要な場所や人やモノや機会を繋ぐことだったりする。


伝統技術、は日本に昔からある職人の技やものづくりの術で、
ものすごく高いレベルにありながら、それが廃れていってしまっている現状がある。
そんな優れた技術を職人たちに代わって営業することで、今まで知られていなかったその価値を広め、
より高めていこうという意識の下で仕事をされているのだそうです。


すなわちいろんな関係性の間に立ち、その場を作ったり和やかにしたりスムーズな流れを生み出したりする、
ミドルウェアという立場にあるのが「ディレクター」の役割だ、という説明はとてもわかりやすかった。

「でも自分のやりたいことや得意なことをやってきたら、自然にこうなってた、という感じなんだけどね」
この言葉がそのまま、立川さんの魅力を表していると思ったのでした。




そんな魅力的な彼の言葉を借りながら、以下私自身の覚書、の箇条書き。


社会のため、文化のために動いていたいと思う。
それは仕事やビジネスでもありうるけど、それ以上に人間の本能や欲求や感覚に起因したことのほうが大きい。
お金や数値で割り出されるところ以外に価値があったりする。だから継続性があって、なにより面白い。


「職人には頭も感情もある。機械みたいな仕事は機械がやればいい」というイタリアのデザイナーの言葉が大きく胸に刺さる。


伝統技術だけにこだわるのではなく、先端技術にだって興味がある。
つまり必要なところに必要なものを繋げていく、それを見極めて身軽に動けることが大事。


消費地である中心に向かっていくのではなく、産地に人・モノ・ことを呼び込んでそこ自体を中心にしてしまう。
あるものを使って、ばらしたり組み立てたりしながら魅力的なものを生み出していけば、それは絶対に可能。
職人や技術やモノや地域の価値を、最大化して市場へ提供すること。それがミドルウェアである自分の役割。


イタリアやフランスには100年以上続く会社やブランドがたくさんあるのに、日本にはそれがない。
技術やモノは素晴らしいのに、それをブランド化する力がない。あるいはそれがとても下手。

だから今後、家電や電子機器に関してもきっと韓国や中国に負けてしまうだろう。
それが横柄になりきれない日本人の優しさなのかもしれないけれど…
でもだからこそ実は、ブランド化されていないけれど昔から続く、優れた日本の伝統技術が力を持つのではないか。


外国からの観光客はもちろん、日本国内でも「地域」の力や魅力が再認識される今、
それぞれの場所にある人・モノ・ことがうまく繋がって、
よりよいものづくり、あるいは地域づくりができる時代がきているはず。

たとえば出身地が同じ人同士でその地域のために何かをやろう、という動きも出てきているし、
そういう人たちの繋がりは切れないから継続するし、ビジネス的なドライな動きにもならない。
なによりいろんな意味で力になりたいという献身的な人々の集まりになれば、そこから生み出される動きはきっと面白いものになる。


情熱を持って、好きなものを素直に好きでい続けること。

デザインが好きでよかった。好きだからいろんなものが集まってきた。
同じ周波数の人たちと繋がっていけば、自分のアイデンティティが活かせる場所はきっとある。




勉強になるとか尊敬するとかはもちろんだけど、なによりも
とてもとても、楽しい時間でした。







墨田区にある職人さんの工場も訪ね、
東日本金属加工の小林さん、楓岡ばね工業の楓岡さんのお仕事の様子を見学したり、お話を伺ったりしました。


工場が好き。機械が好き。ものができていく流れを見ているのは本当に楽しい。
職人さんたちのなめらかな動きや手つきの美しさ。安全なものを作るという強い意識。自分たちの技術と生み出したものに対する誇りとそれを愛する気持ち。
そして難しい注文に対しても約束を守るという日本の職人たちのモラルの高さ。


現場を見て初めてわかる、そこに生きる人と人が生み出すものとそれらが醸し出す気配。
そのすべてに私は魅力を感じます。

それが、一瞬だけの、外から見ている、実際にその世界にはまだ足を踏み入れていない者の、うわべの感覚であり意見であるのかどうか、
それを確かめるためにも、まずはそのものづくりの現場に自らの身を置いてみたいと、やっぱり思うのであります。





ものづくりがしたい。職人になりたい。技術のある人はかっこいい。優れた人の優れた技で生み出されたものは美しい。
私もそうやって自らの手でものを生み出せる人になりたいと、そう思います。

でもそれだけじゃなくて、その技術やものをより活かせる環境や機会を生み出していくこともまた、私のやりたいことなのだと強く思いました。



さて、本格的に探していかねば。
「まずは外に出ること」意識的に、前向きに。

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