読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

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日本を刺激する10人のクリエーターの脳を探る、「芸術脳」(茂木健一郎著)

2009-03-10 09:40:22 | 本;エッセイ・評論
<目次>
・気づき、という至上の喜び―vs佐藤雅彦
・世界と自分を結ぶ「なにか」を求めて―vs内藤礼
・ファッションとは態度の表明である―vs小野塚秋良
・デジタル化できないもの、身体の可能性―vsいとうせいこう
・現実と仮想の往還から作品は生まれる―vs松任谷由美
・アートは可能無限と向き合うべし―vsヒロ杉山
・笑い物こそが「笑い」を創造する―vsリトル・ブリテン
・音楽表現と「時間」について考える―vs菊地成孔
・愛とユーモアのある批評―vs天野祐吉
・今こそ「生命力」が必要だ―vsリリー・フランキー

<茂木健一郎『芸術脳』|新潮社>
http://www.shinchosha.co.jp/book/470202/

茂木さんがメディアに登場するようになったのはいつの頃からだったでしょうか。おそらく、その著書「脳と仮想」で2005年に第4回小林秀雄賞を受賞してからだと思いますが、今や脳ブームの火付け役として三面六臂の活躍ぶりですね。この受賞作は確かに読んだことがあると思いますが、このブログに取り上げていないということは、きっと比較的早い時期に読んだんですね。

さて、本書は茂木さんの著書というより目次にあるように、今の日本を代表するクリエーター10名との対談集であります。ここに登場するクリエーターで、私が全くその名を知らなかったのは、内藤礼さん、小野塚秋良さん、リトル・ブリテン、菊地成孔さんです。

名前を知っている人とは言え、佐藤雅彦さんなどのように、竹中平蔵さんとの共著「経済ってそういうことだったのか会議」(日本経済新聞社 2000年4月)を読んだことがあるくらいで、本業であるCMクリエーターの仕事については今回改めて認識した次第というようなことも多かったのが実情です。

ここに登場するクリエーターは、佐藤雅彦さん、小野塚さん、ユーミン、天野さんを除けば、茂木さんとほぼ同年代の40代後半で、その道で名をあげ、今も現役で活躍中の人々。もちろん、前者のお三方も現役で活躍中ですが。とにかく、旬な人々のコラボは今やキュレーターとしての茂木さんの真骨頂となっていますね。そのコラボとしての共著の中ではこのブログでも、昨日取り上げた梅田望夫さんとの「フューチャリスト宣言」や波頭亮さんとの書籍を取り上げました。

<脱経済の人生を説く、「日本人の精神と資本主義の倫理」(波頭亮・茂木健一郎著)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/584bcaf45650c8c20715c91737950eb1

ここでは10名のクリエーターとの対談後の茂木さんのコメントと本書のプロデューサーである桑原茂一さんへのコメントを引用しておきます。

<佐藤雅彦>

~やっぱり、「子供心を忘れない」っていうのは、クリエーターになる大きな条件だと思うんです。佐藤さんはまさにそう。子供心をずっと持ち続けて、それを無理なく作品の中に取り入れている人。~


<内藤礼>

~・・・内藤さんの作品は繊細ではあるんだけど、一方でとても大胆。繊細さと大胆さが無理なく同居していることが、アーティストとしての魅力になってるんだと思います。・・・強さと弱さが作品の中に同居しているというのが、内藤さんのアートの特徴ですが、でも、それって本物のアートにはみな言えることかもしれないと思いました。どこか、男性的なところもあり、両性具有的と言ってもいいのかな。~


<小野塚秋良>

~小野塚さんはファッションというものは、人生のただの一部であると位置づけした上で服を作っていると思いました。地に足がついているし、ヘンにカッコをつけてない。そんな小野塚さんの飄々とした風合いは作る服にもよく表れていて、同じ空気があるんですね。そこがすごく素敵だなと。~


<いとうせいこう>

~いまの時代、「芸を持っていること」が、人生のいろんな場面でうまく機能することがなくなっていると思うんです。IT化に代表されるように、効率主義、成果主義の世の中だと芸があることが重視されない。だけど、いとうさんは「芸を持っていること」をちゃんと自分の生き方に結びつけて暮らしている。これは素敵なことだと、ぼくは思います。~


<松任谷由実>

~ユーミンと対談したこの頃に、ぼくはちょうど「ホープフル・モンスターズ」っていう理論を作っていたんです。で、この対談のときにはまさにユーミンってホープル・モンスターだと思って、それで対談中にそう宣言したんです。・・・失恋の歌も実体験を歌っているんじゃなくて、シミュレーションして造っている、嘘から出た真みたいなものだっていう、あの、嘘を本当にできる勢いってクリエーターにとって大切なことなんだなって感銘を受けましたね。~


<ヒロ杉山>

~ヒロ杉山さんは、なんといってもます、ご本人の佇まいがいい。ヒロさんを見るたびに、ぼくはなぜか朝の湖を思い出すんです。なぜ朝の湖みたいなイメージなんだろうって、対談を終えてからもずっと不思議だったんです。でも、ようやくわかりました。ヒロさんは作っている作品はとにかくすばらしいのに、それを声高に喧伝する様子がないからなんです。そしてヒロさんほどのクリエーターになると、きっと喧伝する必要がないんでしょうね。そうしなくても周りの人が勝手に朝の湖の美しさを眺めにやってくる。実際にヒロさんの作品には、本当の湖のように、覗き込むとそのまま引き込まれるような魅力がある。~


<リトル・ブリテン>

~なによりも彼らのプロ意識。どんなに批評性があっても、笑えないのでは意味がないっていう彼らの意識の高さ。対談の中のダイアナ妃関連でそういう意識が見られたのですが、そこにぼくの大きなインスピレーションを得ました。コメディっていうのは、批評性が目的なのではなくて、笑わせることが目的なのだということに改めて気づいた。さらに、もともとクレイジーな人が地のままやっているんはなく、これほど常識的な二人がクレイジーな演技をやりきっているということに、ぼくはイギリスのコメディの世界の奥深さ、底知れなさを感じました。~


<菊地成孔>

~菊地さんほど、ちゃんと世界というものを見据えて活動しているクリエーターって、いま、なかなかいないんじゃないかって思いました。日本人が見る世界って、アジアや欧米の一部分になりがちだけど、菊地さんは、もっと広い世界を見ている。「多声性~マルチプル・ヴォイス」を菊地さんに感じました。この人を通して、いろんな声が響いてくるっていう強い印象があった。~


<天野祐吉>

~広告を批評するっていうジャンルを日本で確立した人が天野さん。広告の本質というものが批評家にこそあるのではないかと、ぼくは思います。天野さんはそこに早くから気づいていてタテのものをヨコに見ると違った風景が見えてくるということを知っていたんですね。広告というものを別のアプローチで見ることでその懐の深さを、ぼくに教えてくれた。それって、どんあアプローチをしても、本質を突き詰めていけば別の広い世界に至ることができるんだなと、天野さんの広告の批評スタイルから教わりました。~


<リリー・フランキー>

~ぼくは以前から芸大の授業をした後に、近くの公園で必ず飲み会をして、そこには学生だけじゃなくていろんな人が集ってくる。なんで自分はこんなことをしているんだろうってずっと疑問だったんですが、リリーさんと話して、それが北九州DNAによるものだとやっとわかった。日本って、いろいろと世知辛いじゃないですか。でも、ぼくは九州で吸収した、知らない子がいつのまにか自分の家で一緒にご飯を食べているっていう、あのゆるい空気が好きなんです。リリーさんと美しく共闘して、北九州DNAでそれをひろめていきたい。~


<桑原茂一>

~桑原茂一さんは、ぼくが本当に尊敬している天才プロデューサー。どういうところが天才なのか。たとえばこういうところ。茂一さんはいつも全体を見て、その落ち着き先もちゃんと見てる。ぼくが「Dictionary」の表紙写真で野口英世のコスプレをやらされたときもそうなのだけれど、ぼくが野口英世に扮することで、そのクリエイティヴが落ち着く先はどこなのかをわかった上でやっている。「これはまちがいない」って確信を持っているんです。~

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