染色教室第6 回 次期の相談から話は伝統工芸の今へ

四国旅行のため染色教室の最終回を欠席してしまったので、25日は振替受講に二葉苑に出かけた。
あいにく、水洗いと蒸し（色の定着）の最後の作業は、全員分一斉に行うとかで休んだ回で私の分もすんでしまっており、今回は次期の基礎2に向けた図案の相談を主にすることに。決まった図柄を染めた基礎1から、次は自分オリジナルの図案を挿すのだ。布も1mと、倍の長さになる。

相談相手は、イケメン先生一号。
うわ、若い男性をサシで話さなくちゃならないなんて緊張するなあ(笑)。

相談している間に、すでに出来上がった私の作品が運ばれてきた。



うっかり地に落とした蝋をごまかすため、全体に蝋を垂らしたのが、ちょっと雪のよう。
色を挿したときは、かなり渋い色目だったのに、実際に蒸して仕上げてみると、思った以上に色がクリアになっている。そう、なんというか予想以上に透明感があるのだ。

途中では、できあがったらポーチにでもしようかな・・・などと考えていたけれど、こうして仕上がってみると、かわいい作品のどこにも鋏を入れたくないと思えてくる。
うーーん、何に仕立てようか、しばらく悩むのを楽しみたい。

来期の図案については、工房でいろいろ本をお借りしてイメージを広げてみた。
無難なものなら花などなんだろうけど、他人が作るようなものは作りたくないと、あまのじゃくな性格がこんなときに顔を出す。あー、悩ましい（けど、楽しい）。

図案の相談をしているうちに、更紗とは何かという話、そして日本の伝統工芸の世界がいま、抱える問題にと話しが発展。

ちなみにイケメン先生の専門は型染めで、もともとは建築の設計をしていたのに、カメラマンを経て工房に入ったのだそうだ。技を磨くため、伊勢型紙の工房に月に一度、通っているらしい。

驚いたのは、伊勢型紙を作る小刀などの道具も、職人は自分で作るということ。
「刃をまともに研げるようになるのに、よくて３年と言われているんですよ」
…と笑って話されていたけれど、じゃあ実際に型紙の彫りができるのには何年かかるんですか！？

一人前になるのに、そんなふうに時間もかかり、かといって一人前になったからと言って
高いお金がもらえるわけでもない職人は、なり手がいなくて困っているらしい。
いや、正確にはなり手がいないわけではない。一旦工房に入っても、長続きしないのだそうだ。特に男性。

「工房の女性たちと話していると、私達はそんなに先のことを考えているわけじゃないからと言われるんですが、男性は家庭をもったらなどと、つい考えてしまうんですよね」と語る先生は、自分はあまり後先のことは考えないのですがと笑う。

その後、業界大きな声では言えない話(よく聞くことだけど）に話題はおよび、結局図案は決まらないのであった。

救いだったのは、「業界のあちこちで、息子さんの代に変わって、業界も古い発想から抜け出ようとしているので、数年経ったら結構風景が変わっていると思いますよ」と話されていたこと。うん、でないと、私ら着物ファンは困っちゃう。

いろんな思惑があって、なかなか大変なことだとは思うけど、まっすぐに自分の信じる道を進む先生に、不思議と元気づけられてしまった一日だった。