汗と涙の着物生活 

突如着物に目覚め、ついに着物作成に挑戦。着付けに涙し、とどまらぬ物欲に冷や汗の毎日。

阿波の藍染め体験@藍の館

2010-09-24 | 手作りレポート
阿波といえば、着物好きには「藍」の生産地であることが頭に浮かぶ。徳島市にほど近い、その名も藍住町。阿波藍の生産や取引は、この地を中心に行われたという。

徳島の藍は、藍住町にある見性寺(けんしょうじ)を鎌倉時代(13世紀)に開基した翠桂(すいけい)というお尚さまが唐(中国)から輸入した藍の苗を植えたのが最初だとか。その後、15~16世紀にさかんになり、江戸時代後期には、藍商人が立派な屋敷を立ててその隆盛を誇るまでになる。
その藍商人、奥村家の屋敷が、藍の館として歴史を紹介する博物館となったのが平成元年。

まず藍の館入口で、藍染め体験のための布を購入。小さいものではハンカチ、大きなものだとスカーフが選べる。
入ると藍染め商品の売店があり、その先に藍の歴史を紹介したギャラリーが広がる。そこで展示されていた藍染めの古着は、藍そのものはあせてしまっていても、意匠がなんとも凝っていて、当時これらを着ていたのは裕福で洗練された人であったことを彷彿とさせられる。

ギャラリーを抜け、いったん外に出ると難ともいえない臭い。ちょうどトイレがあったのでこの臭いかな・・・と思いつつ、中庭に向かった。中庭をはさんで奥村家の屋敷がある。中庭には、当時の藍を作る作業を復元した人形が登場。



私と夫が訪れたこの日、「麻 藍 布」なるイベントが開催中で、近江縮の麻糸と織りの実演販売が行われていた。
近江縮にも興味津々だったのだけれど、まずは当初目標を達成しなくてはと、藍染め体験のコーナーへ。染める柄は、絞りの技法等によって10種類ほどあり、好きなものを選ぶのだが、私はぐるぐる渦巻き模様を選んだ。入口で購入したストールをテーブルの上で中心からぐるぐると巻き込んでいく。「鳴門の渦潮やね」「そうなんです」などとスタッフの人と話しながら・・・。実はそんなこと考えもしてなかったけど。

香川もそうだったけど、徳島の人は概して愛想が良い。私が接したのは客商売の人ばかりということもあるのだろうけれど、ビジネスライクの愛想というより、心からのホスピタリティとオープンさを感じるのだ。昔からお遍路さんという外からの人を迎えてきた歴史からだろうか?

巻き込んだ布を大事に持って実際に藍染めする工房へ。ここでさっきから気になっていた臭いが一気に強くなる。トイレの臭いではなかった。藍の発酵する際のアンモニア臭だったのか!

初めて見た藍の染め液は、予想以上に暗く深い。染める布を手に持ってこの液に浸すのだけれど、「絶対に落とさないで」と言われたのが納得。こりゃ、一度落としたら絶対に見つからない・・・。


<最初は真っ白の布。左手に注目!>

砂時計で時間を測りながら、浸すのに1分、空気にさらすのに1分と作業を進める。これを何度繰り返すかによって、染め色の濃さが変わるのだ。最初に染め液からあげた布を見たときはちょっとしたサプライズだった。それは青というより緑色だったのだ。その緑が空気に触れると青くなっていく。

4回ほど染めを繰り返した後、布を流水で洗う。そこで出会ったのは鮮やかな青に浮かぶ渦。

最後にアイロンをかけ藍染め体験は終了。短い時間だったけれど、初めて出会った藍は、創造していた以上に神秘的だった。強烈な臭いに反して、染め上がった色は洗練されているギャップも神秘さの一つ。染めた布は今は鮮やかな青だけど、藍は使っているうちに色が落ち着き、その変化も魅力だと聞く。そんな魅力もぜひ味わってみたいものだと思う。
   

体験度、屋敷を見物していると、阿波踊り三味線のライブに遭遇。藍の大商いがされたときにだけ使われたという奥座敷にて楽しませてもらいました。最後は子守唄代わりになっちゃったけど・・・(汗)



近江縮の展示では、麻糸作成や機織り体験もあってやってみたかったのだけれど、夫はたいして興味がないらしく、いかにも早く出ていきたいといわんばかりの風情だったので断念。今度来るときは、同じ着物好きの友達と堪能したいなあ・・・。(ここまでつきあってくれ、写真も撮ってくれた夫には感謝しているんですよ。もちろん・・・)

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5 コメント

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貴重な体験 (神奈川絵美)
2010-09-24 11:31:08
こんにちは! わぁ~私まで一緒に藍染しているかのような気分に浸りました
なるほど、緑から(空気に触れて?)青に変わるのですね。微妙なニュアンスや深みって、そういう過程から生まれるのでしょうね。
匂いもあったり、当然ながら衣服につけたりしないよう注意を払ったり、と、日々これを生業としてやっている人はたいへんなんだなあ…と、改めて、モノを大事にしないと、と思いました。

下の記事も拝読しました! 今お持ちの(コルク底の)下駄もステキですね~。台のお色、いろいろな着物に合わせやすそう。新しい一足も楽しみですね ぜひブログでお披露目してくださいね
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たいへんですね (はつき)
2010-09-24 20:09:55
絵美さん
あの匂いや色の変化は、知識としては知っていたものの、実際に体験してみて初めて感覚としてわかりました。藍を建てること自体、大変な手間暇がかかるのですよね。ラフカディオ・ハーンに「ジャパン・ブルー」と呼ばれた藍染めの技術を維持していくことの大変さの一端(ほんの一端!)を垣間見た気がします。もっと大切に、積極的に藍を見につけたいと思いました。
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自己レスです (はつき)
2010-09-25 09:31:25
「見につけたい」→「身につけたい」です。慎んで訂正しますm(__)m。
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藍の本場で (eriko)
2010-09-25 14:45:47
はつきさん

こんにちは。初めてコメントさせていただきます。ゑり好みのerikoです。

藍の本場、藍住町での体験、楽しそうですね!!!と読み進めていて、去年の9月に私が渋谷で体験したのと同じイベントだと気づきました。
http://erigonomi.jugem.jp/?eid=329

ということは、同じ窯の藍で染めた・・・ということになりましょうか(笑)?!ご縁を感じます。

また寄らせていただきますね!
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藍ともだち (はつき)
2010-09-25 21:45:45
えりこさん

本当に同じイベントですね!
イベント名で検索したら、藍住町の物の紹介は見つからず、渋谷のイベントが上位にあったのでリンクを貼ったのですが、えりこさんが参加されていたものとは・・・。私が途中で断念した近江上布や岩島麻の解説もありがとうございます。
恵理子さんの日記に「麻糸は黄金色になる」とありましたが、展示室で見た麻糸は確かにつやつやと輝いていました。麻ってカジュアルなイメージがあるのに、あんなふうに絹糸のような輝きがあるのが意外でした。

またぜひおいでください!
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