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言っている事では無くやっている事が…… ~秋春制移行・続き

2023-12-29 18:15:25 | 雑記

参考資料-Jリーグ公式HPのこのページ

前回はメリットから考察したので、今回はまず移行する事でのデメリットを書き連ねる事に。

  • 降雪の影響の中でのサッカー、ならびにその対策を余儀なくされる。
  • ↑に伴い、ウインターブレイク中に他地域でのキャンプを余儀なくされる。
  • ウインターブレイクを入れれば夏と冬に長期休養が挟まるため、ウィークデーの試合(平日開催)が多発する。それに伴う観衆・営業利益の減少。
  • ↑に伴い、台風など自然災害による中止が起これば代替試合の日程を探すのが困難となる。ウインターブレイク中に挟まれる事が複数起これば、クラブ・状況により中断はあって無いようなものになるかも。
  • 夏からの開幕となるため、新人選手は卒業~開幕までのブレイクが長くなる。首尾良く春から合流という事になっても、既にシーズン終盤の時期であり、結果だけが求められる状況で新人の出番は無い事が予想される。
  • ↑に伴い、シーズン終了後に監督・強化部が一新される事があれば、構想外で内定取り消しという事もあるかも……
  • 同じく夏からの開幕となるため、スポンサー企業は「Jリーグの日程に合わせて広告を出す」という事がし辛くなる。(上半期・下半期で分かれるため)
  • 同じく夏から(以下同文)、陸上競技場をホームとするクラブにおいてスタジアムの日程確保が困難となる。

おおよそこんな所でしょうか。
降雪・寒さの問題だけが取り上げられ、それに対し「ウインターブレイクを挟めば万事解決」という楽観的な意見による喧々囂々の議論(あるいは「話が通じない」とスルーする)となりがちな移行に関する話題。
しかし実態はそれだけでは無く、むしろそれ以外のハード面を解決していくのが厄介と個人的には思っています。

3月に年度末・4月に開始という社会の流れが普遍的に存在するのが日本。
それに喧嘩を売るかのように、8月中に開幕となれば、スポンサー企業は合わせるのが難しく。
閉幕の5~6月までで2期にまたがる事となり、出来上がる空白期間により広告料が入らない時期が生まれてしまう。(ようは未来の分まで出資してくれる企業がどれだけあるか、という問題)
そして新規に企業を見つけるにしても、そんな仕組みのJリーグに対して出資するのに二の足を踏むという思考に陥っても文句は言えない。
そうなるとクラブの収入は一気に下がってしまう事となり、特に降雪地域のクラブにとってはダブルパンチどころの騒ぎでは無いでしょう。
(Bリーグ(バスケットボールのプロリーグ)は問題無いといわれるが、リーグ戦は9月末~10月開幕なので丁度下半期初めに合わせて上手くやっているっぽい)

そしてその社会に合わせ、新生活をスタートさせる新社会人。
サッカー界で言えば、事前にスカウトされて加入内定し、チームに合流する新人選手の事であり。
特別指定制度を活用し幾ばくかの調整は可能でしょうが、卒業~開幕の期間にシーズン終了となるリーグ戦。
それに伴い監督・首脳陣・強化部が代わるという事は日常茶飯事。
そうなると新たな人物の思惑により、「やっぱりやめた」なんて事が起こっても不思議では無く。
現行のやり方に近いウインターブレイク後の新加入と定めても、冬の移籍市場を経てシーズンは後半戦に入るため、既に完成に近づきつつあるチーム(一向にそうならない場合もありますが)に対し新人選手の入る余地があるかどうか。
結果が求められる大事な時期というのもあり、新人選手と、ウェイトの大きい途中移籍選手どちらが起用で優先されるかは言うまでもないでしょう。

またこれに則して、ユースのプレミアリーグ・プリンスリーグに対しても、Jリーグに合わせるべく秋春制への移行案が持ち上がる事態に発展しており。(現行は4月開幕~12月閉幕)
こうなると学生社会とリーグ戦が完全に相反する事となり、3年生に至ってはシーズン終了(6月)を待たずに卒業するか、あるいは開幕(8月)の前にサッカー部引退の運びとなるか。
後者でかつ特別指定制度を利用し、Jリーグ開幕からプロに合流するという手法が考えられますが、それは早期に内定を掴んだが故のアドバンテージであり。
当落線上の学生においてはプロへのアピールが限られるのが問題に。(特に現行において年末は、プロのスカウトの目に留まるかどうか最重要な時期でしょう)
いずれにせよ、新人獲得の面でも混乱を齎す状況になりかねません。

最後にスタジアムの使用権の確保。
該当するのは主に兼用スタジアムつまり陸上競技場なのですが、これも前年のうちに殺到する予約に対応する形となっているのが常で、他のスポーツ(当然ながら主に陸上競技)との兼ね合いをどうするかという問題があり。
これまでも、12月にシーズン終了となるため予約が遅れるJリーグに対し難儀する事となる自治体というのが常。
それがさらにカオスな方向へと傾く、なんて事は想像するだけで怖い。
8月から始まるJリーグに対し、その日程も決まっていない段階の前年から椅子を開けて待っているなんて事はまず不可能でしょう。
これに対しては専用スタジアムを導入する事が一定の解決策ですが、その進行度はクラブによってまばら。
J1クラブの大部分(新潟・町田以外?)が専用スタジアムですが、下位カテゴリは……という現状で、ここでも弱者切り捨てに思える要素が垣間見え。

これらを2026年まで全て解決の方向に向かわせるためには、余程の豪腕を発揮しなければならない。
それが主たるJFAの役割となるでしょうが、その舵取りは実に頼りなく。
「Jリーグを世界と戦う舞台へ」と釘打ったにも拘らず、クラブワールドカップに出場した浦和レッズに対する(Jリーグ側の)アピールが全くなっていない事で、失笑を浴びたばかりであり。
かくして、言っている事とやっている事が違うという実態が露呈された状態で、上手くいくかどうか。


ここからは自分の妄想理想論を主として記述。

自分は海外サッカーは全くと言って良い程観ていないので、「Jリーグを世界と戦う舞台へ」(移行における、JFA側のコンセプトの一つ)と言われてもどうにもピンと来ず。
そんな訳で、このページを参考にしながら色々思考を巡らせてみました。

世界的なサッカーの進化により、「Jリーグは(欧州から見て)異質なサッカーリーグ」という揶揄めいた評価が定着するに至り。
海外移籍を睨むJリーガー(ないしは育成年代の段階で)は増加する一方ですが、そんな評価故に5大リーグからのオファーは望むべくも無く。
現在のような、ベルギーを主軸とした規模の小さめの欧州リーグに移籍し、そこでのテスト期間を経てから羽ばたくという流れは簡単には改善出来ないでしょう。
故に狙いの一つである「移籍金収益の拡大」に関しては困難な現状。
それより欧州の日程に合わせる事で移籍金どころか0円移籍の加速という危惧が加わり

今季はヴィッセル神戸がJ1で、FC町田ゼルビアがJ2で優勝を飾った事で、Jリーグにおいて「インテンシティ」「ハイプレス」の色が一層濃くなったという印象です。
そうしたスタイルでは確かにフィットネスの面で影響が出やすいもので、の「真夏の時期を避ける事でサッカーの質を上げる」というメリットの一つは外せないものとなるでしょう。
飲水タイムなどでカバーするにしても限度があり、データ(走行距離・スプリントなど)と実態からしても半ば事実なのは疑いようは無く。

そうした事から、JFAはプレミアリーグのようなスタイルを理想としたいのかな……という邪推をしてしまい。
激しいボディコンタクトとトランジションの速さは、Jリーグを見渡してもその浸透度は半端無い。(その質に関しては置いておく)
それが本当に理想を追ってのものなのか、はたまた自然的にそうなってしまったのかはさておき、近付かんとしていると感じます。
その思考故に、巧さを切り捨てたかのようなクラブ(ブラウブリッツ秋田とか)も現れている事からしても。

そうなるとやはり気候の面がハンデとなり。
寒暖差が緩やかなイギリスと、冬は寒く夏は暑い日本。
しかも年々「丁度良い」時期は短くなっている印象があり、今回の移行に則して出された日程も、真夏・真冬の時期を完全に避けられないものになってしまい。
移行したとしても、その差は埋められるものでは無く。
そして元からのフィジカル面での差異もあり、追い付くのはまず不可能と思われます。
果たしてそれで、代表レベルではまだしも、リーグの市場価値を押し上げられるかどうか。
というか30倍以上の格差を埋めるのはまず不可能と思われ

自分は今年、DAZNでエル・クラシコ(ラ・リーガにおける、バルセロナvsレアル・マドリード)を観る機会があり。(動機は特に無く、たまたまに近い)
初めてといってもいい海外サッカー(前年観たカタールW杯は除く)の視聴でしたが、その光景は非常に斬新に映り。
「最終ラインでボールを持っているが、それに対するプレッシングは無し」という、様子見のシーンが多く。
無駄に体力を浪費しないという立ち回りが徹底されている風に見えました。
こうしたスタイルが定着すれば、夏場にサッカーを行わなければならない日本の環境でも、その影響は抑えられるのではないか。

そんな事を考えていましたが、既にそれは神戸がなぞらんとした道であり。
つまりは「バルサ化」を唱え、アンドレス・イニエスタをはじめとした海外のビッグネームを獲得して劇的な成長戦術を描いた時期。
賛否両論あれど(自分も当時は否定的だった)、今思えば「世界と戦う舞台」にするという野心が感じられる政策だったでしょう。
しかしその神戸も、今季はインテンシティ・ハイプレスへと針が振れ、結果リーグ優勝を勝ち取ったのは周知の通り。
その過程で夏の移籍市場でイニエスタがクラブを去るという具合に、頓挫したという印象を残して終わりました。

こうした新たなスタイルの確立には、膨大な資本力と、多大な根気・時間が求められるものであり。
神戸に限らず、ここ数年でボール保持・ゲームコントロールに挑むクラブはJリーグ内でも見受けられるものの、年々強度が高くなる状況では成果は芳しくなく。

ここで前回の冒頭で述べた、アルビレックス新潟に戻り。
そんなJリーグの意識に待ったをかける……とは言い過ぎでしょうが、ボール保持を第一とするスタイルでJ1定着を目指しているクラブ。
今季の戦いぶりで課題は多々見られたものの、少なくとも前年までのJ2の舞台ではそれが徹底されていました。
つまりはポゼッションを高める事により、相手に「ハイプレスを掛けても無駄」と思わせたうえで、最終ラインでボールを持ちつつ隙を窺う遅攻を貫く戦い。
そのスタイルも、秋春制になるとクラブが成り立たないが故の思考からと考えれば腑に落ちるものであり。

しかし移行の強行により、憚らずも悪役に近い状況へと追い込まれる事に。
夏場にも通用する(と思われる)サッカーを定着させようとしているクラブに対し、潰れろと言わんばかりのJFAの仕打ちにも取れてしまい。
果たして偶然の合致なのか、あるいは目障りに映っての事なのかは傍らからでは解らず。
いずれにせよ、自ら市場価値上昇の手段の一つを切り落としてしまうような手法に映り、こうした面でも「世界と戦う舞台へ」というコンセプトが空虚に思えてしまいます。


ネガティブな事を長々と書き連ねましたが、それでも今後もJリーグを観ていきたいという自身の気持ちは変わらず。
移行の果ての結末は……といった状態ですが、それを追っていくのも一興でしょう。

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