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慢心、それは心中に潜み ~秋春制移行

2023-12-28 18:35:58 | 雑記

参考資料-Jリーグ公式HPのこのページ

自分は今季のJ1においてはアルビレックス新潟に注目してきた、とはここで述べた通り。
それ故に嫌でもこの話題を目にする事となり、シーズン中もこれに対してどう折り合いをつけて文章に出すか。
確固たるスタイルでJ1を戦うというポジティブ(と思われる)な絵図を描いている新潟のサッカーを観て、その中でネガティブな意見は載せるべきかどうか。
そんな事を考えては消え……とやっているうちに、2023年自体が終了間際となってしまいました。
という訳で、再三ニュースを騒がせた話題にも拘らず今まで触れて来なかったため、年も終わりを迎えるこのタイミングで書いてみたいと思います。

文章で僅かながら触れたのはこの試合。(J3・11節 讃岐vs奈良)
「弱者切り捨ての雰囲気が高まりつつある」と述べましたが、それは恐らく変わっていないでしょう。
シーズン中に既成事実のように何度も「移行決定」のニュースが持ち上がり、それに対する各サポーターの反対運動があっても、移行への執着心は何ら衰えない上層部。

何が彼らをそうさせるのか、という疑問が拭えないですが、移行のメリットとしては↓のような感じ。(既に言い尽くされていますが)

  • 酷暑である真夏での試合を避け、それによりサッカーの質を高める
  • 夏に開催されるワールドカップをはじめ、代表の試合に合わせやすい日程にする
  • 欧州での日程に合わせ、選手を移籍させやすい状態にする

こうした、従来(最初に移行案が持ち出されたのは2000年代中頃だったと思われる)からの見解に、近年は↓が加わり。

  • 先んじて秋春制での開催となったACLに合わせ、大会に挑みやすくする

これらの要素を見ると、JFAが第一に考えているのが、「いかに日本サッカー界が、世界に比肩する存在へと成長するか」という事だと推測します。
そしてそのためには、国内のリーグが多少傷付く(彼らが考えているだけで、多くの人が「多少どころでは無い」と思っているはず)のも厭わない。
一応降雪の多い地域のクラブへのケアとして、

  • ウインターブレイクを設ける
  • 補償金を出す

と、策を設けてはいる事は付け加えておきます。ただし決定後に発表された日程案は冬の期間・真夏の期間ともに完全に避けられていないものでしたが

こうしたメリットに加えて、後押ししていると思われるのが典型的なボトムアップ思考。

「日本は遅れている」「欧州のリーグに追い付く」という思惑での舵取りで、最近耳にする「ビッグクラブ構想」もそれに基づくものなのでしょう。
そしてそれに合わせるように、今季のJリーグは上昇機運。
カタールW杯での好成績の影響か、あるいは再三障害として立ちはだかったウィルス禍からの形だけの脱却が原因か。
下位カテゴリのJ2でも平均観客数は大幅アップ、リーグ戦における新国立競技場での開催試合も様になっており。
J1昇格プレーオフ・決勝での大観衆(53,264人)はまさにその完成形といった様相でした。
これを根底として、「多少リスクを負ってでも上を目指す」方向にいくのは納得出来なくも無く。

ACLでの戦いを重視し結果に繋げる事で、それに伴うクラブワールドカップへの出場で、Jリーグ自体の名を上げる。
それがひいては価値上昇ならびに(賞金獲得・移籍金の向上で)潤沢化に繋がる。
彼らの理想を推測すると、こんな所でしょうか。

しかし欧州の各国は、国ぐるみでサッカー界の発展に尽くしている感があり。
つまりは盤石な支援の下、有力な地位を築いている背景。
財源に乏しく、かつ様々なスポーツが割拠している日本。
その中でもイニシアティブは、大手メディアのバックボーンがある野球が握っているといっても過言では無い状態でしょう。
それがJリーグ側も述べている「(資金面における)世界との差」に繋がっている訳で。(世界一と呼ばれる、プレミアリーグとの市場価値の差は30倍以上とも言われているそうな)

そんな状況で、大きく劣る日本がそれに肩を並べるような立ち回りを取ればどうなるか。
かつて大分トリニータが、乏しい財源のなかJ1で上の方を目指さんとした事を思い浮かべれば、その結末は悲しい方向へと予想が付いてしまう。

仮に一部のクラブがJリーグ機構の期待に応える結果を残したとしても、振り返って自身の足下を見れば既にボロボロ。
財政難に陥ったクラブは、そんな上位クラブに選手を抜かれ続け、やがて存亡の危機に陥りかねない。
そして土台を失ったリーグはいずれ全体が……なんて事は想像もしたくない。
それでも首尾良く欧州と張り合えるビッグクラブが生まれるのならばまだ良い方で、上記の日本の状態故に何時まで経ってもそんな存在が表れないかもしれない。
そうなると、あれだけナショナルダービーと持ち上げられながらも迷走に至った2010年前後の浦和レッズ・ガンバ大阪の再現であり。後者は今でも迷走していますが
つまりは、成長しないビッグクラブ候補に対しての環境だけは潤沢で、その他のクラブは「出る杭は打たれる」状態。
現状でもその理不尽さを感じる状況ですが、その歪がますます広がる事になってしまう。


この「弱者切り捨て」と言わんばかりの思考が齎すような移行に則し、当然ながら反対派が多く居た訳ですが、それに対してJリーグ側が取った行動はどうか。

反対派筆頭というべき新潟のサポーターを中心に、シーズン中は試合の際に幾度も反対意見を述べる横断幕をスタジアム内で掲げて来た今季。
しかし、DAZNをはじめとした中継ではそれを映さず、取り上げるニュースもほぼ無し。
言語封殺では無いかと疑いたくなるものの、立場上仕方無い面もあるでしょう。ニュースで反対意見を述べると仕事が無くなるとか

加えて「移行決定」というニュースを先行的に流す、所謂「飛ばし記事」的な動きも何度かあり。
それに対して関係者が否定するという、様式美のようなやり取りも見られ。
先に既成事実を作る事で、(議会レベルで)反対派を委縮させる狙いかと疑いたくなるものでありました。(そうした思考が、最終投票においての「新潟のみが反対票」という結果に繋がって来たと思われ)

これに関して、思い出してしまうのが2006年。
ドイツW杯で手酷く敗退した日本代表ですが、その直後の川渕三郎氏(当時の肩書は「日本サッカー協会会長」との事)の「世紀の失言」により、サポーターによる大紛糾が発生する事態となったJリーグ。
それは当時ジェフユナイテッド千葉の監督であったイビチャ・オシム氏を代表監督に招聘するという内容のものであり、よりによってクラブ→代表間で引き抜き・強奪というネガティブな面が強かった事で蜂の巣をつついたような騒ぎとなったサッカー界。
それに対しても、反対派の意見をなるべく抑えるような報道が目立っていたと、当時を回想してしまい。
当然ながら千葉サポーターの大部分は反対派(と思われる)で、スタジアムで「明確なビジョンの無い代表にオシム(監督)は渡さない」(うろ覚え)といった横断幕を掲げたのに対し、(スポーツニュースの中で)あろう事か「明確なビジョンの無い代表に」の部分を映さないという切り取り報道も発生。
何らかの圧力が容易に想像できる出来事であり、結局オシム氏の代表監督就任が強硬的に実現される事となりました。
この際千葉に違約金が支払われたのがまだしもの事。

そんな経歴があるので、強行的な移行は悪い結果を及ぼすという思いを強めざるを得ず。
「代表に人材を提供しない千葉」というレッテルを張りにいった当時の日本サッカー協会と、それに加担したマスコミ。
今それを繰り返すように、「秋春制ならびに日本サッカーの発展に協力しない新潟」と印象付けを行っている節があり。

上部しか見ていないような、JFAの慢心。
心中に潜んでいたそれが、カタールW杯の結果もあり一気に噴出したかのような格好というのが、今季の移行における自分の主な思う所です。
まあ野々村芳和氏がチェアマンになった時点で移行へ舵を切るという予測は数多見受けられていたのですが

続く

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コメント
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