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DAZN観戦 2023年J3リーグ第38節 カターレ富山vsY.S.C.C.横浜

2023-12-05 16:00:57 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 富山の昇格条件は勝利したうえで、2位の鹿児島が敗戦。鹿児島の引き分けでも勝ち点は並ぶが、得失点差で7の差があるので逆転は困難。

縺れに縺れたJ3昇格争い。
2位をキープする鹿児島が決定打を出せず、かといって3位以下のクラブもそのもたつきを突く事が出来ず。
その過程でライセンス交付により新たにJ2昇格の権利を得た奈良・沼津も、及ばずに脱落。
最終節にまで持ち込まれるも、鹿児島・富山の一騎打ちという状況には絞られました。

その富山、不利な状況なのは確かですが、前節・宮崎戦は6-0の大勝。
「ひょっとしたら得失点差も追い付くのでは……」という期待を抱かせたうえで臨めたのは好材料でしょうか。

試合が始まると、YS横浜の可変フォーメーションによるビルドアップが幕を開け。
3センターバックがスライドする事により2CBの状態となり、片側のCBが上がった反対側のウイングバックが降りるというシステム。
主に3CBは右へとズレ、左WBの中里が出口役となるのが基本となりました。
それでも、中里がボールを受けた状態から前に運べずに時間は過ぎていき。

お互い好機が生まれずに3分が経過すると、続く前半4分に痺れを切らしたか、吉平が遠目からシュートを狙った(枠外)事でファーストシュートに辿り着いた富山。
その後もフリーキックで好機を作る(6分)など、昇格への意気込みを感じさせる入りとなり。

しかし8分、YS横浜がGK児玉のロングフィードからの攻め。
これを佐藤がフリックした事で、一気に最終ラインの裏に流れたボールを、カバーにいった今瀬の後ろから走り込んだ松村が足を伸ばしてシュート。
GK田川も前に出ていたため、それはあっさりとゴールに吸い込まれる事に。
最初の好機を得点に結び付けたYS横浜とは対照的に、与えたくない先制点を対応ミス的な絵図で与えてしまった富山。

この得点ののち富山は一層硬くなってしまったのか、YS横浜に攻撃権を支配され。
最終ラインで繋ぎ、富山のプレスをいなしたうえでロングパスを送る「疑似カウンター」が冴え渡ります。
13分に再びGK児玉のロングフィード、一気に左サイド奥で道本が受けると、中里とパス交換→マイナスのカットインを経て低いクロスを送る道本。
これを中央で古賀がポストプレイ、大きく戻された所に走り込んだ大嶋がミドルシュート(ゴール左へ外れる)と、可変した右CB(大嶋)がフィニッシュに絡む攻撃。
しかし大嶋はこれでテンションが上がってしまったのか、続く14分に富山のスローインとなった所ボールを蹴り出してしまい、遅延行為で警告を貰う破目に。

18分にもGK児玉のロングフィードから好機を迎えるYS横浜。
今度は佐藤が右ワイドで受けてマイナスのカットイン、ハーフレーンからミドルシュート。
そしてファーサイドで萱沼が跳び込むという二段構えを見せましたが、触れず枠外に終わります。

何とか追加点は避けた富山は、20分過ぎから反撃体制を整え。
YS横浜と同様にGK田川が前に出てビルドアップに参加、攻撃を組み立て始めます。
そして最終ラインは、神山が前に上がる右肩上がりの布陣となりつつ、安光がハーフレーンに絞るお馴染みの形。

23分にタッチを割って富山の左スローインになると、YS横浜の佐藤が副審に異議を唱えている間にさっさと始める富山。(吉平がクロスも合わず)
その姿は潮目が変わったと感じるものでしたが、その通りに以降怒涛の攻撃を仕掛けます。
前線にはレイリア・松岡・吉平と突破力のある選手が揃い、彼らを押し出しつつ繋ぎの色を高め。

その姿勢にYS横浜はすっかり守勢となり、何とか防ぎ続けるもセカンドボールも繋がれて押し込まれ続け。
33分にはこぼれ球をシルバがラフにロビングを送ると、二階堂のクリアミスもあり吉平が拾って左サイドから前進。
安光がワイドからカットイン、そしてハーフレーンからシュート気味のクロスを送ると、中央でシルバが合わせにいくもGK児玉が何とか抑え。
その後もYS横浜のクリア・ミドルパスを悉くカットする富山、分厚い攻撃を仕掛けて同点を狙いにいき。

肝心のフィニッシュは、33分の高橋駿・40分のシルバなど遠目からのシュートが目立った富山。
YS横浜の粘りを崩せないままアディショナルタイムに突入すると、今津の縦パスがレイリアに収まるという形での攻撃を連発。
残り時間(AT目安は3分)を無駄無く使うような縦に速い攻めを見せると、最後の攻撃は神山が上がる右サイドからの前進を経てのクロス攻勢。
そして安光の左手前からのクロス、ファーサイドへ上がったボールをGK児玉が目測を誤り、その奥で高橋駿が合わせヘディングシュート。
ゴールネットを揺らし、既に今季限りでの引退を表明している男が、息を吹き返す同点弾を齎しました。
それと同時に前半が終了。

この時点で鹿児島(vs鳥取)はスコアレスで、気になる状況ながらも自身はとにかく勝つのみという富山。
その意気込みの通り、入りから積極的に仕掛けます。

後半2分、レイリアが左サイドのドリブルで奥を取ると、そこから横パスの連続を経て中央から松岡がシュート。(GK児玉セーブ)
いきなり脅かされる格好となったYS横浜、以降振り回される守備陣が反則を連発。
特に4分の、松岡のボールキープを萱沼が倒してしまった場面は(その後一目散に逃げるように下がったという態度からも)警告相当に見えましたが、何とかカードは貰わずに済み。

5分、右から大畑の対角線を描くロングパスが高橋駿に渡って左奥を突く、これも前半のYS横浜を彷彿とさせる攻撃。
ここから戻しを経て安光のクロス、GK児玉がパンチングで弾くもシルバが拾い、シュートを放つも道本のブロックに阻まれ。
7分に再び中里が(吉平に)反則を犯したYS横浜により、左ワイドからのFK。
キッカー末木のニアへのクロスをシルバがフリック気味にヘディングシュート、さらにGK児玉の手前に大畑が跳び込むという二段構えを見せましたが、惑わされず児玉がキャッチ。

ひたすら攻撃を浴び続けるYS横浜、9分に佐藤が右奥からマイナスのカットインを経てミドルシュート(GK田川キャッチ)と、やや強引なフィニッシュに見えましたが「やらなければやられる」というようなその心理状況は理解でき。
結局後半立ち上がりの好機はこれぐらいとなり、以降も富山の猛攻を受け続けた末に、流れを変えるべくの采配は19分。
一挙3枚替えという策を採り、松村・古賀・道本→柳・冨士田・ピーダーセン世穏へと交代します。

後半の富山の攻撃、押し込む流れは得ておりYS横浜のプレスの姿勢も収まりがち故に、安光もワイドに開いて両サイドバックが高目となる状況が目立ち。
サイドからの突破は容易となった感じですが、それでもYS横浜の粘りを崩すには今一歩足りず。

その隙を突かれるのは避けたい所で、22分にYS横浜の右CK。
キッカー中里が中央にクロスを入れ、佐藤と花房が跳び込むもGK田川がキャッチ、花房と激突して一旦こぼすもすかさず抑えて防ぎます。
しかしこのプレーで腰を痛める仕草を見せる田川。(その後も無事にプレー)

守護神の気迫にも応えたい富山は、23分にプレスバックを掛けて奪ったレイリアを冨士田が反則で止めて再びFK。
ここでクロスでは無くパスを選択したキッカー末木、そこからの攻めで右CKと、セットプレーが続き。
そして末木のクロスから神山がヘディングシュート、ゴール右を襲ったものの中里が寸前でブロック。
その後も右ポケットで拾ったシルバがカットインを仕掛け、萱沼に倒されるも反則の笛は鳴らずと、ゴールに近い所まで迫ります。
しかしYS横浜も26分に遠目からのFK、クロスの跳ね返りを拾った小島がミドルシュート。
大畑がブロックしてこぼれた所を大嶋がエリア内からシュート(枠外)と、こちらもセットプレーで脅かし。
得点が生まれるのはセットプレーから、という雰囲気にもなって来た試合展開。(このFKの前に、富山は吉平→高橋馨希へと交代)

その流れの通りに、28分にも柳の(安光への)反則・警告でFKを得た富山。
位置は左ワイドからで、例によって末木はニアのシルバにクロスを送ると今度は低いボールで、シルバは足でフリック気味にヒールで合わせ。
技ありのシュートを見せたシルバですが、GK児玉がキャッチと今度もしっかり防ぎ。

投入された特別指定の高橋馨も、小気味良い突破でチャンスメイク。
31分には高橋駿の裏へのパスを受け、そのまま奥を突いて入れたクロス、これがゴールに向かう軌道に。
そしてゴールバー上部を掠めて逆サイドへ流れる際どいボールとなります。

何とか劣勢を挽回したいYS横浜。
矢印を前に向けようとはするも、35分・36分と立て続けに中盤でボール奪取に遭うなど状況を代えられず。
センターバックの大畑も右ワイドに開いて持ち上がるなど、まさに怒涛の攻勢という富山。
37分にはその大畑のドリブルから、パスを受けた神山がワンテンポ置いてクロス(この間に大畑はエリア内にまで上がる)を送ると、中央で高橋駿がボレーシュート。
しかしこれもGK児玉がセーブと、こんな大事な試合で相手GKが当たっているのは苦難という他無く。

38分に2度目の交代に踏みきる外山、レイリア・高橋駿→柴田・碓井聖生へと2枚替え。
これにより碓井聖・シルバの2トップ(ないしはシルバトップ下の4-2-3-1か)となり、松岡が左SH・高橋馨が右SHと配置換え。
また碓井聖も特別指定であり、(ジョーカーの大野がベンチ外という事もあり)大事な局面でホープに託す事となりました。

終盤を迎え、尚も攻め込む富山ですが決定機を生み出せず。
その間にYS横浜は41分に萱沼→橋本へと交代。
富山は45分に末木・松岡→椎名・佐々木へと2枚替えし、とうとうATに突入。

どうしても後1点が必要な富山、自陣からのFKでも(GK田川が)放り込みを選択するなど、強引さを押し出す他無く。
左スローインから、投げ込まれたボールをシルバフリック→碓井聖ポストプレイと繋いでいき、高橋馨が中央からエリア内を突いてシュート。
しかし大嶋のブロックに阻まれると、抑えたGK児玉のフィードからカウンターを仕掛けるYS横浜。
受けた佐藤がドリブルで切り込み、左ポケットで溜めを作って浮き球のパスを逆サイドへ送るも繋がらず。
防いだ富山が逆カウンターに持ち込み、スルーパスを右サイドで受けた碓井聖から中央へパスが送られ、細かい攻防を経てこぼれた所をシルバがミドルシュート(ブロック)と慌ただしくなる戦況。
その後も大畑のアーリークロスを碓井聖が完璧に合わせてヘディングシュートを放ち、惜しくもゴール左へ外れという決定機逸に、悲壮感も高まる富山サイド。

YS横浜も最後の交代を使い佐藤→山本、「5-4-1で守れ」というベンチの指示とともにピッチに入った山本。
富山の猛攻に対し引き分け狙いも辞さずという姿勢であり、富山にとってやって欲しくないものだったでしょうが、最後の最後にドラマが待ち受けており。

その後得た右CK、GK田川も前線に加わる、まさに最後の攻撃。
キッカー高橋馨のファーへのクロスを大畑が折り返し、マイナス方向へ流れてしまうも、相手のクリアもミスとなり再び大畑の下へ。
これを頭から跳び込んで合わせにいった大畑に対し、クリアにいった二階堂の足が顔面に入ってしまう事となり。
すかさず反則の笛が鳴り、倒れ込み出血も発生した大畑の姿からも、どう見ても言い訳出来ないPKのジャッジ。(二階堂に警告)
絶好の勝ち越し機ながら、時間的にも逃したらその時点で昇格ならずという厳しいキックとなり、キッカーを務めるのはシルバ。
そして左へと強く蹴り込み、GK児玉のセービングも届かずゴールネットを揺らします。
ついに挙げた勝ち越し点に、沸き上がるベンチサイドとスタンド。

しかしそれは一瞬のひとときで、キックオフ直後に鳴った試合終了の笛。
すると全試合同時刻開催故に、無情にも鹿児島が引き分けた(1-1)という報が知らされる事となり。
よって勝ち点62で並びながらも、得失点差により2位鹿児島・3位富山が確定。
本当に後一歩で昇格を逃す形となった富山、その試合後はとても勝利の雰囲気にはなれず。

イメージ的には、2003年のJ2が被るでしょうか。
勝ち点1の差で昇格を逃してしまった川崎、ホーム最終戦の勝利も(悔し)涙の方が圧倒的に多くなり。
そこから川崎は翌年昇格、以降J1で強豪の地位を築くに至ったのは周知の通り。
3年連続で昇格争いに絡んだ富山も、この無念さを一つの切欠として上昇機運に乗って貰いたい所です。

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