美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

特許の値段

2011-05-06 12:16:49 | Weblog

スマートフォンに使用されているデザインや技術を巡って、米国アップル社と韓国のサムスン電子の間で特許訴訟が起きています。独走態勢だったiPhoneの対抗馬として期待されてサムスンのギャラクシーSに対するアップル側の警戒心による牽制行動とも言えるかも知れませんが、特許侵害となれば、損害も莫大なだけではなく、企業イメージにも大きくマイナスとなりますから、特許戦争と表現される熱い戦いになりそうです。そして、このような特許訴訟で活躍するのが、特許専門弁護士と弁理士です。

実は、弁理士という資格について詳しく知ったのは、比較的最近の事でした。ソウル大学の物理学科に通う甥が、将来の専門について悩んでいるという話を聞きました。将来、国内の大学院で博士号を取得しても、大学の教員として残れるのは、僅かな上、不景気で有名企業の研究職につくのも狭き門であるということです。そこで、彼は弁理士の資格を取るべく勉強をしているという事でした。最初は、なぜ故‘弁理士’なのかと考えましたが、よくよく調べてみると、合格者の多くが有名理工系大学出身者で、各専門の修士、博士取得者も多いということです。また、研究者が転職を考えた場合志す資格として働きながら準備する人も多いようです。「主に科学的な発明品の権利化」という業務内容を考えれば、その研究内容に関する十分な専門的知識が必要な性格上、当然の傾向かも知れません。さらに韓国では、専門職に就く平均所得ランキングで弁理士が、ここ数年続けてトップであるという記事を見て、甥の選択に改めて納得しました。

知的財産権という言葉が使われ始めてもう久しいですが、資源の乏しい国にとって先端技術の開発とその特許化は、最重要事項でしょう。サムスンやLGなどの韓国企業が輸出利益を上げている反面、特許を持つ米国や日本に対するパテント料も莫大になる構図が現実です。知的財産権を守る戦士も必要ですが、研究の道を目指す彼らが転職を考えずに専念できる環境が、本当は求められているのだと思います。

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