脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

エリクソンはシチズンズの救世主? ~プレミアシップ展望~

2007年08月04日 | 脚で語る欧州・海外


 昨夜、トップ3から上位+ニューキャッスルでお届けした後半。プレミアシップどうのこうのを好き勝手に語る。

 マンチェスター・シティがさすがに本気だ。いや、目が覚めたのかもしれない。さすがに昨季の成績を考えれば誰もが危機感を抱くはず。
 そのシティは今季を迎えるにあたって、前イングランド代表監督であったエリクソン氏がシチズンズことマンチェスター・シティの監督に就任した。以外にもイングランドのクラブチームを指揮するのは初めてで、どちらかというとこれまでのキャリアではイタリアでの経歴が目立つ監督だけに国内では新鮮かつその手腕に注目が集まる。なんせ01年にラツィオの監督を途中解任されて以来、6年ぶりにクラブチームを指揮するわけだ。しかしながらその就職先がマンチェスターであったことは歓迎されるべきことかもしれない。
 
 何しろここ2年ほどマンチェスター・シティは悪過ぎた。ピアス前監督がチームを全くコントロールできず、シティオブマンチェスターのファンから総スカンを食らいかけた。ホームで全く点が取れなければそれは当然だろう。何しろ残留争いの最前線にいた昨季のチーム総得点はわずか29得点と38試合ものシーズンの戦いを考えれば非常に目を覆いたくなる不振ぶり。「高さ」を売りに救世主として加入したコッラーディも全く不発に終わり、昨季のFW陣全員の得点を合わせてもドログバのそれにすら敵わない始末である。途中加入のムペンザが最初からいてくれれば・・・というほど彼の入団は大きかった。
 中盤には昨季補強した元フランス代表のダボと元ドイツ代表のベテラン、ハマンら新戦力が機能せず、ヴァッセルとシンクレアの両翼が奮起するも得点へと直結するプレーは数えるほどで、実質若き司令塔アイルランドがバートンとチームを支えた。ピッチ内外で多数のトラブルを起こしながらも、結果を残していたそのバートンは昨日も書いたようにマグバイズへと新天地を移すことに。
 守備陣も軸であったディスタンがポーツマスに移籍し、イングランド代表としても最年少デビューを果たしたリチャーズはかろうじて残留を表明してくれた。ギリギリ戦える駒は揃っているかなといった感じで不安は拭えない。

 そんな中、少なからずもエリクソンは今季チームに新しい風を吹き込ませている。まずは目玉となるのがビアンキの獲得だ。昨季カルチョでも爆発したメイド・イン・イタリアのストライカーはチームの新エースに。ムペンザとの2トップはフィットすれば貧相な得点力は解消されるだろう。この前線がコケることになればチームは下降路線を辿るのは必至なだけに二人への期待は強い。
 また、中盤には元セレソンのジェオバンニ、スペインからブルガリア代表のペトロフが加入。それだけに留まらず、つい先日にはシャフタール・ドネツクから20億円もの移籍金でブラジル代表エラーノの加入が発表され、中盤は一気に厚みが増した。
 この現役セレソンと同時にチームに加入が決まったのがディナモ・キエフよりクロアチア代表のコルルカ、そしてレアル・ソシエダからハビエル・ガリードの二人だ。前述したギリギリの面子のDF陣には大いなる救いだ。シティのサポーターもこの土壇場の補強ラッシュにとりあえずは胸を撫で下ろしたことだろう。

 当初エリクソンの豊富なイタリアコネクションでカルチョから多くの選手が移籍するのではとも予想できたが、堅実な戦力を中心に戦える陣容は整った。あとは指揮官の掌握力がモノを言う。フタを開けてみなければ分からない今季のシティ。常連となってしまった降格圏内からの脱却に成功し、チームを買収したタクシンに微笑みをもたらすことができるか。開幕戦はウエストハム。とにかくスタートダッシュが一番気になるチームである。
 ユナイテッドには到底敵わないだろうが、この対照的なシティの存在もプレミア独特の面白さ、また指揮官がエリクソンだけに今季の戦いぶりは例年以上に注目だ。

 あとはくれぐれもリチャーズを獲られないように(笑)


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