脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

そうじゃないやろ!

2007年04月11日 | 角(鹿島サポ)のコラム


 今シーズン開幕からというものアントラーズサポーターにとっては浮かない日々が続いている。

 リーグ戦3分け2敗、カップ戦1勝2敗。

 今年こそタイトル奪取を、と意気込んで挑んだシーズンなのに散々な序盤戦。
明らかにチームとして未完成なままシーズンインしてしまったこと、怪我人続出、期待外れな新外国人(11番)、戦術の浸透度を把握出来ていなかった監督などなど様々な要因が不振を引き起こしていると考えられるが、ここにきて「小笠原満男と中田浩二を呼び戻す」というクラブの方針がスポーツ紙を賑わしている。

 …。

 このネタはサポーターに対しての鎮痛剤みたいなことに利用されているような印象を抱かざるを得ない。アントラーズサポーターなら誰もが記憶しているように、去年のナビスコ杯決勝での屈辱の後に「中田浩二復帰へ鹿島が動き出す」という情報がスポーツ紙にて報じられた。そして今回も、サポーターによる選手バス取り囲み騒動の直後のこのニュース。怪しいというか臭い。

 そもそも、小笠原についてはメッシ-ナから完全に干されている現状で、レンタル期間満了に伴い鹿島に復帰するという選択肢があるのは当然であり、今更あらためてニュースにするようなことでもない。しかもあくまで選択肢であり、現に「メッシーナとの契約が切れる6月末までに、彼を本当に必要とするチームが見つからなければ戻る」という鈴木強化部長の談話が報じられている。いやいや、何を当たり前のことをわざわざ再確認しているのか。

 また中田浩二については呼び戻すもなにも、完全に他クラブ所属の選手である。そしてバーゼルで確固たる地位を築き上げ、チームはCL予備予選への出場権も視野に入る順位にいる。このタイミングで獲りにいくというのは、まさに中田浩二の人情にすがりに行くようにしか見えない。
 彼がいまだアントラーズに愛着を抱き、いつかは再び鹿島へ、という気持ちを抱いてくれているということはもしかすると事実なのかもしれない。でもその「いつか」はこのタイミングなのだろうか。
 案の定、「(CL予備予選は)それは魅力的なもの。もう1年、契約が残っているから、ほかに行く必要もないと思う」という中田側のコメントも流れてきている。
 
 個人的には、彼ら二人が再びディープレッドのユニフォームを身に纏ってプレーする姿は見てみたいし、仮に復帰が実現するならば嬉しくないはずはないし、今の戦力とどのような化学変化を起こすのかは楽しみですらある。だがクラブとしてそれでいいのか。チームは前進するのか。
 アントラーズはここ数年、9冠という過去の財産に対する依存から脱却し、新たな時代を築こうと歩んできたはずだ。当然のように何度も痛みを感じ、今でもその痛みは続いている。
 だが、秋田豊と相馬直樹移籍のときも、中田浩二移籍のときも、柳沢敦移籍のときも(帰ってきたけれど)、小笠原満男移籍のときも、名良橋晃移籍のときも、そして本田泰人引退のときも、痛みを感じながらも腹をくくってきたはずだ。「これから」の選手達と新たな勝利を掴むんだ、と。

 小笠原と中田浩二、是非はともかく確かに魅力的な存在だ。だが、今何よりも真っ先に必要な存在は彼らではないと思う。本当に必要なのは、見通しの甘さを露呈して見え透いた情報操作などを行わないフロント、ホームでの試合後に「集中力と気迫で上回る人が相手の方が多かったというのが印象」などと言ってのけないコーチやそんなことを言わせない選手、「メンツは揃っているのだから、うまくいかない方がおかしいと思う」と言ってアントラーズのブランドにあぐらをかいたりしない選手、そしてバスを取り囲むサポーターがいるなら降りて話し合ってくれる選手や監督ではないだろうか。

 外から引っ張ってくるだけが補強じゃない。

 去年一番の補強は、ナビスコ杯決勝後、野沢が「男」になったことだ。


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2 コメント

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まったく同感です。 (Unknown)
2007-04-14 12:03:30
仮に浩二を呼び戻せるとしても、今せっかく充実してるんだから本人のためにも日本のためにもこのタイミングで帰って来てほしくないですね。このままスイスで成長してほしいです。本人もその気はないみたいだし。

逆に満男は選択肢とかってチンケなプライドは捨て、ヤナギみたく強引にでも鹿島復帰しなければ、もうサッカー選手として終わっちゃいますよ。
J1とか代表の弱小国戦では活躍できるのに、強豪国戦やセリエでは毎試合とことん常にボロボロ・・・つまり欧州にいる限りベンチ内外観戦生活から逃れられないんです。所詮その程度のレベルの選手なんです。それを知れただけでも無駄な海外経験じゃなかったと思います。
そんなこと本人が一番痛感してるはずなのに・・・
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Unknown ()
2007-04-22 16:13:04
小笠原は、力試しに行ったのに試す機会さえありませんね。どこのチームであれ、仮に小笠原に単独で試合を決めてしまえる力があれば試合に出れたはずだと言ってしまえばそれまでですが、私は彼自身の能力以上にメッシ-ナというクラブに移籍したことが問題だと思います。
ヤナギの例を見ても明らかなように、あのクラブは戦力として日本人を獲得する方針は持っていない。そんなクラブに二度も主軸をレンタルしてしまう鹿島フロントにあきれます。そこまでして海外移籍させてやることが本当の選手愛なんでしょうか。

野沢の復帰で好転してきたチーム事情。さぁ今後、小笠原と中田についてフロントがどんなアクションをみせていくかが見ものですね。
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