脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

念願の天皇杯制覇!!

2009年01月01日 | 脚で語るガンバ大阪
 第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝に臨んだG大阪。柏を相手に延長戦にもつれ込む大接戦となったが、116分に播戸が粘りの決勝点を挙げ、G大阪が18年ぶりとなる優勝を勝ち取った。

 

 今季61試合目。今シーズンの苦しさとG大阪の持つ力強さの両方を象徴する試合となった。AFCチャンピオンズリーグを制し、世界の舞台に挑むことができた。しかし、リーグでは8位に低迷し、二兎を追う難しさを実感した。アジア王者への壁となった新たなレギュレーション。それはリーグ上位3チームと天皇杯優勝チームにのみ与えられる来季のアジア挑戦権。ディフェンディングチャンピオンとして、そしてG大阪となって以来、未踏の天皇杯のタイトルをチーム、サポーター共に渇望した。

 

 播戸が先発から外れ、ルーカスと準決勝で決勝点を決めた山崎の2トップで臨み、寺田と満身創痍の遠藤が先発に名を連ねたG大阪。しかし、今季の疲労感は試合に現れた。柏のペースで試合に入る展開。6分にはポポのシュートを藤ヶ谷がセーブするなど相手の勢いに序盤は何もできなかった印象だ。

 
 試合前には仙台からお越しの岡山さんが柏ゴール裏を盛り上げる

 徐々にペースを盛り返してきたG大阪。持ち前のパスサッカーで柏の守備陣をこじ開けるべく相手ゴールを狙いにかかる。安田理の突破と右サイドから山崎を相手DFラインの裏に走り込ませることでリズムを上げていった。共に先制点が奪えず、ジリジリした展開は続く。

 
 2008年の流行語を見事にチームスローガンにした柏のゴール裏

 後半に入ると、柏がフランサを投入。疲れの見えるG大阪だったが、ベンチは動かなかった。しかし、運動量が落ちているのは柏も同じ。テクニックに長け、不気味な存在であるフランサをしっかり封じ込めれば、十分チャンスはあった。
 中盤でボールを奪っても、柏の守備陣を崩せない時間帯は続く。GK菅野は抜群の反応でG大阪のシュートを立て続けにシャットアウト。小林、古賀のCBコンビにルーカス、山崎、寺田らがことごとく封じられる。

 

 試合は拮抗したまま延長戦へ。山崎、寺田のミドルシュートなど決定機を作っていくG大阪だったが、ゴールを奪うには至らず。未だベンチは動きを見せない。そして、延長後半に入る直前にベンチ脇で播戸がジャージを脱いだのだった。

 
 さすがに疲れが見えたが、最後は精神的な強さを見せた遠藤

 山崎に代わって播戸が投入され、延長後半がスタート。ここまで来れば“勝ちたい”という気持ちが両チームを動かす糧。まさに極限の戦いだ。そういう意味では、このタイミングでの播戸の投入は“吉”と出るしかなかった。最も強く気持ちをプレーにぶつける男が全くのフレッシュな状態でピッチに躍動した。

 
 常に縦への突破を試みた安田理 大舞台での強さを見せつけた

 116分、ゴール前にボールを持ち込んだ遠藤から中央の倉田へ。倉田はすぐに相手DFのチェックを受けるが、何とか播戸にパスを出した。すると播戸はすかさずシュートを放つ。一度はクリアされたが、再びボールを拾った播戸がゴールに蹴り込んだ瞬間、これ以上ない歓喜がゴール裏を包んだ。

 
 シーズン終盤の寺田の貢献もチームの大きな力になった

 この播戸の1点が決勝点となり、タイムアップを迎えたG大阪が悲願の天皇杯制覇を成し遂げた。それと同時に苦しく長すぎた今シーズンが終わった。

 

 G大阪は5回戦の磐田戦以外、そして柏も全試合を1点差という僅差で乗り切ってきた。1年の疲れが両チームから色濃く感じられたものの、勝利への執念は色褪せていなかった。3月以来ゴールの無かった播戸が渾身の決勝点を決めたことは、その苦しいチームの最後の気合いを見せつけるに相応しいハイライトになった。泥臭く、本来の華やかさにも程遠かったかもしれないが、G大阪は勝利の似合う、王者に相応しいチームになった。最高の元日とこれまでにないエキサイティングなシーズンを過ごせたことを誰もが誇りに思った歓喜の一時だった。

 2009年、新しいシーズンはもうそこまで迫ってきている。また一つ逞しくなったG大阪が走り出す。


 
 天皇杯決勝前に行われた日テレベレーザVSINACレオネッサの試合は

 
 4-1で勝利した日テレが全日本女子サッカー選手権を連覇した