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私の愛聴盤 (第39回)

2014-05-01 | 私の愛聴盤
第39回はエリック・ドルフィーの「アウト・トゥ・ランチ」です。

エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)1928年6月20日 - 1964年6月29日 ロサンゼルス生まれ

1958年チコ・ハミルトン楽団に参加し初レコーディング、その後はチャールズ・ミンガス楽団に参加しています。
1961年にブッカー・リトル(tp)と双頭コンボを組み、ニューヨーク・ジャズ・クラブ(ファイブスポット)で名演も残しますが、同年10月のリトルの急逝で解散、
1961年~62年までジョン・コルトレーンのグループに参加した後、1964年には再びミンガス楽団に加わりますが、糖尿病による心臓発作のため、わずか36歳の若さで西ベルリンで生涯を終えています。
彼のレコーディング記録は6年間と短く、リーダー・アルバムでいえば4年間しかありません。
楽器はアルト・サックスの他、バス・クラリネットとフルートも演奏し、その独特な音楽観からアヴァンギャルド的な吹奏も得意です。
しかし、基本的には音楽理論に則りアドリブを展開していくスタイルであり、伝統と前衛を両立させた人でもありました。

「OUT TO LUNCH」 BLUE NOTE BST 84163
   
1. HAT AND BEARD
2. SOMETHING SWEET, SOMETHING TENDER
3. GAZZELLONI
4. OUT TO LUNCH
5. STRAIGHT UP AND DOWN
ERIC DOLPHY(as, bcl, fl) FREDDIE HUBBARD(tp) BOBBY HUTCHRSON(vib) 
RICHARD DAVIS(b) ANTHONY WILLIAMS(ds)  録音 1964年2月25日

エリック・ドルフィーが死のおよそ4か月前に残した、ブルーノート・レコードで唯一のアルバムです。
国内では、オランダで録音された「ラスト・レコーディング」が65年8月に発売されましたが、同じ年に録音されたこの「アウト・トゥ・ランチ」は大分後になってからです。
このレコードを初めて聴いた時の印象は「?」でしたが、聴くほどに深く引かれていく不思議なアルバムでもありました。

ドルフィーは3つの楽器を全て完璧なテクニックで演奏しているし、ここでは彼との共演が初めてと言われるドラマーのアンソニーが重要な役割を果たしており、その驚異的なプレイにも脱帽です。
メンバーは当時、新主流派と言われた面々で、このセッションのために集められたそうで、ドルフィー自身の考える音楽が理想的に表現できていると思います。
1曲目の「ハット・アンド・ベアード」はセロニアス・モンクのことで、2-2-5に分解され9拍子の演奏で、アンソニーの重いドラムも効果的です。
2曲目のドルフィーは前曲同様バス・クラを吹きますが、アルコ・ベースとのデュオは圧巻で、フリー・ジャズのお手本のような演奏です。
3曲目は現代音楽のフルート奏者であるヴェリーノ・ガッゼローニに捧げたもので、フルート・ソロの後、全員が個性的なソロを取っていて、ここでもドラムスが全体を引き締めています。
4曲目のタイトル曲は、ミンガスのグループに参加して2度目のヨーロッパに出発する直前の気持ちを表したものとされ、ベースもドラムスもしっかりしたタイム・キープはせずに、各人が自由にインプロヴァイズしています。
5曲目も同様に、各人それぞれが自由なソロを展開しています。

最近、巷ではステレオ・オリジナル盤が優秀録音であると言われるようになりましたが、演奏と録音の両方が素晴らしいことを再認識したレコードです。

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