らいちょうのあし日記

山登りが大好きで今日も日本のどこかで歩いています

剱岳・八ツ峰主稜縦走~前編~

2011年09月29日 | バリエーション

台風一過の9月連休、日本三大岩稜の一つ剱岳・八ツ峰へ行ってきました。
いつかきっと挑戦してみたいと思っていたこのバリエーションルートを今回は主稜すべてを
縦走スタイルで登攀しよう!と、いうのが私たちの目標。
下半・上半すべてを歩き通してこそ八ツ峰を登ったといえるのではないか、
と言う私たち二人の意見は一致してこの大きな目標に挑んだのでした。

9/23、朝一番の特急で富山入り。
しかし、台風の影響で列車は大幅に遅れてしまい、室堂に着いたのは14時半・・・
この時間からだと剱沢小屋までしか行けないが仕方ない。
しかも!室堂に着くとナント吹雪いていたからビックリ!初冠雪だわ~なんて喜んでいられない。
荷物を減らすために、持参したシュラフは薄手の夏用。それよりも、明日の八ツ峰はどうなるんだろう?
不安な気持ちのまま、室堂を出発した。


出発した時に降っていた雪は止み、雷鳥平に着く頃には晴れ間がでてきた。
それと同時に立山連峰の美しい初冠雪が青い空に輝き、皆さん一斉にカメラのシャッターを押していました。


チングルマに積もる雪


17時半、剱沢小屋のテント場に到着。このテント場、フラットでとても快適。
連休初日とあって、たくさんのテントで賑わっていた。


こんなに寒くなるとは予想外。今夜のメニューが鍋でよかった~
自家製味噌とコチュジャンを入れたチゲ鍋で身体を温める。
だが、あまりの気温差にまだ身体が慣れず外は吹雪き、寒くて何度も夜中に目が覚めてしまった。


9/24 4時半起床。朝日に赤く染まる剱岳。
こんな贅沢な景色が見られるなんて、なんて素晴しいテント場!


6時半出発。剱沢雪渓は、途中からはかなり状態が悪く右岸を巻いて降りた。
長次郎谷出合に入り、いよいよⅠ・Ⅱ峰間ルンゼ取付きを目指す。


長次郎谷をどんどん登りつめると30分程でルンゼ取付きまで来た。
雪渓は周囲すべてスッパリ切れ落ち、さてどうやって向こう岸へ渡ろうか?と思案。
だが、どうも思いっきりジャンプしたら着地出来そうなのでザックを先に向こうへ降ろし、
エイッと跳んだ。着地成功、やれやれ~


八ツ峰縦走最初の核心部であるこのⅠ・Ⅱ峰間ルンゼの登りは標高差400mでしかも
ルートファインディングも必要。
こっちか、あっちか、いやいや・・・などと言いながら必死で登る私たち。
だが、途中で何だか様子がおかしいことに気付く。Ⅰ峰があまりにも離れて見える。
どうも、途中で左に寄りすぎたらしいが、今さら戻れないからとりあえず稜線を目指す。


やっと稜線にでたところはⅡ・Ⅲ峰のコル!
大きなⅡ峰を見上げながらワタシはかなりのショックだった。
いきなり2つも飛ばしてしまった。あぁ、なんでだ~くやしい~


気を取り直して登り始めたⅢ峰は、ハイマツ混じりの尾根通しで楽しい登攀。
後ろにⅠ峰が大きく姿を現している。


Ⅲ峰を懸垂下降するワタシ。雲一つない青空の下で、もう楽しっくて仕方ない。


Ⅳ峰のスラブ帯を行く。足元は安定していて、快適な登攀。景色も最高!


今日一番心配していたⅣ峰下り。ここは約40mの懸垂下降なので、
ダブルロープで下りなければいけない。また、着地点が不安定なガレ場なので
落石に注意しないといけない。実際は、それほど怖くはなかったがロープ回収が大変だった。


後立山連峰を背にⅤ峰を登る。ここも足元は安定して歩きやすい。
Ⅴ峰まで来ると随分慣れてきて、もっと登り続けていたいと思うワタシ。


Ⅴ峰ピークからは3回に分けて懸垂下降でコルへ降りた。
ピナクル手前の斜面を長次郎谷側に2ピッチ、バンドを右に回り1ピッチ。
途中踏み跡を辿りながら移動しての懸垂なので、少々複雑であったがまぁなんとか大丈夫であった。


Ⅴ・Ⅵのコルには15時半到着。どう考えたって今日の行動はここまでだろう。
私たちは、ここから一番近い某岩でビバークすることにした。明日は、残る八ツ峰上半だ。
コルからは、Ⅵ峰が大きすぎるくらいよく見える。
しかしその、複雑に見えるその姿に圧倒されまたまた不安になるワタシ・・・

この日、八ツ峰下半では誰とも出会わなかった。貸切りの八ツ峰なんて、すごい贅沢!
そして、この快晴だからもう、宝くじにでも当ったようなもの。
ハプニングもあったが、めげずに明日も頑張るぞ!と、ビバーク地に向かったのでした。





 

 

 



 












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1 コメント

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本番て、どこ? (不肖K氏)
2011-09-30 01:16:45
と、思っていましたが、なるほど、八ツ峰でしたか。台風の直後、霜降りになったのを承知の上で予定決行。しかも生活用具を背負ったまま縦走するとは……。
初日に、ⅤⅥのコルで区切ることになったのは、天の配剤かも……。1日あいだが開けば、上部の霜降りは融けるだろうし、気持も山になれてきて余裕が出てくるし。
こうして、ブログに記録が載っているから無事下山したのは確かなので、結果のわかっているサッカーの試合を見ているような気がしますが、実際にその場で、先のわからぬまま行動を続けているおふたりにすれば、ハラハラ、ドキドキの連続だっただろうと思います。
後編を楽しみにしています。応援しています。

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