今年2月22日に愛知県豊川市の職員の労災自殺事件で、
最高裁判所は、地方公務員災害補償基金側の上告を棄却し、
2010年年5月21日の労災を認めた名古屋高裁判決が確定しました。
*この事件は、豊川市の職員が2002年5月に、児童課へ配転して
からの公務とパワハラの心理的負荷によりうつ病を発症し、
自殺するに至ったと主張していた事件。
公務災害ではないと決定した地方公務員災害補償基金を
相手に、その取消をもとめた行政訴訟でした。
1審の名古屋地方裁判所は、原告の訴えを退けましたが
名古屋高等裁判所は、1審を取消し公務災害であると
認めていました。
地方公務員災害補償基金側は、これを不服として上告、
上告受理申立をしていた案件です。
あまりニュースにならないのですが
公務員の自死(自殺)が日本全国で起きていることをご存知で
しょうか。
公務員の自死は遺族によって公務労災認定手続きを
取られることが多いのですが、認定に至るケースは殆ど
ないといって過言ではありません。ですから遺族によって
裁判となることが多いのです。上記の豊川の例もそうです。
公務労災の認定に当たっては業務上の事故を
原因とした死亡や怪我は因果関係が確なのに
対し、自死の場合は、長時間労働、パワハラなどによって
うつ病を発症したことが原因とすることが多いです。
因果関係の特定には、特にパワハラの認定には、
多くの困難を伴います。それは、訴えられた側(行政や上司)は、
調査・認定機関である地方公務員災害補償基金に
「そういう事実はない」と十中八九回答するからです。
これは人間の性なのかもしれません・・・。
公務員の労災認定は、「地方公務委員災害補償基金」
が担当します。中央と都道府県に各支部が設置され、
都道府県の知事が支部長になります。
調査と認定機関が行政の長となっているために県庁で
起きているパワハラの事実を認めるわけはありません。
行政の長には監督責任があるからです。ましてや自分に
矛先が向いてくるパワハラの事実は、自分の身に降りかかって
きますから断固認めないように動くわけです。
事実上、独立した機関ではないため公務労災認定は
有名無実化しているわけです。
公務労災認定をめぐって日本全国で裁判が起きています。
豊川事件は2002年に起きた事件です。10年もかかっています。
是正すべきです。