Are Core Hire Hare ~アレコレヒレハレ~

自作のweb漫画、長編小説、音楽、随想、米ラジオ番組『Coast to Coast AM』の紹介など

気持ちよさから気持ちいい結果は生まれない

2016-07-27 22:28:28 | コラム

押井守映画祭「紅い眼鏡」「ケルベロス」「人狼」などオールナイト上映 8月6日 東京・新文芸坐にて(ナタリーの記事より)

カラオケとかで思うのが、男性は女性に比べて歌が苦手な人がかなり多いです。
男性の場合、話す声の高さと歌う声の高さに差があることがその理由と言われています。

でも、個人的にもう一つ原因があると感じています。
例えば、夜、小さなスナックとかからオジサンの歌声が漏れ聞こえてくることがよくあります。
たいていの場合、あらん限りの熱唱で、歌っている本人はさぞかし気分がいいでしょう。

でも、これが問題です。
歌があまりうまくない男性は、歌をどこか勘違いしています。
大声を張り上げストレス発散するスポーツだと思ってます。
それなら暮れなずむ浜辺で夕日に向かって叫んだ方がいくらかマシです。

何が言いたいかというと、こういうことです。
本人の気持ちよさと、生まれた表現の質は必ずしも一致しないということです。

個人的に下手の横好きでやっているピアノでも同じ経験を何度もしています。
「ああノッてきたぜー」と自己陶酔にはまると、とたんにつまずきます。

つまり、自分で気持ちよくなりすぎず、どこか客観的に冷めた自分がいないといけません。
常に緊張感を持つことともいえますし、全能感に満たされている時こそ危険です。
たぶん、これって仕事でもスポーツでもなんにでも言えることなんじゃないでしょうか。

上記事のアニメ監督さんも似たことをよく感じます。
原作という縛りがあって、それを彼なりにアレンジしたものは、どれもものすごい傑作ぞろいです。
ところが、初めから最後まで好きなように作らせると、熱狂的なファンでない限り意味不明な内容になりがちです。

はたから見ると、アーティストって恵まれた才能を使って好き勝手やっているようにも見えます。
でも、実は厳しい自己抑制を伴った、いばらの道を歩んだ結果生まれたものであることを覚えておくべきです。