列王紀上15・4 それにもかかわらず、その神、主はダビデのために、エルサレムにおいて彼に一つのともしびを与え、その子を彼のあとに立てて、エルサレムを固められた。
第15章からは、南ユダ王国の物語になります。南北に分裂後、両王国は混乱期を迎えるわけですが、それには、王たちの信仰態度が国のあり方に大きく影響しています。
北のヤラベアム(ヤロブアム)が神の御心に反する神殿や礼拝様式を導入したり、偶像礼拝を取り入れたため、北王国は霊的堕落を招きました。
片や南王国は、レハベアム王が主の目の前に悪を行ったと記されているように、彼は「高き所」「石の柱」「アシラ像」を建立しました。これはみな偶像礼拝の施設です(14・22~23)。そればかりか神殿男娼がいたと記されています(14・24)。神聖な場所で同性愛行為が行われていたというのですから、その堕落ぶりはひどいものです。
何ということでしょうか。神が「わが名を置く」と定められた町とその神殿で、こんな不品行と偶像礼拝がなされるとは。主なる神の悲しみと怒りはどれ程のものだったでしょう。
ここに興味深い記録があります。
「レハベアムの母の名はナアマといってアンモン人であった」と、わざわざ二度も記録されています(14・21~31)。彼の母は、偶像を礼拝する異邦人の女性だったのです。彼の父ソロモンは、多くの異邦人女性を妻にしたわけですが、その結果がこれです。
幼児期の養育に大きな影響を与えるのは母親です。多妻のソロモンでしたから、父親として影響力は少なかったと思われます。むしろ、偶像礼拝者の母の影響の下でレハベアムは幼児期を過ごしました。大きな罪は突然には生まれません。幼い時から、悪魔的な思考は刷り込まれていったのです。
さて、そのレハベアムの息子アビヤムが王になりました。彼も、その父親同様に神の前に悪を行ったと記されています。彼の場合にも、母親について記録されています。彼の母の名はマアカで、アブサロムの娘でした(15・2)。
アブサロムとはダビデ王の三男で、ダビデに敵対してクーデターを起こした人物で、彼はその戦争で無惨な死を遂げました。その娘のマアカがアビヤムの母です。何か因縁めいた系図です。恨みや悲しみや怒りが込められたような家系です。
しかし、今日の御言は何と言っていますか。「それにもかかわらず」です。 ※新改訳は「しかし」だが、口語訳を参照。
それにも関わらず……とは、罪と過ちに満ちた家系にも関わらずです。神はアビヤムにひとつの灯火(ともしび)をお与えになったのです。その「ひとつの灯火」とは、アビヤムの息子「アサ」のことです。彼は南王国の希望の光となりました。
アビヤムの子アサは、王となるや、神殿男娼を追い出し、アシラ像などの偶像を撤去したのです。アサ王はさまざまな面で宗教改革を行った良王として聖書に記録されることになりました。
アサ王に対する神の評価は、「アサはその父ダビデがしたように主の目にかなう事をした」(15・11)と聖書は記しています。
そんなアサ王ですが、彼の母親について驚くべき事が記録されています。何と、アサの母親もアブサロムの娘マアカです(15・10)。聖書は淡々と事実を記録していますが、内容は実に忌まわしいことです。 ※アサ王と先代の王アビヤムは兄弟とも考えられるが、歴代志では、アサはアビヤム(アビヤ)の子であると明確に記録している(歴代上3・10、歴代下14・1)。
アサの父アビヤムとアビヤムの母マアカとの間に生まれたのがアサです。アサは近親相姦の子です。忌まわしい罪によって生また子がアサでした。
出生の秘密を知ったアサは苦しんだことでしょう。しかし、今日の御言のように、「それにも関わらず」なのです。
なぜ、神はこのような忌まわしい家系にも関わらず、アサ王のような、主の目にかなう王を備えられたのでしょうか。その理由は、彼らの父祖ダビデのゆえだと聖書は教えています。
神がそこまで良くしてくださるのは「ダビデのため」です。新改訳では「ダビデに免じて」です。ダビデが主に真実に仕えたおかげで、南王国の家系は哀れみを受け、恵みを受けることができたのです。
ダビデ以後の家系は堕落の一途をたどっていました。彼らが、神の恵みを受ける資格は何もありませんでした。滅ぼされても仕方のない者たちでした。
しかし、神は、ダビデに免じて、彼らに恵みを施されました。まさに、恵みとはこのことです。驚くべき恵みです。
良くしてもらう資格は何も無いにも関わらず、神はイエスの十字架の死に免じて、私たちの罪をゆるして救ってくださるのです。私たちには何の功績もありません。
ただ、イエスの恵みのゆえです。
神は、今でも、イエスに免じて、私たちをゆるしてくださいます。私たちがどんなにひどい罪人でも、このイエスを頼るなら、十字架につけられたイエスに免じて罪をゆるし、きよめてくださるのです。このイエスから離れてはならない。
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