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福岡の飲酒事故を悼む

2006-08-27 00:17:32 | Weblog
 福岡市東区奈多の海の中道大橋で25日夜、大上さん一家5人の乗った車が酔払い運転の乗用車に追突されて海に転落、子供3人が水死した事故は、詳細が分かるほどに悲しさと怒りが増してくる。

 沈んでいく車から子供たちを救い出そうとする両親の必死な姿が本当に痛々しい。地元西日本新聞の伝えるところだと、父親が立ち泳ぎで二人の子供を抱え続け、母親はもう一人を救い出そうと、何度も潜っていたという。だが、両親も力尽きたのだろう。一度は抱えた二人の子供も最後まで支え続けられなかった。腕から離れて水中に消えていく我が子の姿を見る親の気持ちを思うと本当にいたたまれなくなる。

 それにしても憎いのは、酔払い運転の末に大上一家を奈落の底に突き落とした加害者、今林大(ふとし)だ。彼は市内のスナックで飲酒した後、酔払い運転。さらに、制限速度50キロのところを80キロ以上出して運転していたという。彼の泥酔ぶりは、事故現場にブレイキ痕がなかったということを見ても容易に想像が付く。そして、事故を起こした後、被害者の救助に当たるのではなく、その場から逃走をはかったのだから最低の男だ。

 こんな輩は、一生その罪を塀の中で償っているべきだが、現行法では、5年前に厳しくなったとはいえ、たとえ危険運転致死傷罪が適用されても、1年以上15年以下の懲役にしかすぎない。

 私は酒はたしなまないが、飲酒を悪とは思っていない。楽しく飲むのであれば、酒は人間関係の潤滑油。大いに皆で楽しめば良い。だが、飲酒運転となると話は別だ。日本では未だに、まあまあちょっとぐらい、と飲む方も勧める方も飲酒運転に対する罪悪感が薄い。そんな風潮に私は日常生活でも真っ向から反対する。先日も親戚が車で店に来ているのに飲もうとしていたので思い止まらせた。

 一時の快楽や開放感のために他人の命を犠牲にしてよいという考え方に、私はどんなことがあっても組することはできない。そういう意味では、北欧諸国の考え方に近いだろう。飲酒運転をした者を、たとえ事故を起こしていなくとも半年位ブタ箱に入れるのは常識というお国柄だからだ。

 私の友人の一人は、これは半ば笑い話に近いが、スウエーデンに行った折り、地元の人たちの過剰な歓迎から逃げ出そうと吹雪の中、明け方で車の往来もないから大丈夫だろうと、パーティ会場から宿泊ホテルまでの数百メートルをスノーモービルで走っただけなのにパトカーに捕まってしまった。彼は泥酔状態ではなかったが、そのまま留置されて数日後には裁判にかけられた。本当なら半年位服役するところであったが、多くの地元の友人たちが証言に駆けつけてくれたので、それで情状酌量されて1週間の留置で済んだという。

 日本でもこのくらいの厳しさで飲酒運転を裁いて欲しいと切望する。しかし、法律はすぐにこれ以上厳しくなることはない。ならば、私たち一人ひとりにできることはないのか。

 答えは、われわれが周りの人たちに「乗るなら呑むな」キャンペインをすることだ。すぐに全国レヴェルの動きが生まれることはないだろうが、それだけでも随分違うはずと私は考える。皆さんも御一緒にいかがですか。