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粗末にされる韓国の英雄

2006-07-30 19:26:03 | Weblog
 韓国の李承ヨプ選手が日本球界で大活躍だ。かつて、韓国で本塁打を56本打ち、王貞治の55本を抜いて「アジア記録」を作った、韓国の英雄だ。

 3年前、その大看板を背負って来日した。ところが、最初に所属したロッテ球団では全く振るわず、二軍落ちまで経験している。不振で落ち込み、何度か帰国したいと弱音を吐いたこともあるという。だが、周囲の励ましを受けて頑張り続け、昨年はロッテを日本一に導いた主力選手の一人に名を連ねた。

 そして今年は巨人に移籍。今春開かれた世界野球大会(WBC)では韓国の主砲として大活躍、米球界のスカウトの目を釘付けにしたとの事だ。李は、WBCでの勢いをペナントレイスに持ち込み、今季当初からホームランを打ちまくり、今やセリーグを代表するホームラン・バッターとの感がある。

 ところが、所属する巨人が大不振、今や優勝を狙うどころか、最下位を“指定席”であるかのように言われる横浜にまで追い上げられ、尻に火が付いた状態だ。その中にあって彼の活躍は目立つ。私は、巨人戦のTV中継はよほどのことがない限り観ないから球場の雰囲気を把握しているわけではないが、たまに観る試合中継やスポーツニュースなどで感じるのは、巨人軍が今や李ひとりでもっているということだ。

 どっしりとした打撃フォームに加え、全力でプレイする姿は観る者を嫌が上でも惹き付ける。また、彼の全身からほとばしる「朝鮮民族の情熱」も観ていて楽しい。

 ところが、そんな「巨人にはなくてはならない選手」の写真が、東京ドームに行くと、隅に追いやられている。ドームの正門から10メートル間隔位で立つ太い柱にスター選手の写真が貼られているが、李の写真は奥の方に貼られ、正面ゲイトから出入りするファンの目に入らない位置だ。

 恐らく、巨人に入団した時は、大して期待されていなかったので、球団広報は彼の写真をレギュラーの中でも最後の方に持ってきたのだろう。だが、李がそれを見ればいい気がするはずがない。また、今、韓国で巨人ファンが急増していると聞くから、李のプレイを見ようと来日するファンもいるだろう。その人たちも、そのひどい扱いに不快感を持つのではないか。この辺りから察するに、李選手は一年限りで巨人を離れ、太平洋を渡るつもりなのだろう。だから、巨人側も彼への配慮が疎かになっているのではないか。だが、巨人は李が球団に所属している間は、主砲に相応しい扱いをすべきである。

 こういうこと一つとっても、巨人のやることは「血が通って」いない。だから、僕は絶対に巨人が好きになれないんだよ、ナベツネさん。