咲き誇る花花
中でも大阪は地域の特殊要因も加わり、府と市は険悪な関係となっていた。
狭いエリアに広域自治体としては小さすぎる大阪府があり、その中心部に基礎自治体としては大きすぎる大阪市が存在する。
インフラ整備や開発、現業部門など予算の支出をともなう面で連携がとれず、的確な地域経営がなされずにいた。
その挙句に財政状況は悪化し、地域経済の低迷だ。
さらに、人口約270万人の大阪市は大きすぎて、住民と市役所の間に大きな隔たりが生れていた。24の行政区があるものの権限や予算も少ない一部署に過ぎず、
本庁中央集権体制となっていた。
これもまた他の政令指定都市が共通して抱える問題だ。行政が住民から遠ざかってしまっているのである。
こうした課題の解決のために「大阪維新の会」が打ち出したのが、大阪市を5つの特別区に解体し、大阪府に吸収させる「都構想」だった。分権化と集権化(一元化)、
それに民営化の3点セットである。
5つの特別区は身近な行政サービスを担当し、公選区長と公選議員をもつというものだった。
実は、大阪では行政の枠組みを再編しようという構想は以前からあった。
府と市が一体化する「大阪新都構想」や大阪市が府から独立する「スーパー政令市制度」などだ(現在、指定都市市長会は府県から独立する「特別自治市」を提言している)。
こうした構想はいずれも提言や意見にとどまり、具体化に向けた政治的な動きとはならなかった。
どんな案を掲げても必ず反対の声が上がり、大変なことになることが明らかだったからだ。どの政党・政治家も「二重・二元行政」を打破しなければと思いながらも沈黙しつづけていたのである。敵をつくることを意に介さない橋下市長だからこそ、都構想という処方箋を示して行動したといえる。